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混沌始動③




「ここまで来れば、ひとまずは大丈夫だと思う」


 アルトニアスに引っ張られるままに連れて来られたのは、無人の廃屋。

 1階当たりの高さが通常よりも低く、尚且つ必要以上に高く設計された建物は、機能していれば人口密度を高めるのに大いに役立っただろう。

 こういった建物は、住むところにすら困った者たちが集まる貧民街によく見られるものだった。

 当然、この建物があるこの場所も貧民街の1つであり、その貧民街をアルトニアスは自分の庭のように走っていた。


「ここ、私の出身地なのよ」


 おれの考えを補足するように、アルトニアスが言う。


「いまは神殿が積極的に保護してくれたから全然使われてないけど、昔はここに、何十人って子供たちが座ったり寝たりしていたわ」


 懐古の表情を浮かべ、感慨深く室内を見渡していたアルトニアスだったが、すぐに振り払って詰問して来る。


「で、あんたは今までどこをほっつき歩いてたのよ! 絶対安静だって伝えておいた筈よ!? それを、目を覚ましたっていう報告もなしに2日目には消えるし、しかもその後も一向に連絡も寄越さなければ、学園には顔を出さないし!」


 どこをほっつき歩いていたかと言われれば、飯店巡りをしていたとしか答えようがない。

 夜間は夜間で、もっぱら療養と安全の為にもシロの店の2階を寝床として利用させてもらっていたし、昼間はベルの暴食に付き合わされていた。

 特にベルの暴食のお供は、おれ自身も安全上の理由とその他の理由から割りと乗り気であった為、言い訳のしようもない。


「……悪かったな」

「悪かった、じゃないわよ! あんたね、自分がどれだけ酷い状態にあったのか分からないの!?」

「生憎、カルテも無かったんでな」

「それについてはこっちに非があるわね。あんたの身の上を鑑みると、公式の記録として残す訳には行かなかったし。

 でも、あんたを私のところに担ぎこんできた真っ白な人に、大よその状態については伝えておいたはずよ」

「……あんのクソ悪魔」


 知ってて黙っていたのか、それとも即座に忘却の彼方に追いやったのか。

 どっちもあり得るし、どっちの場合でも文句の1つぐらいは言ってやりたくなる。


「全身の筋断裂に、およそ7割の2度の熱傷に残りが3度の熱傷! 

 不全性も含んで106箇所の骨折で、うち13箇所が複合骨折! 残る93箇所のうち14箇所が剥離骨折!

 さらに胸骨が消失していて、肋骨も24本中14本が消失! さらにそのうちの8本は欠損が全体の4割超!

 勿論胸部には風穴が開いていて、そこから感染症も併発していたわ! 他出血多量と、一体どんな事をすればそれだけの重傷を負うのか、不思議なくらいよ!」


 間違いなく、その怪我のうちの6割はベルのせいだ。

 より正確には、おれの要望を聞き遂げたベルによって、おれの体が酷使された結果だ。


「診断結果は、その後も定期的に魔法を用いた治療を施しながらでも、全治2ヶ月! 最低でも最初の半月は絶対安静にしてないと、治りかけた怪我が元に戻るどころか、最悪の場合悪化する事もあり得るわ!

 それをあんたは、姿を眩ました挙句にこんな事に巻き込まれて、しかも新たに怪我を負って!」


 思っていた以上の重傷だったが、同時に診断結果は殆どあてにはならない。

 こう思うのも癪だが、万全とは言わないが、ベルのお陰で普通に戦闘を行う分には支障が無いくらいには回復している。

 もっとも、その代償としてあいつに命を握られた状態になったが。


「この際、勝手に抜け出した事は不問にしておくわ。今さら言っても仕方ないし。

 でもねえ、せめて顔を出せとは言わないにしても、連絡の1つぐらいは寄越しなさいよ! そうすれば、少なくとも今回のこれは回避できた筈よ!」

「……今回の襲撃について、何か知ってるのか?」

「知ってるも何も、オーヴィレヌ家よ。以前も言ったでしょ?」

「……やっぱりか」


 最も有力なのはウフクススかオーヴィレヌと思っていたが、まさしくドンピシャだ。

 特にオーヴィレヌという理由は納得がいく。

 何者かに・・・・アルフォリア家が襲撃を受けて、元当主のシャヘルと当主クラス8名を含む31名が惨殺され、アルフォリア家は致命的とは言わないにしても、それなりに大きな痛手を負った。

 それでも全体から見れば無視できる範囲ではあるが、今の5大公爵家を取り巻く環境を考えれば、何らかのアクションを起こしてもおかしくは無い。

 その生贄にされる立場としては、堪ったものではないが。

 どこのどいつの仕業かは不明だが、恨み言の1つでも言ってやりたくなる。


「あんたと連絡が付いていれば、前もってあんたと接触して、私の立場で利用できるものを活用して、あんたの事を永久にとは言わないにしても、長期間隠す事はできたわ。事態が長引けば、オーヴィレヌもあんたに構ってられる余裕はなくなってた筈よ」

「……その場合、お前はオーヴィレヌ家を裏切る事になるぞ?」

「前にも言ったけど、オーヴィレヌ家のやり口は好きじゃないのよ。それに、私だってなりたくてなった訳じゃないもの」


 苦々しそうな表情を浮かべる。

 詳しくは調べてもらうように頼んでもいないため知らないが、 こいつにも色々とあるらしい。


「……今回のこれは、学園在籍者や、それ以外の年少組の中でも今回のこれが初陣となる者が集められているわ。私も含めてね。

 言い換えれば、この後には既に本家の仕事に就いているような、経験の豊富な者が控えているって事よ」


 実戦経験に乏しいとは感じていたが、本当に経験の皆無な連中だったようだ。

 しかしそう考えれば、あの歪さにも納得がいく。

 オーヴィレヌという5大公爵家の一角として生を受けて授かった素質に、その家内で築き上げられた鍛錬法。

 それらがあれば、実戦経験が無くとも、あれだけの練度を発揮できる。

 しかも背後には、実戦経験を積んだ本隊が控えている訳だ。

 誰が考えても、今のおれは相当に危うい状況に置かれている。

 【ヌェダ】を利用してアゼトナの死を齎して、状況の悪化に歯止めを掛けたつもりが、想定外の事態も重なって返って悪化に拍車を掛けた。

 やる事なす事が裏目に出る――それ自体は初めてでもなければ、少し前までは日常茶飯事だったが、さすがに空気を読んで欲しくもあった。


 だが、嘆いたところでどうしようもない。

 元よりそうだったが、相手がおれを殺すつもりで来ているのならば、おれもそのつもりで対応するだけだ。

 実戦経験が無いというのならば、3年前の作戦には無関係だろう。

 ならばおれが手を下す直接的理由は無いが、それ以前に、八つ当たりではあるが殺すことは決定している。

 そこにおれに対する直接的殺意が加わるのならば、ますます見逃す理由は無くなる。


「ま、私が把握している限りの状況はこんなものね。それで、どうする? 個人的にはここまで立て続けにやるのはお勧めできないけど、その腕は治療する?」

「一応……いや、やっぱり良い」


 確かに短期間に立て続けに治癒魔法を掛けるのは、患者にとっても余り良くない。

 しかしこの状況下では、後の事よりも今の状況をどうにかする為にも使用したほうが合理的ではある。

 だが、おれはそれをしない。

 する事ができなくなったと言うべきか。


「裏切るの? アルトニアスさん」

「……何で、ここが?」


 出入り口を塞ぐように、おれの骨をへし折った兄妹が立ち塞がる。

 2人のうち、兄の視線はおれへと向けられていたが、妹の視線のほうはアルトニアスへと向けられていた。


「ほらね、僕の言った通りだっただろう、ウェスリア。お前の能力があれば、見付けるのなんて訳が無いって」

「……うん」


 妹が兄の言葉に、間の抜けた空返事をする。

 視線は悲しそうな感情を込めて、アルトニアスを捉えて離さない。


「一体どんな能力だ……」


 攻撃が当たらず、道理に合わない剛力を発揮し、そして逃走した相手を確実に捉えて見つけ出せる。

 剛力が兄の能力であると仮定しても、まったく方向性の違う効果を兼ね備えた能力など、まるで思い付かない。


「アルトニアス、知り合いか?」

「知り合いって程でもないけど、何度か会った事は。言っとくけど、能力は私も知らないわ」


 こんな時に限って、ベルの奴は居ない。

 攻撃が当たらないのが能力によるものならば、魔剣となったあいつを使えば高確率で当てる事ができる筈だった。

 よしんば当たらなかったとしても、推測する材料にはなる。


「イース兄様、アルトニアスさん、どうするの?」

「そんなの決まっているだろう。裏切り者には死を、だ」

「でも、裏切ったって決まった訳じゃ――」

「ウェスリア、お前は自分の目で見たものが信じられないのかい?」

「…………」

「なら、やるべき事は分かるだろう? さあウェスリア、補助をしてくれ。相手は手負いでも、最後まで気を抜いてはいけないよ」

「……うん」


 一端眼を伏せ、そして再度上げた時にそこには既に、哀愁といったものは一切存在していなかった。


 この兄妹はおそらく、能力を含めた肉体的強さを妹が、精神的な強さを兄が担当しているようだった。

 極めて危うく、そして脆い在り方だが、噛み合えばこの上なく厄介な性質を発揮する事が多い組み合わせだ。

 そして精神的支柱が無くなれば、簡単に押し潰れる在り方だった。


 問題は、兄のほうもまた攻撃が当たらないという点か。

 妹のほうの能力が何なのかを見極めなければ、攻略は不可能だ。


 最初の動き出したのは兄だった。

 腰を低く落とし、足元を狙い、低く這うようにおれに向けて疾駆する。


「【帯電網】」

「うわっ!?」


 そしてアルトニアスが魔法を発動し、周辺一体の地面に電流の網を張り、それを踏んで感電し動きが硬直する。

 攻撃が当たった――それが魔法だった為なのかは不明だが、すかさずにおれが逆に距離を詰め、首を刈り取るように蹴りを放つ。

 だが結果は、最初と同じように軌道が逸れて空を切るといったものだった。


「ウェスリア!」

「ご、ごめんなさい……」


 兄の怒鳴り声と妹の謝罪から察するに、先ほどの電流を受けたのは、兄にとっても想定外の事だったか。


 気を取り直したように、緩急を織り交ぜての拳打が次々と放たれる。

 その事如くが、道理に合わぬ剛力によって喰らうのはおろか、受け止めるのも論外というのは既に経験済み。

 だからこそ、回避に徹し、隙を見て回避と同時にカウンターの蹴りを放つ。

 だが、やはり軌道は変化して空を切る。

 あるいは相手がおれの体に直接触れている場合ならば当たるのかもしれないが、不確定なその可能性に掛けて手傷を負うのはリスクが高すぎた。


「下がって!」


 アルトニアスの声が響くと同時にその場から退避。

 間髪入れずに、アルトニアスの魔法が発動する。


「【流奔波】」


 莫大な水が、室内を埋め尽くし全てを流さんとばかりに押し寄せる。

 寸でのところでアルトニアスの背後にまで退避したおれはともかく、2人の兄妹にとっては全面を埋め尽くす立体攻撃に等しい。


「イース兄様!」

「ウェスリア、掴まって!」


 2人の取った行動は、兄が妹の体を抱えて跳躍し、低い天井に張り付いて激流をやり過ごすというもの。

 激流を逸らす事ができなかったのは、莫大な水という巨大質量に対しては能力が発動しないのか、それとも別の理由からは不明だが、確認の意味も込めて、ナイフを投擲。

 やはりそれは軌道を変更し、激流の中に落ちてどこかへと押し流される。


「あながち、そこまで汎用性の高いものでもないのか?」


 能力の実態は依然として不明なままだが、糸口ぐらいは掴めた気がする。


 2人の兄妹の厄介な点を上げるとするならば、その詳細不明な攻撃を逸らす能力と、道理に合わない剛力。

 このうち剛力のほうは、事前にそうと分かっていればそこまで厄介なものでもない。2人の体術の実力は、妹のほうは素人に毛が生えた程度で、兄のほうもそう高いものではない為、回避だけという制約があってもそこまで難しいものではない。

 となれば、やはり残る妹の能力のほうが壁となる。

 だがその能力も、全ての攻撃を逸らせる訳では無いというのは今のアルトニアスの魔法で判明した。

 その理由さえ分かれば、勝てる。


「ウェスリア、計測は終わったかい?」

「はい、イース兄様」

「よくやった。じゃあ、終わりにしようか」


 水が全て流れ切り、天井から降り立ったところで、そんな事を言う。

 推察するに、たったいま、2人がおれたちに対して勝てる算段が付いたという事か。

 それが何にしろ、わざわざそう言い切る以上、何らかの確信を持っての事だ。


「ぐっ……!」


 歯を食い縛り、折れた左腕の骨を右手で無理やり矯正する。

 激痛が走り脂汗が浮かぶが、これで辛うじて、殴る事はできる。

 酷使した後の悪影響と殴る際の痛みを度外視すればだが。


 左眼の焦点をぼかして、右眼で世界を見る。

 腰を落とし、折れた左腕という荷物を抱えた状態で、最大の速度で動けるように重心の位置を調整する。

 対応を間違えれば、最悪死ぬ。


「では、終幕です。貴方がたの――」


 兄の言葉が、横手から飛来してきた飛礫によって遮られる。

 拳大ほどのそれは、兄の側頭部にそこそこの勢いを持った状態で直撃し、頭を切った兄が傷口を押さえて呻く。


「……最後まで言わせてやれよ」

「何がダ?」


 壁を拳で物理的にぶち破って、ベルが肩に真っ赤に染まって血の滴り落ちるズタ袋を担ぎ、悠々とした足取りで室内に踏み入って来る。


「イース兄様!」

「問題、ない……」


 頭を抱えて呻いていた兄が、妹の言葉に顔を顰めながらも立ち上がり返答する。

 視線は、新たに現れたベルに向けながら。


「……何者ですか?」

「天使様だヨ。良い子にプレゼントを配り歩くのが趣味ノ」


 ベルの言葉は完全な嘘という訳ではないが、案の定、兄妹は訝しげな視線を向けるのみ。

 その視線を楽しんでいるのか、凶暴な笑みを満面に浮かべ、肩に担いでいた袋を下ろして中身をぶちまける。


「ニンゲンってのは人相さえ分かればできるんだろウ、照合ってやつをヨ。だから親切ニ、残しておいてやったゼ。感謝しろヨ?」


 中から出てきたのは、人間の生首だった。

 断面は獣に喰い荒らされたかのように――いや、実際に喰いちぎられたのだろう、ズタズタで荒々しく、中には首すらなく頭部だけの球体のシルエットとなっているものもあった。

 その表情は例外なく恐怖と苦痛に染まっており、断面からはまだ凝固していない真新しい血が次々と流れていた。


「ひぃっ!?」


 妹のウェスリアが、年相応の悲鳴と反応を上げる。

 むしろ泰然とした態度で生首を見て、1つ1つを指差して数を数える余裕すらある兄のほうが、この状況下では異常だった。


「全部で9個。何だ、僕たち以外は全員やられてしまったのか。役に立たないなぁ。まあ、実戦も経験させてもらえない無能力者じゃ、そんなものか」

「おうおウ、随分と余裕だナァ」


 ベルが舌なめずりして、眼を輝かせる。


「オマエらはコイツらよりも美味そうだナァ。特にそっちの女のほうハ」

「……ウェスリアを薄汚い視線で見るな」


 ベルの視線から妹を守るように、兄が移動する。

 何故だろう、ベルはこの状況において紛れもない援軍的立場なのに、明らかに非難されるべき対象に見えるのは。

 いや、存在そのものがそうである事は、あながち間違いでもないのだが。


「ウェスリア、撤退するよ。カルネイラ様・・・・・・に報告だ」


 そんな言葉が、兄の口から発せられる。

 オーヴィレヌ家に属する兄の口から、イゼルフォン家の現当主と聞いている人物の名前が出てくる。


「でも、イース兄様……」

「大丈夫だ。お前の能力を使えば、間違いなく逃げ切れる。もっと自信を持って」

「う、うん」

「逃がすと思ッテ――」

「ベル、追うな」

「ハァ!?」


 静止すると、あからさまに不満な表情で抗議の視線を送ってくる。

 その隙に、兄妹はまんまと逃走に移っていた。


「オマエ、自分の立場分かってんのかヨ? まさカ、未だにオレにアレコレ命令できる立場だと勘違いしてるのカ?」

「お前こそ、未だに人化できるのがどうしてか理解していないのか? その気になれば、すぐにでもお前が勝手に結んだ契約を解除できるんだぞ?」

「オマエの力じゃねぇだロ」

「だからどうした?」

「…………」


 尚も不満気な視線を送っていたが、やがて諦めたように、そっぽを向いてこれを見よがしに溜め息を吐く。

 考えている事も、気持ちも大体推測できるが、好きにすれば間違いなくベルはあの2人を殺す。

 そうなると、おれ個人としての今後の事を考えるとあまり良くない。


「……えっと、2人ってどんな関係?」

「答える義理はない」


 いささか拍子抜けする結末だったが、選択を違えれば命を落としていたのはおれの方だ。文句は言うまい。

 向こうから仕掛けて来たとは言え、それを正面から受けて立ったおれにも問題はある。

 少しばかり、おれも頭を冷やす必要がある。


「……治療、した方が良い?」

「完全でなくて、簡易で頼――ベルッ!?」


 感覚に引っ掛かるものを感じ取って、必要は無いと思うが、念の為にベルにも声を掛ける。


「へっ、何を……って、きゃあ!?」


 説明する余裕も惜しく、また速度の問題からアルトニアスを担ぎ上げて、ベルが開けた壁の穴から建物から脱する。

 眼前にある向かい側の建物の壁を蹴って屋上まで駆け上がり、次々と建物を跳び移って最短距離で移動する。

 だが――


「間に合わないか……!」


 余りにも範囲が広すぎ、間に合わないと直感的に悟り足を止める。

 直後にベルが隣に地面を踏み割って着地し、そして景色が変わる。


 昼下がりの青空は、夕暮れの茜色に。

 眼下の光景を見渡せたはずの周囲は、赤焼けた煉瓦の壁に遮られる。

 等間隔に燭台の吊るされたその壁が前後に現れ、平行に左右に広がり、一方は直角に折れ曲がっている事から、通路の真っ只中に居ると推測できる。


「何よ、これっ……!」

「ウッハァ、凄ぇなコリャ」

「固有能力……」


 それは間違いない。

 ただ、おそろしく緻密かつ大規模な。

 それも――


「領域干渉系統の能力だな、これは」


 数ある能力の系統の中でも、条件や制約といった負の面が厳しい反面、発動すれば無類の凶悪さを発揮する系統の能力だった。










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