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ストリートレース  作者: クラシック愛好家
22/30

「雨夜、湾岸にて」



第15話「雨夜、湾岸にて」


──────────


 深夜1時すぎ。

 路面は完全ウェット。

 首都高湾岸線──レインボーブリッジを抜けた先、照り返す路面がまるで黒い鏡のように光っていた。


 パーキングエリアの屋根下で、3台の車が雨音を背に並んでいる。


 ・F34A ディアマンテ(3.0ツインターボ / 5MT / セイジ仕様)

 ・E46 318i ツーリング(S54 / 6連スロットル / 5MT / リョウ)

 ・W124(ECU現地合わせ直後 / カイ)


「……でけぇな、やっぱディアマンテって。」

フードを開けたセイジの車を見ながら、カイが苦笑する。


「重さは正義だよ。雨の日ならな。」

セイジがニヤリと笑い、ボンネットを閉じる。

その音だけが、雨の世界に硬く響いた。

「トラクション、抜けねぇんだよこの鉄の塊。だから滑らねぇ。」


「でもNAの特性もよくわかってるお前が、ツインターボなんだな。」

とカイ。


「雨の日は話が違う。息の長いトルクより、瞬発力で“前”に出す。」

セイジは指を弾く。

「滑る前に加速終わらせる。それが雨の走り。」


 そこに横からリョウが声を入れる。


「まあ、俺は逆に“コントロールで遊ぶ派”だけどな。」

リョウのツーリングは、NAの直6が雨音の中でも軽やかにアイドルしていた。


「で、カイ。」

リョウがEクラスを指差す。

「ECU仕上げたばっかで、いきなり雨の湾岸かよ。普通ビビるぞ?」


「普通じゃ勝てねぇからな。」


 カイはエンジンをかけた。

 M104 直6が、今までより明らかに鋭いレスポンスで回り出す。



「燃調も点火もMAP取り直し。踏み切れる領域が増えた。」

カイはシートベルトを締める。

「問題は──雨で出せるかどうか。」

セイジがつぶやく


「だから連れてきたんだろ?雨のプロを。」

カイが笑う。


「お前の走り、雨だとどうなるのか見ててやるよ。

 ついて来い。俺が“限界の位置”を見せる。」


──────────


 次の瞬間、ディアマンテのテールランプが暗闇を裂いた。


 雨の湾岸へ――

 3台が、ゆっくり滑り出していく。


──────────


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