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ストリートレース  作者: クラシック愛好家
23/30

「雨夜、湾岸にて」 ― 実走編


第15話「雨夜、湾岸にて」 ― 実走編

──────────


 湾岸線・辰巳入口。

 信号が青に変わるタイミングで、3台のテールランプが同時に浮かび上がる。


 先頭:ディアマンテ / セイジ

 2番手:W124/ カイ

 後方観察:E46 / リョウ


 豪雨。

 水煙。

 路面温度は低い。

 ハイグリップタイヤが逆に仇になるような、完全なる“雨のステージ”だった。


「いいかカイ、雨は“踏む区間”が決まってる。」

無線越しにセイジの声。


「ドライみたいに全開時間を伸ばすな。

 “滑る前に加速を終わらせる”

 これが雨の基本だ。」


 ディアマンテが前に出る。

 異様な加速──だが途中で踏み足しをしない。

 1発で加速を終え、あとは“転がす”。


「おいおい…あんなに重いのに、滑らねぇのかよ…」

カイが驚く。

ECUでレスポンスが上がったEクラスでも、濡れた路面では全力を出せず、スロットルを微調整するしかない。


「直6は雨で強い。振動が少ないから、トラクションが抜けにくい。」

リョウの声が無線に入る。

「でも──セイジほどの無駄の無さは、ちょっと真似できねぇな。」


 その直後──


 セイジのディアマンテが、

 雨の中で まるで“電車”のような動き を見せる。


 ブレーキ → 減速 → ライン固定 → そのまま再加速

 ハンドルの“角度が変わらない”。


「わかるかカイ。これが“重さの正義”だ。」

セイジが言う。


「俺の車は1.6トン。それでも曲がる。なぜか。

 ──荷重が消えねぇからだ。

 軽い車は雨で荷重が飛ぶ。重い車は、雨でもタイヤを押しつけ続ける。」


「…そんな理屈、聞いたことねぇぞ……」

「だろ?でも真実だ。」


──────────

そして──“試す時間”が来る。

──────────


「カイ、次のコーナーで踏め。」

セイジが指示する。


「雨だからこそ、ECUの変化が出る。

 電子制御を信じて、行け。」


「──了解。」


 W124、2速 → 3速

 ECU変更後の“鋭いトルク”が一気に後輪を蹴る。


 しかし、滑らない。

 むしろ車が軽く感じるほどに前へ出る。


「……嘘だろ。

 今の踏み方、ドライでもギリギリなのに……雨で、行ける…!?」


「制御を敵にするな。

 電子は“味方につけた瞬間”から武器だ。」

リョウが言う。


──────────

そして――

──────────


 遠く。

 加速区間の先、右側の非常駐車帯。


 黒い80スープラが、止まっていた。


 ヘッドライトもつけず、ただ雨の中で“見ている”。


「……おいカイ、気づいてるか。」

セイジの声が低くなる。


「来るぞ。あれが──“次の敵”だ。」


──────────

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