湾岸ドライ
遅れてすみません( ̄▽ ̄;)
忙しかったんです
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◆湾岸ドライ・夜──スタート直後
リョウ(E46ツーリング/S54)視点の実況
後方から二台の加速と挙動を読みながら。
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リョウ(無線)
「はい来ました、加速勝負。
まず飛び出したのは――やっぱりセイジのディアマンテ。
ターボの一撃、あれ止められる国産セダンいないだろ。」
前方でF34Aが一気に車体を沈ませ、弾丸みたいに伸びる。
雨の日なら“神”みたいに食う車だが、今日はドライ。
それでも挙動が乱れないのは異常。
リョウ
「あの加速、車重1600kgオーバーの動きじゃねえ…
てかどういう足してんだよあれ。
F34の弱点、全部潰してあるだろ。」
一方、カイのW124は古めかしい咆哮と共に、
“重さを押し出す”ように加速していく。
リョウ
「でたよカイの車。
ドッシリ直進特化。
こっちはアナログな制御で“伸び”を殺さないセッティング。
電子制御最低限…いやホント最低限。
トルクで押す押す。」
前方で、ディアマンテがいったん車線左へ流れ、
カイの動きを見ている。
セイジ
「その124……悪くねぇじゃねぇか。
“重いのに速い”ってのは男の夢だよなぁ?」
カイ
「だったら抜かれんなよ……ッ!」
W124の直6が一段ギアを繋いだ瞬間、
重い車体が“慣性の塊”みたいに一気に前へ飛ぶ。
リョウ
「おいおいおい……その出方は反則だろ。
重量級なのに立ち上がりで伸びてるのはヤバい。
ECUだけでここまで出るのかよ。」
二台の距離が一気に詰まっていく。
湾岸の夜景が流れ、速度計がそれぞれ“想定以上”を示し始める。
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湾岸ドライ──速度域260km/h付近
リョウ(E46)視点の実況
湾岸の道が、ただの“線”にしか見えなくなる速度。
ここから先はパワーより 空力と安定性の世界。
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最高速域・空力勝負
リョウ
「はいキタ、260オーバーゾーン。
ここからは空力の差がモロに出るぞ…!」
前方では、黒いディアマンテが腹を低くして矢のように突き抜け、
そのすぐ後ろに、異様な安定感で食らいつくW124。
普通ならここで“差”がつく。
古いセダンは空力負けして伸びが止まるのが当たり前。
だが――
リョウ
「……止まらねぇのかよ124!!
あのボディ形状で、この速度で、安定してる!?」
セイジのディアマンテがわずかに揺れた。
フロントに細かい乱流が出て、車体が微振動。
リョウ
「あれはF34特有の“鼻の浮き”。
雨なら誤魔化せるけど、ドライの最高速じゃボロが出る…!」
対してカイのW124は――
W124の車体が地面に吸い付くように、一直線に伸びる。
リョウ
「これは……
重量“プラス”アナログ制御がハマってる。
余計な補正が入らないせいで、直線で無駄に姿勢を乱さない。
“重いのに安定して速い”の完成形みたいだ……!」
速度計はさらに上。
背筋が凍るような音で風切り音がキャビンを叩く。
セイジ(無線)
「カイ……その124、マジでどういう手ぇ入れた?
普通こんな速度で食ってこないぞ……!」
カイ
「最低限のECUと、あとは……
俺が“重い車の走り方”学んだだけだよ。」
W124の速度がさらに伸びる。
後ろから見ても“ブレない”。
ディアマンテとの差がじわじわ縮まる。
リョウ
「……出てる。
重さが“マイナス”じゃなくて“武器”になってる。
軽いのを速くするのは簡単。
でも――
重いのを最高速で押し切るのは、魔法に近いんだよ……!」
ついに、W124のヘッドライトがディアマンテのリアバンパーにかかる。
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◆湾岸ドライ──260km/h、緩い右コーナー
ヘッドライトの照度が変わった。
前方に、湾岸特有の “緩い右の高速コーナー” が迫ってくる。
普通ならアクセルを少し戻す。
だが速度は 250〜260km/h のまま。
リョウ(E46)
「ここでの勝負かよ……!
重量級は本来、ここで終わる。
ブレーキの入りが遅れれば外に飛ぶし、
早すぎればラインが膨らんで失速する……!」
黒ディアマンテが先に動いた。
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◆◆ディアマンテの“重量級ライン”◆◆
F34の車体が、わずかにインへ角度を落とす。
軽い鼻先がクイッと向きを変え、最小限の舵角で旋回を開始。
セイジ
「(この速度なら……このコーナーは俺が速い!)
来いよカイ、ラインで差を付ける!」
比較的軽量×高出力×タイトライン。
雨のイカれ仕様じゃなくても、ディアマンテは本来コーナー性能が高い。
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そしてW124──“重い車の曲げ方”
カイはアクセルを戻さない。
ブレーキも踏まない。
リョウ
「……は?ブレーキ入れないのか!?
330でそのまま突っ込む気かよ……!」
W124の鼻先はディアマンテより外側。
普通なら失速ライン。
だが──
カイ
「“重い車は、重心移動で曲げる”…だろ?」
わずかなステア。
同時に、アクセルをほんの“1mm”だけ抜く。
車体が一瞬だけ沈む。
その重さが、前輪に圧をかける。
それがそのまま“旋回力”に変わる。
W124が外側から弧を描きながら、
巨大な重量を利用したスイープラインでコーナーへ入っていく。
リョウ
「うわ……出た……
綾瀬流《重い車を速くする理論》の本質——
“重さを殺さず、曲げるために使う”ライン取り!!」
W124の車体が外側から入り、
軽いディアマンテのタイトラインの外側を、
速度差で圧し潰すように追いついていく。
セイジ
「なっ……!
なんで外から食ってくるんだよ、その車重で!!」
カイ
「外から速く走る方法なら、
何百回も“死にかけながら”覚えてきた。」
リョウ
「……あれはもう、技術というより執念だな。」
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◆W124、外側からディアマンテに並ぶ!
コーナー出口。
タイトラインのディアマンテは、わずかに立ち上がりが遅れる。
外側を大きく使ったW124は――
最速の立ち上がりラインで加速を開始。
セイジ
「外から来るのかよ!?
“重さ”は……お前の武器なのか……!!」
カイ
「ああ。
“軽くするから速い”ばっかりじゃ面白くないだろ。」
ヘッドライトが並ぶ。
黒いディアマンテ
銀のW124
――高速コーナー出口で完全並走。
湾岸の照明が2台のルーフを流れるように輝いた。
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