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王都襲撃⑥

 



「ルールその1、この世界は私を中心に、半径およそ100メートルで完結している」


 ガサガサと草木を掻き分けて、濃霧のせいで悪い視界の中を慎重に、道無き道を麓に向けて進んで行く。


「ルールその2、この世界では魔力を用いる事はできない。ただし魔道具については不明。

 ルールその3、この世界では死んでも死ぬ事はなく、無傷の状態で次の世界に飛ばされる。ただし痛みは本物」


 聞こえるのは私が草木を掻き分ける音と、あとはフクロウと虫の鳴き声くらい。

 周囲の景色とあいまってとても不気味で、それを紛らわすように、私がいま陥っている状況を確認の意味も込めて整理して口にする。


「ルールその4、この世界の登場人物は私に近しい人物ないし何かしらの関係がある人物である。ただしそれが事前に調べた結果なのか、それとも私の記憶を除いた結果なのかは不明。

 ついでに言えば、私に関係の無い人物も含まれているのかも不明」


 意外と記憶に強く残るほどに親しい間柄って言うのは、あまり多くない。

 先ほどの世界には、顔こそ分からないものの数十人もの人たちがいた。

 そのうちの全員が、ユナちゃんのように私と近しい間柄であるとは言い難い。

 つまり中には、親しいという訳ではない間柄の人がいる可能性や、もっと言えば全くの無関係な人も居る可能性があるっていう事になる。


「総計するに、被術者を肉体的にというよりも精神的に殺すのに主眼が置かれた能力だね。どちらかと言えば精神感応系に近いかな」


 だけど、精神感応系と比べて大きく違う点が1つ。

 領域干渉系の能力の影響内に居る以上、私は絶対にそのルール内でしか動く事ができないという事。

 それは向こうも同じな訳だけど、そのルールを完全に把握している向こうと、手探りで把握していくしかないこっち側とでは相手側のほうが遥かに有利だ。


「……ん?」


 視界が微かに揺れた気がして、足を止める。

 耳を澄ませてみれば音も一緒に響いて来る。ちょうど、何か大きなものが傾斜を転がって来るような音が。


「これは……うん、落石だね」


 ちょうど人くらいならプチッと押し潰せそうな岩が転がり落ちて来ていた。

 あれに潰されたら、物凄く痛いんだろうなぁ。


「じゃなくて!」


 魔力の恩恵が無いなりに全力で走って逃げる。

 落石に押し潰されない事を最優先に、タイミング良く見掛けた崖から跳躍して飛び降り、転がり落ちる。


「いったぁ……」


 そこまでの高さは無かったとは言え、剥き出しの石や突き出ていた木の根などに体をしこたま打ちつけ、堅い地面を転がり落ちた事で全身傷だらけだ。

 だけどそのお陰で、落石だけは回避する事ができた。

 全身に打撲や擦り傷といった傷を負うのは、落石に押し潰されるのと比べれば遥かにマシだと思う。


「うわっ!?」


 なのに、それで終わりじゃ済まなかった。

 仰向けに倒れていたところに視界の端に何かが過ぎるのが見えて、ほぼ反射的に転がる。

 遅れて、多分蔦か何かで固定されていた、木製の杭がたくさん取り付けられた板が下に居た私を挟み込むように折り畳まれる。

 あと少し移動するのが遅れれば、あれの下敷きになって杭の群れに押し潰されていた。


「……ルールその5、私の不死性もこの世界内では発揮されない」


 全身の擦過傷は、ちっとも治る気配が無い。

 別に欲しいと思って手に入れたものじゃないから構わないけど、手札の1枚は潰された事になるね。


「ルールその6、この世界は人に限らず、ありとあらゆるものが私を殺しに掛かってくる」


 まあブービートラップは人為的に仕掛けられた物だとしても、最初の落石を偶然で片付けられる程、ワタシは能天気じゃないかな。

 それに、そのルールの仮説を裏付けるかのように、目の前に物凄いのが出て来たし。


「ヴァルーガ、だったっけ……」


 普段は温厚な筈の魔獣なんだけど、さっきの落石が物の見事に、竜の逆鱗に相当する幼体を押し潰しているし。

 私の仕業じゃないと言いたいんだけど、言葉は通じないだろうね。というか、完全に向こうは私を敵として認定しているみたい。


「さすがに、食べられるのは嫌かなぁ……」


 また逃げる。だって勝ち目なんて皆無だし。

 後ろから物凄い咆哮が聞こえて来るけど無視。山中なら、私は向こうと比べて小回りが利くから逃げ切れると思う。


 とか思っていたら、急に足場が消えて浮遊感を味わいながら落ちる。


「痛いなぁ、本当に……」


 今度は落とし穴。だけど深さは10メートル以上あった。

 この穴を掘った人には、謎の執念を感じるよ。不幸中の幸いか、底には何も無かったけど。

 でも、上手く着地ができなくて左足が折れてしまった。この足じゃあ、登るのは無理そうかな。


「今度は餓死かなぁ……」


 それか何かが入って来て殺されるとか。

 餓死って相当苦しいらしいんだよね。それとどっちがマシかな。


「……お嬢様、大丈夫でございますか?」

「あれ、貴女は……」


 ふと影が掛かって来て、見上げたら見覚えのある妙齢の女の人が私の事を見下ろしていた。


「侍女長さん、久しぶりだね。元気そうだね」

「ええ、お久しゅうございます。生憎元気という訳にはいきませんがねえ。何せわたくしは、貴女に殺されたのですから」


 私が殺したという事を術者が知っているのか、それとも記憶を勝手に読み取って再現しているだけなのか、いまの段階じゃどっちか判断はつかないね。

 もう少し手掛かりを引き出してみようか。


「お嬢様、どうしてわたくしは殺されなければならなかったのでしょうか?」

「いやぁ、仕方ないじゃん。だって貴女、私の事を殺そうとしたじゃん」


 殺さなきゃ殺されていたのは私の訳で、他の人ならまだしも、他でもない殺そうとした本人に責められる言われは無いと思うんだけど。

 しかも、あんな身勝手な理由でさ。


「わたくしは、長年アルフォリア家に勤めてまいりました」

「でも、殺そうとしたよ」

「たった1度だけでございます。たった1度だけで、わたくしのそれまでの忠誠も無かった事にして、挙句ご自身の独断で処罰したのでございますか」

「それは否定しないけどね、でもそのたった1度で、信頼関係っていうのは簡単に壊れるものなんだよ。それに、仮にあそこで捕らえるだけで済ませたとしても、どの道貴女は粛清されていたよ。だって私を殺そうとしたんだから」

「仕方が無かったのでございます」


 いやいや、本当に仕方が無かったのだとしても、そんな理由で殺された側は堪ったものじゃないと思うよ。

 ああでも、それは向こうも同じ事かな。悪いとは微塵も思わないけど。


「お嬢様は完璧であらねばならなかったのです。お嬢様の能力は神より授けられしもの、それを持つ者は相応の者とならねばならなかったのですから」

「それは狂信者の論だよ、紛れも無いね」


 そんなの私の知った事じゃないし、そんな理由で殺されて堪るかって話。


「ですのでお嬢様、いまからでも遅くはありません」


 侍女長さんが、どこからか一抱えはある籠を持ち出して来る。


「どうかいまからでも、完璧であるようになさってください」


 断ったら、その中身を穴の中に流し込むって言うわけね。

 中身は……うっへ、毒虫だよあれ。それも籠一杯の。


 ていうか、このやり取りって、術者が関与しているのかなぁ。だとしたら、いくらなんでも悪趣味すぎるよね。主に人選が。

 私の返答なんて、決まりきっているでしょうに。


「死んじゃえ、狂人」


 貴女のお陰で、私はあの選別の儀以降碌にジン君と顔を合わせることが叶わなかったよ。


「真に残念でございます。今度はお嬢様、貴女が殺される側ですね」


 籠の中身が穴の中に落とされる。もう最悪。

 経過は実に筆舌にし難いね。

 ただ1つだけ言えるのは、餓死の方がまだマシだったっていう事かな。


 にしても、冷静に考えればまだこの能力の詳細については確定ではないんだよね。

 つまり、精神が無事な限り何度も死ねる保障も無い。もしかしたら、相手を規定回数殺す事で初めて死が成立する能力なのかもしれないし。

 うん、次の舞台がどうなるかは知らないけど、何かしらの手掛かりは絶対に得なくちゃね。










「ティステアを、舐め過ぎ、だぁ……?」


 胸を押さえて膝を付くザグバが、文字通り血を吐くように言葉を吐き出す。


「それなら、こっちも言わせてもらうぞ!」

「「ッ!?」」


 テオルードとゼインは咄嗟に飛び退き、半壊した建物の中から脱する。


「あんたらこそ、俺らを……」

「【レギオン】を舐め過ぎだ!」


 ザグバが拳をその場に打ち付ける。

 と同時に転落したミズキアが元通りの姿で、怪物の背に乗った状態でゼインの頭上から落ちて来る。


 地面に打ち込まれた拳は、擂鉢状の巨大なクレーターを生成すると共に、周囲にそれだけで建物を容易く粉砕する衝撃波を撒き散らす。

 半径にして優に100メートル近い距離に渡って齎された破壊の暴風が過ぎ去った後に、原形を留めているものは何1つとして存在していない。


「この程度で死ぬ訳がないよな」


 全身の傷口から濛々と蒸気を上げて塞ぎながら、ザグバが立ち上がる。

 直後に、ミズキアが足場としていた怪物が突如としてのた打ち回り始める。


「のわッ、何だ!?」


 ミズキアの疑問の答えは、すぐ近くに怪物の体内を突き破ってゼインが現れる事で出る。


「便利だな、これ。血で汚れる事も無い」

「まさか意図せぬ事とはいえ、オーヴィレヌ家の者を助ける事になるとはな」


 ゼインに続いて、テオルードもゼインが出て来た穴をよじ登り姿を現す。


「テメェら、人のペットをシェルターにしやがったか」

「結果的にそうなったというだけの事だ」

「ただ勘で、こっちに来れば助かると思ったんでな」

「そうかよ!」


 ゼインへと拳を振り被り、そこにテオルードが蹴りを叩き込む。それを左手で受けての、右拳はゼインによって手首から切断されえる。直後に翻った手刀は横に身を引いて回避し、切断された腕の断面を押し込み脇腹に突きを埋める。


「ぐッ!」


 通常の拳と比べれば威力の欠けるものだったが、それでも一瞬怯ませる事には成功。その隙を突いて無事な手を伸ばそうとし、背後からナイフを突き立てられる。

 そして間髪入れずに、心臓を目掛けてのゼインの手刀。


「がッ……ザグ、バァ!」


 ニタリと笑い、心臓を貫かせたのはわざとだとゼインが察した時には、怪物の巨体を駆け上がったザグバが空中に躍り出ていた。

 そして振り被られた拳が放たれる瞬間、今度はテオルードがミズキアの体を全力で蹴飛ばし、その反動で自身も跳ぶ。

 一方のゼインも、そのタイミングに合わせて自ら跳ぶ事で距離を稼ぎ、間一髪で拳の範囲内から逃れる。


「チッ、惜しいな――って!?」


 自殺して正常体に戻ろうとしたミズキアが、唐突に頭上から圧し掛かって来た怪物に押し潰される。

 結局それで自殺する前に死んだミズキアは、怪物の巨躯の下から這い出て、即座にその場から退避。遅れて怪物の前足が振り下ろされる。


「何だってんだいきなり!?」

「貴様は額の魔道具で、あの怪物共を制御しているのだろう」


 ゼインの視線の先にあったのは、怪物の額に刺さっていた角柱。


「だが魔道具は極めて繊細だ。とりわけ、良き作品であるほどその傾向は強い。そういったものは、ほんの僅かなズレだけで効果を失う。

 ならば話は簡単だ。ほんの少し、触れた際に構造を書き換えるだけで良い。たったそれだけで魔道具は効果を失い、制御されていたものは支配下より脱する」


 本来、ゼインの固有能力である【改変】によって受けた傷に痛みは伴わない。

 にも関わらずミズキアのペットがのた打ち回ったのは、まさにその瞬間に怪物がミズキアの支配から脱したが故だった。

 頭上から落下してきた際に能力を使い押し潰される事を防ぎ、そのまま背へと出る前に、体内から突き刺さっていた角柱の元へと向かい構成を書き換えていた。


「やってくれたな……」


 歯噛みして吐き出された言葉に対する返答は手刀。それを捌き、首に下げたペンダントに手を伸ばした瞬間、再び背後に怪物の足が踏み下ろされる。


「クソっ……!」

「どうやら恨み辛みはしっかり覚えているみたいだな、そのデカブツは!」


 テオルードの投擲したナイフが左肩に刺さり、体制を崩したミズキアは無人となった露天に墜落。売り物だった果物を掻き分け立ち上がろうとし、転倒する。


「こっちには効くみたいだな」

「毒か……ッ!」


 そこに売り物ごと踏み潰され、死ぬ。

 ミズキアを再び潰した怪物は、勝利の雄叫びを上げ、眼のない頭部をゼインとテオルード、そしてザグバへと向ける。


「恨みを晴らして終わりじゃないか」


 四肢を順に動かし、意外と早いペースで進み始める。

 向かう先に存在するのはザグバだった。


「チィ――ッ!!」


 テオルードの投げたナイフを持ち手を掴んで受け止め、ゼインの伸ばして来た手から身を引いて逃れる。直後に唐突に動きが静止する。

 その不自然な硬直は、受け止めたナイフを手放す事で解ける。その一瞬の隙を突いての手刀こそ回避するものの、腎臓に手放された後に独りでに動いて回収されたナイフが突き立てられる。

 振り向いて拳を放つも、既にその軌道上にテオルードの姿は居ない。だが変わりに衝撃波が地を砕き、瓦礫がゼインの全身を打つ。


「オラァッ!!」


 続く第2撃は、異常なまでの伸張率で首を伸ばして来た怪物の顎を打ち、強制的に閉口させる。

 間髪入れずに膝蹴りを喉に叩き込み、怪物の200トンを超える巨体が優に数十センチは浮かんで落下し、小規模な揺れが発生。

 その際に合わせて発生した粉塵を切って突進して来たゼインに、拳で迎え撃つ。さらにそこからの、蹴りと反対の拳も合わせた連撃。


「シャァッ!!」


 上段から振り下ろされる、身を捻りながらの蹴りがゼインの眼前を掠めて風圧だけでよろめかせ、地面に埋まり飛んだ瓦礫が頭部に当たって血が流れる。

 その埋まった足を引き抜かず、軸にして反転。回し蹴りがテオルードに炸裂する。


「ぬおッ!?」


 それを蹴りは勿論、合わせて発生する衝撃波も同様にそれまで通りに回避しようとしたテオルードだったが、完全に回避した筈が風圧を喰らい体勢を崩される。


「何だこいつ――!?」


 疑問を形に表す暇も無く、技術も外聞も無い後方に身を投げての地面を回転して立ち上がる。そこには細長い、怪物の額に刺さっていたのと相似の角柱が深々と突き刺さっていた。

 同時に奇声が響き渡り、怪鳥が鋭利な嘴を突き出し低空滑空して来る。

 それに新たなナイフを逆手に構え、タイミングを合わせて棒高跳びをするかのように身を捻って跳躍し、怪鳥が体の下を飛び過ぎる擦れ違い様に眼球にナイフを叩き込む。


「毒は効かないかよ! 竜以上の化物か!?」


 痛みに身を捩って旋回し、周囲に羽が撒き散らされて破壊を齎す。

 それを両者共に回避し、背中合わせとなったところで強襲する影。

 上空より降って来たものと同様、棒術用の物だと言われれば納得できるような黒い角柱を復活したミズキアが突き出す。

 それを躱し、横から掴んで攻勢を書き換えミズキアにも手を伸ばそうとしたところにザグバが拳を振り被る。そこに姿を眩ましたテオルードが後頭部に蹴りを叩き込んで地面に叩き付ける――かと思われたが、地面に叩きつけられる寸前で5指を地面に突き刺して静止。その手だけでバネを利かせて跳躍し、回転踵落としへと移行。

 それがまた粉塵を巻き上げ、視界が急激に悪くなる中で小さなナイフが無数に飛来。それらをミズキアは急所を守るのみで回避せずに前進し、ザグバは拳の風圧だけで吹き飛ばす。


「やっぱりな。何でだかは知らないが、こいつ、さっきよりも……」


 テオルードが明後日の方向にナイフを投擲。と思えば、投擲されたナイフは怪鳥の撒き散らした羽毛の1つと衝突。粉々に砕け散る代わりに羽の軌道を変えてちょうどゼインへと向かって行っていたザグバへ。


「あの鳥も鬱陶しいったらありゃしねえ」

「ならば書き換えれば同じ事。あれと比べて動きが愚鈍でない分、より困難ではあるが……」


 上空を旋回する怪鳥の周辺に、もはや足場となり得る無事な建物は存在しない。

 つまり先ほどテオルードの時のように、向こう側が迫って来た時に合わせてカウンターを行うしかない訳だが。


「レグートはまだオレの支配下にある。迂闊にテメェには近付かせねえよ。もっとも――」


 ミズキアが書き換えられて使い物にならなくなった角柱を放り捨て、腰の辺りに手をやり、戻すとそこには新たな角柱の棒が握られていた。


「書き換えられたんなら、それを捨てて新しくぶっ刺してまた支配すれば良い。それに、オレのペットはあれらだけじゃ――」


 言葉の途中で襲来してきた怪物が、ザグバによって殴り飛ばされる。

 それもそれまでとは違い、十分な溜めの行われた超人の全力の一撃。

 必然、その頭部は喉元から根こそぎ吹っ飛び消失する。そして頭部を失った体は尚も進むも、続く2の拳で吹き飛んで転がり、動かなくなる。


「おい、ザグバァ……!」

「手綱の握れないペットを野放しにする方が悪い」


 唇の端を痙攣させたミズキアに、ザグバは単にそれだけ吐き捨てる。

 そして続いて、それにと付け加える。


「仲良しこよしは、他の団員はともかく、俺たちの流儀じゃないだろう」

「……なるほど、一理あるな」


 ミズキアも納得したように、表情を元に戻す。

 ザグバもまた、上着を脱ぎ捨てる。

 と同時に、シャツの下の、ちょうど腎臓の辺りから濛々と蒸気が上がり始め、傷が跡形も無く消える。


「大体半年ほど・・・・か。中々どうして、高揚してきたなぁ! 戦場でもここまでの実力者には早々巡り合えない!」

「ハッ、先に言っとくがよぉ、そっちが先に言い出した事だからな。もうお前を巻き込まないとか、そういう考慮は一切抜きだ」

「安心しろよ。俺も同意見だからな」


 互いが凶暴な笑みを浮かべる。

 それを見ていたテオルードとゼインも、互いに顔を見合わせる。


「……不思議な事に、いつの間にか我々は共闘していたらしい」

「オーヴィレヌとウフクススだってのにな」

「だがそれは、あくまで結果としてそうなっていたというだけの事であり、そうしようとしてそうしていた訳ではない」

「ややこしいな。とりあえず要約すれば、これまで通りって事だ」


 こちらは相手と違い、笑みなど浮かべない。

 どちらも、先頭を楽しむタイプでは断じてないが故に。


「これまで通り、か。向こうは良い言葉を使うな。まさにこれまで通り、いつも通りだ」

「いつも通り、早い者勝ちってなぁ!」











まだ前話の終わりには辿り着きません。

因みに筆者的にはミズキアが好きというか、書きやすいです。中々主要人物が死なない中で、こいつはホイホイ死なせられるので。

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