死神vs諧謔 前編
「始めやがったか……」
ご自分の目を手で押さえていたシロさんが、苦々しそうにそう言うのを、私の耳は聞き逃しませんでした。
発言から推測する――という程のものでもありませんが、言葉の通り、そして言葉に込められていたニュアンスからしてシロさんにとっては好ましくない事態が、どこかでたった今起こったという事になります。
そして、わざわざシロさんがそんな言葉を漏らしてしまい、尚且つ能力を使う相手ともなれば、それは非常に限られます。
「……【諧謔】さん、ですね」
シロさんにそんな言葉を漏らさせた原因となり得る、最有力候補がそれです。そしてあながち間違いではないでしょう。
「あの人も動き始めましたか……」
ジンさんがシアさんを連れて出て行き、さらにその後に、何故か焦りを見せながらアスモデウスさんが出て行った矢先の事。
生憎私は店内に留まったままの為、今外で一体何が起きているかなど知る由もありませんが、ある程度の想像ならばできる。
そしてその内容は、私にとっても、あまり好ましいものではない。
ですがこうなってしまった以上は、もう私にはどうする事もできません。
願わくばジンさんの為にも、どうにかして【諧謔】さんが上手く修正をしてくれる事を祈るばかりです。
「おい」
「はい、何か用でしょう、か……」
無用心な事にも、どうやら思考に没頭していたようで、手に持ったグラスの中に視線を落としたまま周りの事が見えてなかったようです。
お陰でシロさんが、いつの間にか目の前に移動してた事にも気付けなかった。
「……これはこれは、随分と物騒ですね」
自分で言っておいてなんですが、抜き身のナイフを手に、その切っ先を自分に対して向けられている状況に対して発する言葉としては、この上なく不適切ですね。
「一体これは、何のつもりですか?」
この言葉ならば、先程のものよりかは適切でしょう。
「それはおまえが1番理解してンじゃねェのか?」
「さてさて、もしかして【諧謔】さんの件ですか? それならジンさんは保留としましたが、その判断に対して不服でもありましたか?」
「無いっちゃ嘘になるが、少なくとも、今はそれを蒸し返すつもりはねェな」
「話の焦点に……なるのは……こいつだ……」
シロさんに続いてベスタさんも、ハッキリとした敵意を向けて来る。まあ専属の護衛との事ですし、当然と言えば当然ですが。
そんなベスタさんが放って来たのは、2つの書類の束。
「これは……」
それぞれの表紙には書かれているのは『アルトニアス=レデ・セリトリドの調査結果』に『ティエリア=メリア・ルートゥレアの調査結果』という文。
それらをわざわざ、私に対して放って来た意図は、何通りか推測できますが……。
「……ディンツィオさん、貴方もですか」
「いやね、俺っちとしては怖すぎてとてもとても剣なんか向けらんないんだけどね、手伝わないなら表に放り出すって言われちゃうとね、保身に走らざる得ないのよね。だからじっとしといて下さい、お願いします」
その剣を向けられない筈の相手の首に剣を突き付けてる度胸だけは、素直に褒めて差し上げましょう。ただし、不愉快極まりない。
頭痛がして来ますね。ただでさえ、先日からそれに苛まされているというのに、さらにその種を増やしてくれるとは。
「おまえは、一体何だ?」
「何だ、とは心外ですね。貴女もご存知の通り、私はミネア=ラル・ウフクススですよ」
「煙に巻こうとしても無駄だってのも、よく分かってンだろ?」
「さて、どうでしょう? そもそも私は、貴女方が何について話しているのかさえ明言されてないのですから」
「あくまでそういう態度を取るってか?」
足下にいつの間にか、両開きの扉が顕現する。言うまでもなく、ベスタさんの【移転門】の能力によるものですね。
どこに繋がっているかは知りませんが、碌なところではないでしょう。
「いつだったか、おまえはアルトニアスの適性を間接的に行使して術式を構築してたな?」
「そう言えば、そんな事もありましたねぇ」
わざわざ疑問系ではなく、断定系を使用したという事は、おそらくは現場を実際に見ていたという事。
それをわざわざ否定する程不毛な事もありませんから、ここは素直に肯定しておきましょう。
「そんな事は、普通は不可能な筈なんだけどな。あくまで適性は当人のものであって、他人がそれを間接的に行使するなんて事はできやしねェ」
「本当にそうでしょうか? 貴女が知らないだけで、新しい技術として確立されてるだけかもしれませんよ?」
「少なくとも、ゼンディルじゃそんな技術はおろか、研究されてた事実も無い」
「じゃあ、ティステアで生み出されたんですよ」
「なら、なんで他の奴は使ってないんだ? 徹底的に調べたが、そんな技術を習得してる奴が居るっつう事実は、エミティエストの中からも出て来てねえ」
「それはそうでしょうね。私独自のものですから。いつかも言いましたが、私は頭がとても良いんですよ」
「固有能力の【並列演算】のお陰で、か?」
「…………」
さてさて、どう解釈したものですかね。
これがカマかけの類であるというのならば、それで構いません。ですがもし仮に、本当にこの人が辿り着いたとするのならば。
その時は……どうしてくれましょうか。
「おまえは自分の能力を、頭が良く回る能力だと評したな?」
「あくまで、有体に言えば、ですよ。細かく説明すると、とんでもない労力を要するややこしい能力なので」
「本当にそうか?」
「疑り深いですね。そうする根拠でもお持ちですか?」
「……まあ、直接的な根拠は持ち合わせてねェよ」
でしょうね。わざわざ当時の、数少ない伝手をリスクを犯してまで使用し、手を尽くしたのですから。
しかし、シロさんの言葉はそこで終わりではありませんでした。
「ただ、間接的な根拠は持ち合わせてはいる」
シロさんが差し出してきたのは、他のと比べて圧倒的に厚みの足りない、たった1枚の書類。
それを目にした瞬間、自分の体が強張る。
「ダリア=スレナ・アイビード……これらは、その名前の持ち主に関する調査結果が書かれてる」
「…………」
「さっきのは言わば旧姓で、結婚後にミドルネームも含めて姓は変わってる。結婚後の本名は、ダリア=ラル・ウフクスス。おまえの母親だ」
「……ええ、そうです。良く知る事ができましたね?」
父の管轄内にあった為、迂闊に手出しができなかったのも事実でしたが、逆を言えば私の手ではなく父の手によって庇護され隠匿されていた情報です。
ましてや、母は10年以上も前に死んでいる。それを見付けるのは並大抵の事では無かった筈です。
「確かにな、調べるのはとんでもなく苦労した。何せ生家の中にも、情報は残ってなかったからな」
「つまり、他のところには残っていた訳ですか」
「ああ。それも原始的な手段……他でもない、おまえの父親の手によって書かれた、日記という形でな」
「ッ!?」
シロさんが懐から取り出したのは、とても古ぼけた日記帳。
掠れて読みづらくはありますが、確かに表紙には、見慣れた父の筆跡で、父の名前が書かれてました。
「全く、どこまでも余計な事を……!」
「おまえからすれば、そうかもな。アタシからすれば、大いにありがたかったが。それにタイミングもギリギリだった。アタシがこいつを回収したすぐ後に、おまえが隠滅の為に訪れたからな」
……今の言葉で1つ、確定した事がありますね。
この人は私が思っていた以上に疑り深く、また先を見通す力があったという事。
すぐ後に殺す事が確定していたとはいえ、まだ父が生きていた段階で私の行動を予測し、先手を打つだけの頭と実行力があった。
「5大公爵家とは別のティステアの貴族である、アイビード侯爵家の次女。20年近く前にテュード=ラル・ウフクススに見初められ、後にウフクスス家の末席に名を連ね、数年後に病死……そして【憑着】の固有能力の保持者」
つらつらと、書類に書かれていた事を要約した内容の言葉をシロさんが語る。
「……何か、言う事はあるか?」
「言う事……ですか」
頭が痛いですね。ええ、とてもとても、それこそ割れそうな程に痛い。
あと……右眼が疼きますねえ。
「一体私は、何を言えば良いんですかねえ……!」
シロさんとベスタさん、それにディンツィオさん。纏めて相手するのは分が悪すぎます。それぐらいは分かる。
当然、勝算など皆無です。ですが、手札を切ればそれは変わる。それも劇的なまでに。
「へんなこと、しないで……!」
「…………」
体を動かそうとして、立ち上がれない事に気付く。
視線を落として見ますと、いつの間にか、私の足は座っていた椅子の足ごと、床に埋まっていました。まるで影の中に沈んでしまったかのように。
「貴女の仕業ですか」
この場に来てからも、殆ど言葉を発していなかった女の子。
見てくれは言ってはなんですが、かなりみすぼらしい子でしたが、見かけとは裏腹に元【レギオン】の団員であったとか。
もっとも、裏切られて殺され掛けたとの事でしたので、そうする必要も無いと然したる注意を払ってはいなかったのですが。
「おにいちゃんをきずつけるのは、ぜったいにゆるさない……!」
「「「「…………」」」」
嗚呼、空気が凍りつくというのは、まさにこの事を指すのでしょうね。
「ディンツィオさん、貴方……」
「違うから! 本当に違うから!」
「まだ、何も言ってないのですが……」
あと、剣を突き付けたまま喚くのは危ないので辞めて欲しいです。
「神国法に照らし合わせても有罪確定です。曲がりなりにも法の番人の一員として、貴方の事を裁くべきでしょうかね?」
「それは冤罪だから裁く事は悪よ!? 絶対にやっちゃ駄目よ!? あと別に手ぇ出してねえから!」
いや、その実際に手出しの有無に関わらず、その発想が出て来た時点で大分問題の気もしますが。
「……推察するに、裏切りに遭って喪失感を患っていたところに良くした結果、喪失を埋めようという心理が働き、懐かれたといったところですね」
「そうそう、そんな感じそんな感じ! 俺っちは何もしてない!」
「言い換えると、心神的に弱っているところに、好機とばかりに隙間に忍び込んだという事ですね」
「手ェ出す以前にアウトじゃねェか。真性のロリコンかよ」
「貴様……!」
おおう、なにやらベスタさんが剣呑な目付きをしてますね。まあ体系的にあれなので、理由は簡単に推測できますけど。
「穿った見方は辞めて! ベスタさんそんな怖い目を向けないで、絶対に誤解だから!」
ベスタさんの鬼気に圧されてか、ディンツィオさんが数歩退がり、結果として剣が離れる。
実に空しい勝利ですね。
戦闘が始まって経過した時間は、数分ほどだろうか。間違っても10分は経っていまい。
骨格だけの獅子が上方より襲来。後方に退がったところで2頭目の獅子が右手より。それを剣で迎撃し、弾き飛ばしたところで3頭目。
さすがに読んでいた襲撃を、身を屈めて回避。擦れ違い様に左手を伸ばし、肉の無い肋骨を素手で掴み、再び襲い掛かろうとしていた1頭目の獅子へと投げ付け、【諧謔】本人の斬撃を受け止める。
どちらともなく同時に剣を引き、立て続けに刃の応酬を重ねる。斬撃が、突きが、互いの剣と衝突し合って攻撃を封じ、互いの命を狙う。
そこに体勢を整えた獅子がさらに襲来。剣を引いて間に割り込ませ、大顎を受け止める。同時に踏ん張る力を抜き、獅子の突進の力をそのままに、【諧謔】の刃の追撃を回避。
獅子と刃が噛み合ったまま、数度転がり跳ね起き、拳を剣に噛み付き続ける獅子の頬へ叩き付けて無理やり引き剥がす。
直後に【諧謔】と剣を交え、同時に顔面を狙った蹴りを繰り出す。迫るその蹴りを【諧謔】は避けずに正面から受け止めるも、装甲の厚さ故にダメージは皆無。想定内。
そのまま鎧に踵を引っ掛け、剣を潜り抜けながら体を持ち上げて空中へ。背後に回り斬撃を浴びせるもそこは【諧謔】にとっては死角ではなく、骨の体節を持った首だけの竜が盾となって斬撃を阻み、もう1頭の竜の牙がおれの胸部の肉を削ぎ、反転した【諧謔】が畳み掛ける。
火花が散り、鼻腔に物が焦げた臭いが届く。
おれが放った刺突は【諧謔】の鎧の上を滑り、摩擦による火花と焦げ跡を付けるのみ。一方で【諧謔】の刃はおれを吹き飛ばし、肩を割る。
「クソが……」
たった今肩と胸に受けた傷に加えて、全身にはいくつもの傷が刻まれていた。一方、当然の事だが相手には傷1つさえ無い。
分かっていた事だが、こいつの【操骨】の能力による全身装甲はあまりにも硬過ぎる。
初回では谷底に落とし、紛い物とは言えど、2度目の戦いではアキリアの介入によってそれぞれ戦いは終結している。そのどちらでも、おれは勝つどころか有効打さえ与えられていない。
憎悪が全身を満たし、怒りの原動力によって体を動かそうとも、劇的に強くなれる訳ではない。それもまた分かり切った事だ。
「…………」
膝を付くおれに対して、【諧謔】は追撃を掛けて来ない。理由は明らかだ。
どういう意図かは知らないが、こいつの目的はおれを倒す事ではなく、時間を稼ぐ事らしい。それはおれを殺さずとも達成できる事柄であり、おれを引き止める為に戦いはするが、無理に命を奪うつもりもないという事だ。
そのくせ、こいつを避けて先に行こうとするのは、こいつ自身が阻む。ならば戦わざる得ない。
言い換えればこれは、絶対的安全の確約された戦いだった。その事実が更なる怒りを湧き上がらせる。
「舐めやがって……!」
真剣に戦うつもりが無いというのならば、無理やり戦わざる得ないようにするまでだ。
「無意味だ」
立ち上がると見せかけて、重心を前に倒して突進してからの水平斬撃は、間に入れられた大剣が受け止める。
跳ねて移動し、さらに剣を交える。剣の軌道上に巻き込まれた石畳が、建物の外壁が砕け、破片が中を待ってはさらに粉々に砕け散る。
それだけの剣撃の応酬を繰り広げても、相手の体には傷が付く事は無い。一方【諧謔】の剣は、さらにおれの太股を裂き、脇腹を抉り、頚動脈を掠める。絶対的防御を持つが故の、あまりに一方的な結果。
さらには【操骨】の能力によって生み出された、従魔共までもが襲い掛かって来る。それらをいなし、剣で弾き、回避を続けるが、手数において圧倒的に不利であるが為に、綻びが生じてはさらに体に傷を増やし出血を増やして行く。
「それも無意味」
何度目かの獅子の来襲に、回避が不可能と判断した瞬間に、癇癪玉を投じて爆発させてその衝撃で転がり、牙を回避する。
近距離の爆発はおれの体に裂傷と火傷を負わせるが、それ以上の至近距離で受けた【諧謔】に傷は無い。あるのは精々が、至近距離の爆発による焦げ跡程度。
「ちくしょう、が……!」
負傷で膝が震え落ち、剣を突き立てて支えとする。
分かっていた事だが、こいつは能力を抜きにしても、単純に強い。
それに加えて、おそらく歴代のどの同能力保持者よりも使いこなしている能力が合わされば、手に負えなくなるのは当たり前の事だ。
当然、おれとの間には隔絶した実力差がある。どれだけムカつこうが、その差は覆せない。その差があるが故に、【諧謔】は余裕を持っておれを抑え込んでいる。
全部分かっていた事だ。
理解はしていた。このままではどうしようもない事を。
『どうすんだヨ。啖呵切ったは良いけどヨ、実際問題、オマエにアイツをどうこうできる手段はネェ』
「はっ、はははは……」
急におかしくなって、つい噴き出してしまう。
分かっていた事だ。どうすれば良いかなんて。
「笑わせるなよ、ベル。一体誰が打つ手を持ってないって?」
『ハッ、あるってカ? ならさっさト、その手札とやらを切るんだナ。時期がどうこう言ってられる余裕もねェだロ?』
ああ、お前の言う通りだ。
言われずとも手札はあるし、今すぐにでも切るさ。
「すっとぼけてんじゃねえよ。手札ってのはお前の事だ、ベルゼブブ」
『ハァ?』
剣を軸に身を起こし、【諧謔】の姿を睨む。
元よりそういう目的だからだろうが、あからさまな隙を前に動く事も無く、こちらに猶予を与えて来る。念の為に声を抑え、俯き口元を隠してはいるが、本来ならばその必要も無いかもしれない。
「【操骨】の能力は、能力者の内骨格を増幅させ、その構成を任意に操る事ができる。それ故に能力の発動に用いられる魔力は、常に媒介となる骨の下で動いている為に喰えない……」
『何を今更。ンなもン、今まで散々確認――』
「つまりお前は、骨が邪魔で魔力が喰えないなんて戯言をのたまう訳だ」
なんと情けない話だ。こいつに喰われた【憤怒王】も、草葉の陰で、こんな不甲斐無い奴に敗北したのかと嘆いているに違いない。
「テメェは【暴食】を司ってんだろうが! 喰う事ができない? 喰う力が足りないの間違いだろうが! 力が足りねえならおれの魂を好きなだけくれてやる! たかが骨ぐらい、喰らってみせろ!」
『――ギ』
予期してなかった言葉に詰まったのも一瞬、次の瞬間には下品な哄笑が頭の中に鳴り響く。
『ギャハハハハハハハッ! 良いのかヨ、もう遠慮なんざ一切しねェゾ!?』
「意地汚い大罪を司ってる分際で、慎みを口にするな! その代わり武器を寄越せ!」
『いいゼ、与えてやるヨ!』
ごっそりと、胸の奥から何か大切なものが零れ落ちて行くような感覚が襲い掛かって来る。
それはあたかも生命力であったかのように、体から力が抜けて行く。それに抗うように、全身に力を込めて叱咤する。
そして突進する。
こちらの低空突撃に対して、【諧謔】に動揺は見られない。粛々とした動作で剣を動かし、足下に迫る斬撃を受けようとする。
互いの剣が衝突する寸前で、おれは剣の軌道を変化。上体ごと剣を持ち上げて胴体を狙い、振り抜く。
その斬撃を【諧謔】は防がなかった。代わりに剣はおれの得物ではなく、体を狙って動く。こちらの攻撃が通るとは、端から考えていないが故の、相打ちが勝ちを前提とした対応。
その前提が覆る。
「何だとッ!?」
通常ならば、どれだけ勢いを乗せた剣撃であっても、強固な鎧に弾かれ、逆にそのせいでこちらが体勢を崩して隙を晒す筈だった。
だが今回はそうはならず、普段とは違う手応えと共に、相手の鎧に剣撃の跡を刻む。
その傷痕は決して深くは無く、鎧を完全に突破する事はできていない。だが同時に、それまではおれ自身に返って来た衝撃も相手に伝わって吹っ飛ばし、剣の切っ先がおれの身体に触れる事無く眼前を通り過ぎる。
『硬ェし不味いナ。貝を殻ごと喰ってる気分ダ』
「慣れろ。慣れて喰う効率を上げて行け」
いつかのアゼトナの時と同様、ただ斬るだけではなく、喰らうという余計な手順を要する為か、斬撃の威力に反して与えられる傷は深くは無い。斬線を見極めるのではなく、力任せの要素が強い一撃であるというのもあるだろう。
だが少なくとも、こちらには脅威となり得る牙がある事を示す事ができた。これは非常に大きい。
さらに追撃を掛ける前に、待機していた獅子共が来襲。追撃は後回しにし、確認の意味合いも兼ねて応戦。
最も手近な個体に、上段から剣を叩き付ける。
「よしッ!」
満足の行く手応えと共に、獅子の半身が粉々に砕け散り動かなくなる。それまでは凌ぐ以外に選択肢の無かった従魔を相手に、撃破という新たな選択肢が増えた事を確認する。
続く2体目を縦に両断し、3体目も頭部を破壊し、間髪入れずに胴体に剣を振り下ろして完全に沈黙させる。
「【諧謔】ッ!」
懐に入り込むのを阻もうと襲い掛かる竜の首を、体節の半ばから切断し、二の太刀が【諧謔】の大剣と噛み合う。
剣と剣とがぶつかり軋み合う音と共に、眼前で火花が散る。奥歯を噛み締め、さらに全身に力を込めて押し込む。拮抗したのは一瞬で、直後に【諧謔】の握る大剣が切断されておれの剣が胴体へと向かう。
「ッ!?」
背後で魔力が動くのを感じ取り、咄嗟に剣を止めて身を捻る。右肩に灼熱感が襲い掛かり、肩の骨が軋みを上げる。
見れば切断された筈の竜の頭部が喰らいついており、その瞬間に自分の失策を悟り、即座に離脱。
残る竜の顎から逃れつつ、骨を噛み砕かんとする顎を掴み、力ずくで引き離して地面に叩きつけ、さらに全力で剣を叩き付けて粉砕する。
元々が生物ではなく、能力によって作られた骨格を擬似的に動かしているだけな為に、頭部を破壊した程度では動きは止まらない。だが構成する骨の大部分を破壊してやれば、さすがに動きは止まる。
「この野郎……」
視線の先で、くぐもった声音で毒づく【諧謔】。
以前の芝居掛かった理解不能な言葉の羅列や、これまでの抑揚の抑えられた言葉とも違った、初めて聞いた苦々しい俗的な言葉だった。
「獅子や竜じゃ足りないか……」
半ばから切断された得物や、身に纏う鎧の傷が修復されていく。元々が能力によって発現した物である以上、どれ程損壊しようとも、再び能力を行使すれば元通りにする事ができるのは道理だった。
『おいおイ……』
先ほど全滅させた獅子もまた、再び【諧謔】の鎧の随所から分化し誕生する。ただし今度の数は先程よりも多い5頭。
さらには翳された手の先から、次から次へと単体の骨が生み出されては地面に落下して行く。
下腿骨や膝蓋骨から上っていき、大腿骨に寛骨が生み出され、脊椎骨や肋骨、前腕骨に手根骨、各指骨が続き、頭蓋骨が生み出され、積み重なった骨の山の上に落ちる。
それが終わったかと思えば、それらは独りでに動き出し、互いに組み合わさって人の形を成していく。
僅か数秒で一連の動作は終わり、肉を削ぎ落とした人間の骨格が完成する。
「【死神】には死神を」
最後に【諧謔】の手によって、手に握る大剣と同様を削り出したかのような、白濁した色合いの大鎌が生み出され、それを骸骨の手が握り締め構える。
続けて魔力が動き、術式が構築されて骨格の全身を覆って行き、ボロボロの外套を形成していく。
全てが終わって完成したのは、絵画や御伽噺の挿絵で良く描かれる、死神そのものの姿をした従魔だった。
その死神共が、都合3体。
「そういえば、リグネストは言ってたな。以前戦った【諧謔】は大きく消耗していたと」
ならば、現在同時に生み出し操れる従魔の数は、あの時よりも多くても不思議ではない。そんな単純な事を失念していた。
「行け」
主人の命に従い、獅子と死神の群れが突進。
1頭目の獅子は予定調和のように両断するも、2頭目の獅子と死神の1体が左右より同時襲撃。やむなく獅子を蹴り飛ばし、半月を描いて振るわれる鎌を屈んで回避。同時に剣を振るい膝下の骨を切断。追撃は瞬時に距離を詰めて来た2体目の死神の振るう鎌によって阻まれる。
「ぐッ……!?」
垂直に構えた剣と鎌が噛み合い、予想を遥かに上回る衝撃に全身が軋みを上げる。
腰を落として両足で地面を踏み締めて踏ん張るも、尚も抑え切れない勢いに、擦過音を立てて押し込まれて行く。
「この、野郎……どんだけの魔力を込めてやがる……!」
当たり前だが、筋肉の無い骨格だけの従魔に膂力を生み出す事はできない。あくまで骨格だけの体で動いているように見えるのは、能力者である【諧謔】の魔力によって動かされているからだ。
つまり、動くのに使われる力は【諧謔】がどれ程魔力を割いているかに比例する。
こうして噛み合っている傍から、ベルが従魔に注ぎ込まれている魔力を絶えず喰らっている筈なのだが、それ以上の膨大な魔力を、絶えず【諧謔】によって供給されている。
『右から来るゾ!』
「分かってる!」
舌打ちと共に一瞬だけ力を抜き、拮抗が唐突に崩れた事で体勢を崩す死神に合わせて後退。牙を剥いて跳んで来た獅子を回避し、同時に手元で剣を絡み付かせて大鎌を弾き飛ばし、がら空きとなった胴体に一撃を見舞う。
唯一の救いは、鎌を操る死神に技術などというものが欠片たりとも存在しない事か。
それが【諧謔】にそこまで細かな制御が利かないのか、それとも鎌を武器として扱う術を知らないのか、判断は付かなかったが。
『さらに来るゾ!』
剣を掬い上げ、獅子の下降奇襲を防ぐ。一瞬遅れて、直前までおれが居た空間を復帰した死神の鎌が薙ぎ払い、別の獅子が背後から強襲。身を翻したおれの胴を鉤爪が掠めて赤い線を刻む。
お返しに後ろ脚を切断してやり、地面に落ちたところを蹴り飛ばし、迫り来る死神にぶつけて牽制。すぐさま突きを放ち、下半身を失った獅子ごと死神を貫き粉砕する。
散乱する骨の残骸に紛れて、猛烈な勢いで迫る影。反射的に剣を構え、【諧謔】の突進を防ぐ。
「手加減は辞めよう。半殺しにして、時間を稼がせて貰う」
「そうかよ!」
先ほどので学んだのか、剣に込められた魔力量も増えており、短い間の鍔迫り合いでは到底切断には至らない。
それでは力比べをするだけ無駄だと割り切り、こちらから剣を下げ、別の方角から打ち込む。【諧謔】もそれを受け止め、逆に斬り返して来る。
「まだだ……」
首を傾け、大剣が頬を斬り裂き通り過ぎるのを目視しながら、お返しの斬撃で腹部の装甲を斬り裂く。
左手で振り下ろされる鎌の柄を掴み、切っ先が胸を貫くのと引き換えに、死神を引き寄せ【諧謔】の攻撃に対する盾とし、伸ばされた腕の装甲を斬り裂く。
互いに同時に刺突を放ち、相手の刃が脇腹に潜り込み引き裂かれる代わりに、胸部の装甲に穴を空け僅かな亀裂を走らせる。
「まだまだ……」
ベルという手札によって、相手の従魔を撃破し、装甲を削る事はできる。積み重ねれば、相手の装甲を突破しその下の肉にまで刃を届かせる事とて不可能ではない。それは少し前ではあり得ない展開だった。
だが決定打に欠けていた。
纏う鎧が傷つけば、当然修復される。従魔が破壊されれば、当然新たに生み出される。
その都度魔力が消費されるのは事実だが、おれの知る限り、【操骨】の能力は然程燃費の悪い能力ではない。ましてや【諧謔】の魔力の保有量は、能力によって生み出された鎧を纏っている為に正確な量は見えないし感じ取れないが、かなりの量のはずだ。これまで従魔や武具に対して、湯水のように採算の合わない魔力の注ぎ込み方を見れば、それぐらい想像のは難しくない。
「これっぽっちじゃ全然足りねえんだよ! もっと喰え! 喰って、喰らえベルゼブブ!」
『ハッ、黙っとケ』
嘲笑うかのような声と共に、右手に握る大剣から、まるで蒸気のように、見るもおぞましく禍々しい魔力が溢れ出る。
おれの魂を喰い、徐々にだが、ベルゼブブが往来の力を取り戻し始める。
それに併せて、胸中に収まる心臓が力強く脈打ち始める。
『遠慮なんざしねェッテ、さっき言ったろうガ』
熱い。全身が熱く、そして痛む。
全身を巡る熱が幻覚でない事を証明するかのように、体の随所で濛々と蒸気が上がり始める。蒸気の下にある傷が生理的嫌悪を覚える音と共に、撒き戻されるかのように塞がって行く。
「何だ、それは……」
「悪魔に魂を売って得た力だよ」
踏み込み、剣を振る。先程よりも一段速く、力強い動きだった。
受け止めた【諧謔】の大剣に、半ばまで達する亀裂が入る。押し込もうとするのを、拳が阻む。迫る拳は左手で受け止める。その威力に骨が砕けるが、それも即座に元通りとなり、お返しの蹴りを喰らわせる。
それまでビクともしなかった筈の【諧謔】の体が、僅かに蹴りによって持ち上がり、後退する。その代償として右足の骨から不穏な音が立つが、それもやはり元通りとなる。
「ラァッ!」
間に割って入って来た死神を、掲げられた鎌ごと両断する。さらに続く獅子を2頭纏めて斬り捨て、僅かに遅れて襲い掛かって来た3頭目の首を掴み、握力だけで握り潰し、地面に落ちたところを踏み砕く。
生まれた一瞬の空白。それを逃さずにさらに一歩を踏み出し、全身の力を乗せた刺突を放ち、盾とされた大剣を粉砕し【諧謔】を大きく吹っ飛ばす。
「ふはははあッははははあははははははははッ!!」
まるで促進剤を使った時のような全能感が全身を満たす。それまで劣勢に追い込まれ、防戦一方だった【諧謔】を、一時的にとはいえ覆した事に、胸の奥で燃え燻っていた怒りが解消されて行く。
それが堪らなく爽快だった。
追撃を掛けようとして、新たに生み出された獅子が行く手を阻む。即座に片付けるも、一瞬だけこちらの動きが止まる。
動きを再開させようとして、左足に痛みが走り、同時に動かなくなる。視線を下ろせば、地面から姿を現した骨組みの蛇。
見れば蛇は【諧謔】の足下から生み出され、地面を掘り進めてこちらに牙を突き立てていた。
「チッ……」
剣を旋回させ、蛇の頭部を粉砕する。
蛇の牙は自然のものにはあり得ぬほどに鋭く大きく、間違いなく腱を傷つけていた。だがそれも修復され、すぐに動くようになる。
「なるほど、これがそうか……」
自分の身に起きた事を正しく把握する。
【暴食】とは喰らう欲。喰らうという事は、糧を得るという事。喰らって得た糧を体内で吸収し、自分の血肉へと変える行為。喰らって得た糧を、体を動かす動力源とする行為。
「これが【暴食】か!」
理解する。全身を巡る熱は、いつかユナがやってみせた事と同じであるという事を。
理解する。全身の傷が元通りとなるのは、魔法や自己代謝による治癒とは似て非なるものだと。
ベルゼブブの心臓によって、通常ではありえない量の血液を全身に巡らせ、運動量が飛躍的に跳ね上がっているという事だ。
それは原理こそ同じだが、度合いはユナのそれの比ではない。
喰らう事で糧は血肉へと変えられていくが、それはあくまで【暴食】の悪魔の権能によるもの。当然生み出される血肉は、悪魔のそれに合わせたものでしかない。今は人間の体の中に納まっているが故に、本来の持ち主の中にある状態と比べれば人に近いものが生み出されるだろうが、決して同一ではない。
当然人の体のそれとは似て非なるものであり、また馴染まない。感覚的には、木製人形の欠損を粘土で埋める行為に近い。
どちらも人間の身には過ぎた機能。心臓こそベルゼブブのものであるが故に耐えられるが、肉体がそれに耐え切れない。
かつて【憤怒王の心臓】を行使してた時と同様、使い続けていればおれ自身の身が危ない。そしてそのリスクは、前の心臓よりも遥かに高いだろう。
「だからどうした!」
追撃を阻んだ隙に、【諧謔】は体勢を整えている。
全身の鎧も、手に持つ得物も元通り。従魔も元通りの数となり、さらに先ほど潰した蛇が何匹が加わっている。
加えて、武具に注ぎ込まれている魔力もさらに増えただろう。武具の破壊があくまでベルの喰らうという行為に付随するものである以上、費やす魔力を増やせば、それだけ対抗できるのだから妥当な判断と言える。
だがおれにとっては好ましくない。これではイタチごっこが続くばかりで、消耗戦となる。そうなれば先に倒れるのはおれの方だ。
ならば、別の手札を新たに切れば良い。
「【諧謔】……身内の手の内は知ってたか?」
地面に剣を突き立て、深く押し込んで行く。
思い描くのは、ほんの数日前に目撃した光景。
人の身でありながら人を超越した、超人の身によって達成させられる、人智と道理を遥か彼方に置き去りにした技。
「喰え、【暴食王】!」
大罪王の持つ食欲を、地中の奥深くへと差し向ける。
土中の生物さえも近寄れぬほど深くに存在する、源泉から溢れ出た、意思無き力の流れによって生み出される、地脈と呼ばれる道。
その地脈を流れる力をベルゼブブに喰らわせる。少し前までならば不可能だったろうが、ここまで力を取り戻したこいつならば可能だ。
そして途中で引き抜き、解放する。
途中まで吸い上げられていた意思無き力を、魔力を解放する。
やり方が違う為か、解き放たれた魔力の奔流は、ザグバのそれと比べて遥かに小さい。暴発させたものが竜穴と地脈という違いもある為だろう。
だがそれでも、個人を相手にするのには過剰すぎる魔力の奔流が【諧謔】を目掛けて走る。
轟音と爆光。全身が揺れ回され、視界が明滅し、耳鳴りが遠くから響く。
誤算が1つ。至近距離で炸裂する以上はただでは済むまいと思っていたが、その被る被害は予想以上で、余波によって魔力の進む方向へと吹っ飛ばされる。手にベルを持っていなければ、魔力の奔流の余波でただでは済まなかっただろう。
だが少なくとも、大きく移動させられるだけで、派手な手傷は受けていない。
「……もし次回があれば、もう少し指向性を持たせるべきだな」
全身を打ち据えたか、鈍痛があちこちに発生していた。もっともそれらも、やはりすぐに消えてなくなる。
周囲の光景は壮絶の言葉に尽きる。
まるで大河が一瞬で干上がったかのように、おれの視界よりも高く、あるいは深く地面が抉れ幅広い道を形成していた。
そしてその道は、おれが地脈を流れる魔力を解放した場所から扇状に、やや離れたおれの居る位置の少し先まで広がり途切れていた。
跳躍し、壁の縁に手を掛けて登り、地上へと這い出る。
そして絶句する。
「何だ、こりゃあ……」
完全の光景に対する答えを出すよりも先に、魔力の動きを感じ取り、身を屈める。頭上を【諧謔】の大剣が通り過ぎて行き、お返しの斬撃と返す剣とがぶつかり合い、弾き飛ばされる。
そのまま互いに着地し立とうとするも、踏ん張りが利かずに滑って行き、地面に得物を付きたてて支えとする事でようやく立つ。
「……さすがにタダじゃ済まなかったか」
【諧謔】が身に纏う鎧には、真新しい血が少なくない量、付着していた。
いくら身に纏う鎧が、本人の剥き出しの魔力抵抗力そのものだといえども、無秩序かつ膨大な魔力の奔流を受け止めきれる程では無かったらしく、1度は粉々に砕け散ったのだろう。その際に、おそらくはその下の本人も負傷した。
あらたに鎧を纏うも、一端流れ出た血はそのまま鎧にこびり付いたといったところか。
「まあ、もう止血も終わってんだろうがな」
おれの知る別の【操骨】の能力者は、傷口を骨で埋めて塞いでいた。そいつができるのならば、目の前のこいつにできない道理はない。事実、血は鎧の表面に付着しているのみで、その下から新たに流れ出る様子は無い。
だが、今まで与える事のできなかった大きなダメージを与える事には成功した訳だ。
加えてもう1つ、幸運な要素があった。
「これは……アベルの戦闘の跡か」
魔力の奔流の跡地である地下に居た時には見る事のできなかった光景。
地表は分厚い氷に覆われており、まともに歩く事さえ困難にしている。
その周囲には至る所に燃え盛る炎の平原が広がっており、そのさらに先には灼熱の溶岩で形成された湖が、天から降り注ぐ大粒の雨の受け皿となっては爆発を断続的に引き起こしている。
そして天では暗雲が立ち込め、雷鳴が引っ切り無しに轟いていた。
ちょうどおれが生み出した道の終点を境界線として、周囲とは隔絶した異常な環境が存在していた。
それは見間違える事も無く、あのマヌエリオル戦線にて見た光景と同一の光景だった。
「あの魔力の奔流で、張られていた結界に穴でも開いたか」
高所から見下ろした時には見なかった、見えない筈の無い光景。考えられるのは暫定的に結界を張り、周囲から隔離し後々に腹腔を推し進めようとした、と言ったところだろう。
本当のところがどうかは知らないし、知る必要も無い。
重要なのは1点のみ。
「これは使えるな」
【諧謔】相手の切り札となり得る、ただそれだけだ。
次回予告
投稿次第更新します(次で終わらせるつもりだけど終わる保証が無い為)。
長くなったので分割。多分死神vs諧謔の話は2話構成になる予定。ただし元々は1話で終わるはずだったという裏話。しかも次話で終わるかどうかはかなり微妙。
とりあえず現代知識ありきの諧謔攻略法を、どう適応させるかが問題だった(過去形)。まあ文字にするのはかなり苦労するんでしょうけどね。
冒頭部に出て来たダリア=スレナ・アイビードという名前はそれぞれ、
・ダリア
・勿忘草
・アイビー
を組み合わせた名前。それぞれの花言葉は、感謝・豊かな愛情(裏切り)、私を忘れないで・誠の愛、死んでも離れない・破綻のない結婚・永遠の愛・不死・誠実・不滅。うん、間違いなくミネアは母親似です(白目)。
あと没案として「母親の愛情」の鳥言葉を持つシロチドリを加えようとしたけどしっくりしなくて断念してたり。
いつか感想でも指摘されましたが、順調に主人公が覚醒の階段を上ってたりします。ただしこいつの場合、ただでは覚醒できませんが。