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道化の遊戯⑨

 



「まず前提として、私たちは大きな勘違いをいくつもしていました」


 そうミネアが切り出したのは、複数のテーブルを合わせ、その周囲に並べた椅子に広間に残った面々の全員が腰掛けてからの事だった。


 左手側をベルに、右手側をシロに挟まれたおれから見て正面に立ったミネアがアベルと協力して広げたのは、この箱庭におけるルールが書かれた紗幕だった。


「こちらにある文章ですが、どうして私たちは、これがこの箱庭を生み出している能力のルールだと確信したんでしょうね?」

「……つまり、それはこの箱庭におけるルールでも何でも無いって事でしょうか?」

「さすがオリアナさん、話が早いですね」


 テオルードの妹――オリアナの言葉に、まさにその通りだと、ミネアが答える。


「思い出してみてください。カルネイラさんは、この後に書いて提示すると言っていました。そして言葉通り、そのすぐ後にこの紗幕に火が付き、この文章が残された。

 となれば、この文章こそがルールだと思うのは当然の事です。カルネイラさんは一言も、この紗幕に書くとも、この文章がルールだとも言っていないのに」

「ちょっと待った」


 ミネアの言葉を遮ったのはディンツィオだった。


「仮にそれがここのルールじゃないとして、何でそんな事をわざわざするんだよ?」

「簡単に言いますと、カモフラージュの為ですね」

「カモフラージュ?」

「ええ、そうです。考えてみて欲しいのですが、そもそも、どうして私たちはその文章をルールであると錯覚したんでしょうか?」

「そりゃ、件のカルネイラ様がルールを提示するって宣告――」

「それ以外の、提示された後の話です」


 ディンツィオの言葉を遮ったミネアの言葉に、おれも含めた人間全員が思考に没頭する。

 そしてすぐに、なるほどと言う声が上がる。


「わたくしたちは前提として、領域干渉系の能力には、事前に譲歩する事でさらなる優位を確約するものが幾つもある事を知っていたから、ですわね」

「それに付け加えるなら、自分たちが得た情報の中で、提示された文章に矛盾されるものが無かったから」

「その通りです。おそらくこの文章は、この舞台におけるルールそのものと考えても差し障りが無い。全てその通りであるか、もしくは限りなくそれに近いものでしょう」

「だから待ったっての。それはルールでも何でもないんじゃ無かったのかよ?」


 ミネアの言葉の矛盾をディンツィオが指摘するが、分かっていないのはごく少数だった。

 おれでも、ここまで材料が揃えば、狙いぐらいは推測できる。


「つまり、本来この舞台を生み出している能力は譲歩する必要がない……もしくは、できないタイプのものだという事か?」

「ええ、そうです。さすがですね」


 できの良い生徒に講師がそうするように、満足そうに頷いてみせる。


「では、さらに考えてみましょうか。そうする事で得られるメリットとは、果たしてなんでしょうか?」

「実際には譲歩している訳ではないのに、譲歩しているとこちらが思い込む事による、仮説と実情の差異……つまり、譲歩していないにも関わらず、譲歩しているのだろうという答えに自然に行き着くほどの、術者側に対しての大きなアドバンテージを齎している本当の何かを、譲歩という偽りの答えで紛れさせる事ができると言う訳ですね」

「それもありますね」


 ミネアが灰髪の少女の回答を、肯定と否定が半々に入り混じった返答で受け止める。


「ですがそれは、副次的なメリットに過ぎません。事実私たちは、この舞台が譲歩しているのにしてもおかしいと、どこかで勘違いをしているか嵌められているという疑念を、決して小さくない大きさで抱いていた。

 おそらく彼らにとってその要素は、私たちが上手く騙されてくれれば儲けもの、騙され切れずとも、物事を推測する時に混乱を齎す材料として機能してくれれば上々と言った程度のものだった筈です」


 もっと別の、術者側にとっての大きなメリットがあるという言葉を受けて、動き出す人物が1人。

 【レギオン】所属の女が、手に持ったノートに羽ペンを走らせ、テーブルの上にノートを立て、見事な筆跡で書かれた文章を提示する。


『ゲーム始点位置の誤認』


 そう書かれたノートをミネアが見る事は、角度的に無理があった。


 当然気付かないミネアに焦れたのか、タンタンと、2度ノートをテーブルに打ち付ける。勿論角度的にミネアの目に入る事はない。


「言いたい事あんなら喋れよスィ! 聞こえてるし、喋れんだろうが!」

『断固拒否する!』


 アベルの苛立ったような言葉に、あらかじめ書いておいたのか、ノートのページを何枚か巡って一際強く叩きつける。

 勿論、ミネアのすぐ隣にいるアベルにも、その文は見えない。


 何と言うか、また濃い人物だった。


「ゲームが開始されるタイミングを、わたくしたちに誤認させる事ができますわね」


 目尻に涙を浮かべ始めたその姿に哀れみでも覚えたか、テオルードの妹が代理を請け負う。


「正解です。それが術者側の方々にとって、最も大きな利点です。ここで冒頭での一連の出来事を思い出してください」


 冒頭での一連の出来事――つまりは、この舞台におけるルールとされたものが提示された前後の出来事だろう。


「カルネイラさんがミズキアさんに殺され、声だけでゲームは既に始まっていると宣告した直後に、オーウェンさん……いえ、ヴァイスさんが何者かに捕らえられて消えた時の事です。

 あの時あの場に居た誰にとっても、あの出来事は大なり小なり、衝撃的なものだったと思います。あの場にあれだけの人数が揃っていながら、誰もあの人が攫われた事に気付けず、さらには当人にも抵抗させる暇も与えずにそれを実行してみせたのですから」


 ミネアの言うとおり、前者の理由は当然として、後者の理由はとりわけ【レギオン】の連中やおれたちには、より大きな衝撃を与えた。

 何せ身内の者やおれは、ヴァイスのその実力を良く知っている。その時点では詳細は殆ど分かっていなかったとはいえ、そのヴァイスを簡単に封殺したのは、警戒心を抱くのに十分な理由だった。


「ですが、ここで良く考えてみてください。本当にその時その場に居たヴァイスさんは、ヴァイスさんだったのですか?」

「要するに、あの時居たのは偽者だったっつー訳か? 何を根拠に?」

「もう1度、冒頭での出来事を思い出してください。3人目のカルネイラさんが殺した時に、ミズキアさんが還元できないと言った時の事を」


 ディンツィオの挙げた最もな問いに、ミネアが再び回想を推奨して来る。


「あの時ヴァイスさんは『能力ですか? それは使えない、という事ですか?』と言いました。これって、おかしくありませんか?」

「おかしいって、別にどこも……」


 ディンツィオが言葉を途中で切る。おれもようやく理解する事ができた。


「もしヴァイスさんが本物であるなら、正しくは『能力がですか?』と言うべきで、何より2つ目の問い自体はする必要性も無かった筈なんです」


 ミズキアは自身の【還元】の能力で、他者の命や魔力、そして能力までも還元する事ができる。

 それを身内の【レギオン】の連中は、全員が知っているのだ。本人に隠すつもりはないし、何よりあまりにも有名過ぎる為に。


 だが、大陸の最東に位置するティステア周辺ではその知名度は低い。そもそも傭兵が仕事を請け負う事が滅多になく、活動はそれほど活発でない為に、披露する機会自体が無いからだ。

 それ故に、ミズキアの手のうちを知らない事は十分にあり得る。


 ただの言い間違いで片付けられる余地は十分にある。

 だが仮に、その時のヴァイスの姿を被った何かが、ミズキアの能力の詳細を知らなかったとしたら。

 もしそうだったとしたのならば、あの時発した問いは、全く別の意味のものとなる。


「わざわざそんな事を言ったのは、その時点ではミズキアさんの詳細を知らない為に、ミズキアさんの発言があの人の能力であるかどうかを確認する為。

 2つ目の問いは、そんな事をわざわざ聞いた不自然さを隠す為の行為だったのでしょうが、そんなのは本物であれば自分で試して済む事です」


 ヴァイスの能力である【無刃】なら、少し使ってみて、疑問の答えを出す事など容易だった筈だ。


「だが、それでも絶対にそうだとは言い切れないだろ?」


 重箱の隅を突くような行為だが、あえて反論を述べておく。

 ミネアの言葉はあり得る可能性の域を出ず、たまだヴァイスが言い間違えただけで、自分で試すよりも聞いた方が良いと判断しただけの事とも言える為に。


「ありますよ、言い切れる要素は。というかですね、これらの事は全部、後出しで見付けた不自然な点に過ぎないんです」


 おれの反論は想定済みだと言わんばかりに、あっさりと言う。


「3人目のカルネイラさんを殺した時に、ヴァイスさんは殴ってましたよね。何でヴァイスさんは殴ったんでしょうか? それこそ、能力を使えば済んだ話でしょう。

 ええ、分かってます。それだって偶々の事だったと、言えなくもない。所詮使用の有無は本人の匙加減ですからね」


 出て来るであろう反論に先回りしてミネアが言い、続けて左手を上げ、握り拳を作って見せる。


「あの時ヴァイスさんは、左拳で殴ってました。ですが、これがもっともあり得ない事なんですよ。何故ならヴァイスさんは本来ならば、その時既に……人差し指と中指を失ってたんですから」










「うっひょ! ちょー危ねー」


 ユナが再び結晶の群れを投じ、それをレフィアの尾刃が弾いた直後、手首を噛み切って外部に流出させた多量の血液全てを凝固させて剣としたユナが踏み込み果敢に斬り掛かる。

 横薙ぎのその斬撃を跳躍して回避したレフィアは、そのまま天井に尾を突き刺して体を固定し、獣の大勢で天井に張り付きユナを見下ろす。


「ところでよー、さっき投げた、お前の血を固めたやつは後で回収できんのか?」

「…………」

「まー、どーせ回収できんだろーな。だからこそ囮の為とはいえ、ほいほい投げられる訳だ。だけど――」


 犬歯を剥き出しにして笑うレフィアが、先ほどユナが投じた結晶の1本を手に持ち、口の中に放り込み、音を立てて噛み砕き嚥下する。


「喰っちまえば、さすがに回収できねーだろ?」


 発言からして、ユナの能力がどのようなものであるかは大体把握しているであろう事は、想像に難くない。

 にも関わらず、何の躊躇いもなくそんな事を実行した事に眉を顰めるも、ユナは迷わず能力を行使。そして予想とは違う手応えに再び眉を顰める。


「だから無駄だっつーの。最低でも【諧謔】の抵抗力をよゆーで突破できる干渉力が無きゃ、あたしの抵抗力はブチ破れねー。お前程度の力じゃ、絶対に無理だ」

「だから何?」


 レフィアの言葉を意に介さず、再び結晶の群れを放つ。

 素早く天井から退避し、さらに幾つかの結晶を歯で受け止めたレフィアが、ユナの正面に降り立って結晶を咀嚼する。


「分かんねー奴だな。いくらやろうが、あたしにとっては甘いお菓子以上にはならねーんだよ。お前は無駄骨折って、あたしにおやつを差し入れしてるだけだ」

「だから、それが何だって言うの?」


 3度目の投擲は、前の2回と比べてさらに結晶の数が多く、また広範囲に渡って放たれていた。

 本来の目標である筈のレフィア以外にも、壁や床、天井にまでばら撒かれた結晶が突き刺さり、それ以外の結晶も大半がレフィアから大きく外れて虚空へと飛んで行き、残る一部だけがレフィアを目掛けて飛ぶ。

 そのごく一部も、口で受け止められて咀嚼されるか、そうでなければ尾で払い除けられて終わる。


「だから、無駄だって言ってんだよ!」


 そんな結果など知らないと言わんばかりに、ユナは立て続けに結晶を生成しては投擲。床はおろか、壁や天井に至る全てを利用して、縦横無尽に跳ねて後退するレフィアの影を追う。

 当然その後をユナも追うが、立体的な移動をしているレフィアと、あくまで床のみの直線的な移動をしているユナとでは、後者の方が速度において圧倒的に勝る為に、瞬く間に両者の距離は縮まる。

 レフィアが何度目かの天井を蹴っての跳躍により、壁に降り立った瞬間を捉え、剣を叩き込む。


「遅いんだよ」


 斬撃はレフィアの爪先を掠め損ね、代わりに壁に真一文字の斬痕を刻むだけに留まる。

 その間に、それまでの進行方向を引き返すようにユナの頭上を跳び越えたレフィアが背後に降り立ち、がら空きの背中へと尾を振るい、潜り込んだ肉のすぐ下の硬い手応えに不愉快そうに口を引き結ぶ。


「ふんッ!」


 翻った刃が、相手を一切見る事無く左脇の間から繰り出される。


「分かりやす過ぎるし、間合いを読めてない」


 反転分の時間を省く事によって成立する奇襲も、僅かに後退したレフィアの鼻先で切っ先が停止し失敗する。

 それを嘲笑うように指摘するレフィアに対して、ユナは無言で空いた左手を握り締めて拳を作る。

 その動作に連動して、周囲に埋まっていた結晶が形状を変化。質量はそのままに極細の針となって急伸長し、全方位からレフィアへと襲い掛かる。


「あーはいはい、それも視えてた視えてた。でもって――」


 全方位からの刺突攻撃を、レフィアはその殆どを見る事無く、やる気の無さそうな、それでいて驚異的な身のこなしで軽々と隙間を掻い潜って回避する。

 その滞空中を狙った、針ごと粉砕するユナの斬撃も尾で受け止め、さらにその剣が瞬時に液化し、形状を変化させながら再結晶化してリーチを伸ばした追撃も回避する。


「これも視えてた。この次もな」


 掻い潜った針に尾が引っ掛かり、一瞬だけ、レフィアの動きが止まる。

 その隙を突いたさらなる刺突も、大きく開かれた口の中に吸い込まれ、上下から挟まれて停止する。さらに畳み掛けられた心臓を狙った貫き手も、もう1本の尾が絡みついて締め上げて停止させる。


「そんでこの後、は……?」


 レフィアの視点ががくりと下がり、視界に腹部から上の無い体が視界に入る。

 視界を動かせば、尾に固定されたユナの左手首より伸びた赤い血潮が、唸り声を上げながら傷口へと高速で戻って行っていた。


「こっちだったか」


 腹部から両断されたレフィアが、断面から臓腑を零しながら落下。床に赤い跡を付けながら転がり、天井を見上げて止まる。

 その間にユナは緩んだ尾から腕を引き抜き、今度は上段から手刀を作り、振り下ろす。

 その動きに合わせて再度放たれた【流血刃】が、空中を蛇行しながら駆け抜け、先端がレフィアの頭部に命中。


 僅かながらも水よりも比重が高く、またその中に大量の不純物を孕んだ血液が高圧力を掛けて放たれれば、その破壊力は水が同様の手法で放たれるよりも遥かに高い破壊力を実現させられる。

 その破壊力は吸血鬼が相手であっても遺憾なく発揮され、鼻梁から頭頂部へと抜け出てレフィアの頭部を縦に割り、その勢いのままに床まで刻みながら進路を翻し、今度は耳朶から入り込んで駆け抜け、レフィアの頭部を合わせて3つに分割。


 破壊を終えた血潮は、唸り声と共にユナの手元へ。傷口より侵入し体内に収まる。

 それを見届けたユナが、視線を自分が殺したレフィアへ向ける。

 視線の先では、断面よりちょうど半分割された脳を零した頭部が転がっており、そのうちの片方の目とユナの視線が交錯する。

 勿論、頭部を破壊されたレフィアは何も語る事はなく、すぐにユナの興味は消え失せて逸らされた。










「あー、もう!」


 足を止め、髪をぐちゃぐちゃに掻き回す。


「辞めだ、辞め! 俺に腹芸は合わねえ!」


 吹っ切れたような宣言の後に、カインに合わせて足を止めたギレデアに向き直る。


「お前、一体誰だ?」

「誰って……忘れたんですかぁ? 貴方のお仲間のギレデアですよ」

「茶番は良い」


 さも予想外の言葉を訝しんでいるという風に片眉を上げて答えるギレデアを、完全に敵を見る目で睨む。


「アベルが何で矢鱈とペアを組ませていたのかさっぱり分からなかったが、ようやく理解する事ができた。つか、やっぱり籤に細工してやがったんじゃねえか」

「……本当に一体全体、何の事を言ってるんですかねぇ?」

「あくまで知らないと押し通すか。悪くない手だ。俺が鎌を掛けてる可能性もあんだからな。

 だがマヌケだ。それが通用するのは相手が確信を持ってない場合だ。残念ながら俺は、明確な確信を持っている」

「いやいや、引っ掛かりませんよぉ?」


 苦笑とも呆れとも取れる笑みを浮かべて言うギレデアに、カインは鼻を鳴らし、懐に手を入れる。


「どうしても違うってんなら、こいつを食ってみろ」

「それは……」


 懐より取り出されたのは、何の変哲もない干し肉だった。

 もっとも、この箱庭内に本来そんなものが無い以上は、何らかの形によって外部より持ち込まれたものという事になる。

 例えば、加工する前の状態で入り込んでいたとか。


「分かるよな? 本来お前が加工したキュールの肉だもんな。お前が本物のギレデアだってんなら、こいつを簡単に食える筈だ」


 無理矢理持たされたものがこんな形で役立つとは思わなかったと、溜め息混じりにそう付け加える。

 肉を差し出されたギレデアは、視線を肉に、そしてカインへと戻す。


「食える食えないは置いときましてぇ、それを僕が食べる理由はないですよねぇ?」

「それがもう答えになってんだよ。どの道食わないなら同じだ」

「…………」


 ギレデアがそれまで浮かべていた笑みが、ハッキリと消える。代わりに浮かぶのは神妙なもの。


「何故分かった? 私の【完全変態】は外見や骨格は勿論、声紋や体臭、果ては魔力の波長まで完全に再現できる。如何に魔力探知に優れていようとも見破れない筈だが」

「心音」


 ギレデアの姿をした人物の疑問に、カインは耳を掴んで引っ張って見せる。


「心臓の鼓動の音は、お前が挙げた要素と同様に個々人で異なる。

 さすがに他人が密集した空間内じゃ無理だが、他に混じるもののない少数の場合なら、簡単に聞き分けられる」

「……なるほど、イェンバル家の落ちこぼれ、だったか」


 納得の声を上げ、嘆息し意識を切り替える。


「ならば問題ない。ここで貴様を排除し、遊戯を続行する」

「できない事を言うな」


 干し肉を投げ捨て、代わりに腰の剣の柄に手を掛けて鈴の音を鳴らす。

 チリンチリンと、澄んだ音が周囲に鳴り響く。


「特別に奏でてやるよ」










次回予告

少女の追憶は狂愛へと繋がり、偽りの愚者は道化となり損ね、凶兆の星は傷口をえぐり広げる……みたいな。


そろそろカインの実力が明らかに。ただしもう少し道化の遊戯は続きます。

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