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夏の空へ……  作者:
第1章 1年目夏
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第1話 入学式

真新しい濃紺のブレザーに黒のスラックス。


学年が一目で分かるように色分けされたネクタイを締めている。


1年生は赤に濃紺のストライプ。学年が上がるごとに青、緑といった具合に色が変わっていくみたいだ。


そんでオレは雪穂に焼いてもらったトーストを食べながらの登校。


「いはー。ひょうもはんはぁうまひ。ほういへはゆひほはなんはのふはふにはいふおは?(いやー。今日もパンが美味い。そういえば雪穂は何かの部活に入るのか?)」


「残念ながらわたしは部活はやらない。っていうか頼むから食べるか喋るかにしなさい……。トースト頬張りすぎてリスみたいになってるよ?」


雪穂はオレの問いかけに答えながら呆れたようにツッコミを入れる。


昔からオレと雪穂の関係は変わらない。


他人から見るとさしずめ『頭のネジがユルッユルの兄としっかりものの妹みたいな』関係なのだろうか?


……自分で言っといて何だがオレはアホだけどやるときゃやる人だかんな?



「あ。学校ついた。それじゃまたね。晩御飯作って待ってるから。」


「おー。」


他愛のない雑談を交わしてるといつの間にか学校についたみたいだ。


雪穂はオレを置いて小走りで玄関に張り出されてるクラス表を見に行った。


あいつは普通科だけど、オレは体育科だ。


しかも体育科は1クラスしかないから出席番号を確認するだけだ。


オレの出席番号は名字がか行だから……っとあったあった。


9番か……。んじゃ教室に行きますか……。








「えー……みなさん!ご入学おめでとうございます!!」


教室に行き鞄を置いた後、すぐに入学式を行うとの事だったのですぐ廊下に出てクラスごとに出席番号順に並び、体育館に入場して、今は体育館で入学式が行われている。


体育館の入り口付近には保護者席が設けられているが、オレの両親はいない。


正確に言えば仕事の都合上来れないのだ。


親父は1年前から会社で実績を上げて海外の部署に転勤し、母親はスポーツ栄養学を専門とした管理栄養士として常に講義とかが入っていたりプロのバスケットボールチームの栄養管理も行っているのでなかなか家には帰ってこない。


時たまLINEで連絡が来るので特に心配はしていないんだがな。


「新入生誓いの言葉 代表 滝沢たきざわ 由依ゆい。」


ボーッとしてたらいつの間にか新入生代表の挨拶じゃねぇか。


滝沢っつったかな?ずいぶんとまた背が高いこって。


まだ15だから体の凹凸は控えめだけどあんなモデルさんみたいなスタイルの女の子だったら少なからず言い寄ってくる男だっているんじゃねぇかな?


だけど少なくともオレとは縁がなさそうな人だ。


新入生代表の挨拶は確か一般入試で最高得点を叩き出した人が指名される。


下から数えた方が早い成績のオレなんかとは真逆の人生を送ってるんだろうな…。


丁度誓いの言葉とやらが終わり、体育館は拍手で包まれる。


滝沢は大役を任された重みが取れたのか顔を赤くしつつ自分の席に戻り、それを確認した進行係が新入生退場のアナウンスが流れて無事に入学式が終わった。





入学式が終わり、教室に戻ると自己紹介や学級委員決めなどのオリエンテーションが待っていた。


だが、みな体育会系の奴等ばっかりだから意外とスムーズに決まった。


というよりまだ誰がどういうやつか分からないから、立候補したのがそのまま採用になったって言う話なんだけど。


他のクラスより先に終わり、ボケッとしてたら上の階が賑やかになった。


どうやら上級生たちも学校は午前中だけのようだ。


部活動にいく人や、勉強道具を持って図書館で勉強しようとしてる人……。さらには学校帰りに遊びに行くために友達とおしゃべりしながら帰る人など様々だ。


「上級生も終わったみたいだから終わるぞー。あ、楠瀬は終わったらオレんとこに来いなー。んじゃいんちょー、号令よろしくー。」


うげっ……。さっそくこき使われそうな予感がする。


「きりーつ、れーい。」


みんながわらわらと教室から出ていく中、オレは担任の先生がいる教壇のところへと向かう。


「えっと……。オレ何か悪いことでもしました?」


心あたりが全くといっていいほど無いので先生に聞いて見た。


「4階の資料室にある赤いファイルをちょこっと職員室まで運んで欲しいと思ってたんだ。先生たちはこれから大事な会議があるからな……、ほんじゃ頼んだぞー。」


と言い残し、先生はスタコラサッサと教室からいなくなっていった。


4階の資料室ねぇ……。


オレはさっきのオリエンテーションで配られた生徒手帳を手にし、その中に記載されている校内地図を見ながら資料室へと向かうことにした。



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