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ストリートレース  作者: クラシック愛好家
27/30

湾岸ドライ 三つ巴


◆湾岸ドライ──三つ巴、点火


ディアマンテ(セイジ)と

W124(カイ)が完全並走した、その瞬間。


背後で 獣みたいな直6の咆哮 が膨れ上がった。


リョウ(E46ツーリング)


「……待たせたな。

 S54、こっから本気出す!」


一瞬でわかる。

——あの回転上昇は“待ってた”エンジンだ。


次の瞬間、


ドゥオオオオオオォォォッ!!


E46ツーリングが射出されるように迫ってきた。

S54特有の“上で伸びる加速”が、湾岸の空気を切り裂く。



◆◆三つ巴の距離感が一瞬で変わる


カイ


「おいおい……!

 あんなクソ重いワゴンが、この速度域で上がってくんのかよ!」


セイジ


「……S54は上が伸びる。

 “直線だけなら俺らより速い”って言ってたろ。」


リョウ


「言ったよ?

 でも言ってないことがある。」


E46のヘッドライトが、

W124とディアマンテのすぐ後ろに張り付く。


リョウ


「“三台で走ると、一番後ろが一番速くなる”」


セイジ


「スリップ……三重かよ……!!」


湾岸の長いストレートに、

3台分のスリップストリームが連鎖する。


まるで巨大なトンネルを形成したかのように、

E46の速度が異様に伸びる。



◆E46ツーリング、横一列へ!


ブワァアア!!!


E46の鼻先が一気に前に出る。


3台がほぼ同時に横一列に並ぶ。

湾岸の真ん中、あり得ない光景。


セイジ


「三台横並びって……死ぬぞ俺たち……!」


カイ


「いや……“この区間だけなら”いける。」


リョウ


「やっぱお前ら好きだわ、こういう無茶。」


湾岸の白いライトが3台のボディを照らす。

全車250〜260km/hのまま横並び。


緩い起伏を超えるたび、

車体が浮くほどの速度域。


それなのに、3人ともアクセルを抜かない。



◆そして──前方に“次の罠”が見える


リョウ


「……おい、前。見えてきたぞ。」


カイ


「ああ……あそこは危ない。」


セイジ


「一番“事故る”区間じゃねえか。」


前方に迫るのは――


湾岸・分岐の“白い壁”が迫る区間。

ミスれば、吸い込まれて死ぬやつ。


スリップの効果で“引かれ合ったまま”

避ける余裕がほぼない。


3人の選択が問われる。



◆湾岸ドライ──“三つ巴”から、突然の離脱


白い分岐の壁が迫る。

3台横並びのまま突っ込めば、

誰かが吸い込まれて死ぬ区間。


その瞬間だった。


キィィィィィ!!!


E46のブレーキランプが赤く光った。


大きくではない。

ほんの “100分の3秒” だけ踏んだ。


普通なら誰も気づかない“微ブレーキ”。


しかし――

時速260km/hの世界では、致命的な速度差になる。


セイジ


「リョウ!? なんで減速した!!」


カイ


「……っ!!

 (後ろに、下がる気だ……)」


E46がスッ……と後方へ落ちる。

まるで三つ巴から自ら抜けるように。


並走の圧が消える。

風の壁が動く。

スリップの渦が解ける。


その瞬間、

カイとセイジの2台は――

“生き残れるライン”を取り戻した。



◆E46は、ただ下がったんじゃない


リョウの無線が入った。


リョウ


「……悪いね。

 三台横並びは、誰か死ぬ。

 俺は後ろから全体を見た方が速い。」


セイジ


「そんな綺麗事じゃ引かねぇ男だろお前!

 なんで下がった!!」


リョウ


「理由?

 簡単だよ。」


湾岸の照明に照らされるE46の影。

その向こうから、リョウの声が静かに落ちてくる。


リョウ


「お前ら2人の“ライン取り”を、

 後ろで“全部見たかった”。」


カイ


「……見せる価値がある、ってか。」


リョウ


「当たり前だろ。

 W124でその速度で外を刺す奴も、

 雨でも晴れでも狂ったライン使うディアマンテも、

 そういねぇからな。」


セイジ


「……チッ。

 そういう時だけクソ真面目かよ。」


E46は後方に下がったまま、

微妙な距離を保ちながら、

完全に“観察者の位置”についた。


しかしそれだけじゃない。

E46のライトが、わずかに震えている。


カイ


「(……まだ終わる気じゃない。

  あれは“仕掛けてくる目”だ。)」


リョウ


「続けろよ。

 俺は後ろから全部見て、

 一番速いラインを奪う。

 そのあとで抜く。」


静かな宣言。

だが、それは最も恐ろしい敵の言葉だった。



◆再び、W124 vs ディアマンテ──一騎打ちへ


セイジ


「おいカイ……

 後ろのアイツ、完全に“殺りに来る目”してるぞ。」


カイ


「ああ。

 だから今は、お前に集中する。」


セイジ


「来いよ重量級!

 俺ののライン、見せてやる!」


カイ


「いいや俺ののラインで飲み込むね。」


再び2台が火花を散らすように加速する。

後方ではE46が、

ライトを細めて“狙っている”。


3つの思惑が湾岸の直線で交差する。



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