表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏の空へ……  作者:
第1章 1年目夏
10/78

第9話 合宿期間中の日常

伝統の合宿は学校の施設を使うので、平日の午前中は学校に行き授業を受ける。


メンバー外の奴等はそうでもないが、メンバー入りしている選手は……というかオレは……。




「おーい、誰か楠瀬を起こしてやってくれ。」


「先生、寝てないっすよ?ただ上を見てただけですよ?」




必死に眠気に耐えていた。


ここのところの練習メニューはまず朝は6時起床でA班とB班に別れてティーバッティングとスイング。


ティーバッティングは50球入っているケースを3セット。スイングする人たちはそれぞれ考えながら100スイング。それを交代しながら約90分みっちり。



学校が終わったらすぐさま着替えてそれそれバッティング練習やフィールディング練習、バッテリー陣はキャッチボールの後にブルペンに入る。


その後にバッティングの日ならケースバッティングやピッチャー陣がバッティングピッチャーを務めるフリーバッティング。


フィールディングの日ならランナーの有無やアウトカウントを確認しつつのケースノック。


それが一時休憩を挟む。


休憩の間にマネージャーさんが握ってくれたおにぎりや差し入れのバナナなどの補食を食べてエネルギーを補給する。


休憩が終わったらランメニュー。A班とB班に別れてポール間インターバル走orベースラン。


最後はジョグでグラウンド5周。


練習時間は4時から9時半くらいまでのおよそ5時間。


それから夜メシを食べたり風呂に入ったりして消灯は11時。


キツいとは聞いていたけどここまでキツいとは思わなかった……。


あぁ~。先生の言ってる事がラ○ホーやスリ○ルの呪文みたいで眠たくなるんじゃぁ…………。



Side out


Side Y.Kobayashi


後ろに座っていて机に突っ伏して夢の中に旅立っている 幼馴染み(たくみ)を見る。


もう……。よだれ垂らしてるじゃん。


確かに夜遅くまで先輩たちに食らいついているのはよく分かるし、甲子園予選のメンバーになれるようにわたしも応援している。


だけどさ……、


「ゆきほー……。水くれー……。」


あ ん た は ど ん な 夢 見 て ん だ ! ! !


ツッコミどころが多すぎてどこからツッコんでいいか分かんないし!!


なんでわたしがあんたの夢に出てんの!?


ていうか何で水!?お茶じゃないの!?


しかも普段出さないような甘えた声!!!


聞いてるこっちも恥ずかしくなってくるわ!!


とりあえずわたしはペンケースの中に入っているシャーペン(シャー芯0,3)を取りだしノックして、ある程度芯が出たのを確認すると、短くしている髪の皮膚に向かって軽く刺した。



Side out



「おいゆきぽゴルァ!!人が寝てるところに何しやがってるんでごぜぇやすか!?」


オレは寝惚けながら頭を上げるとそこには雪帆がシャー芯を出したシャーペンがあり、オレの頭にさっくりと刺さった。


幸い血は出てないが、目覚めの一撃には十分すぎる威力で刺さった。


「あんたが寝るのが悪い。って言うか何であんたの夢にわたしが出てきたわけ?寝言が盛れてたんだけど?」


「え?マジ?」


「マジも大マジ。わたしすっごく恥ずかしかったんだから……。」


「お……おう。わりぃ。」


「その……わたしも悪かったわよ。いきなりシャーペン頭に刺してさ……。」


本来なら100対0でオレが悪いわけなんだが、雪帆は顔を少しだけ赤くしてオレに謝ってきた。


何だかボソボソと言ってるみたいだけど生憎オレの耳にはその言葉は届かない。


「お、オレ昼メシ食ってくるわー。」


「はいはい、いってらっしゃい。」


このやり取りを見ていた女の幼馴染という存在がいない男たちには刺激が強すぎて、純愛や幼馴染み同士のカップリングが大好物な女の子たちにも刺激が強すぎて口から砂糖を吐き出したり、唐突にブラックの缶コーヒーを買いに行く人が続出したのは別のお話。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ