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新章 桃太郎伝説 短編版

作者: だんぷてぃ

新章 桃太郎伝説


かつて文明が栄えていた時代、人々は空を飛び、鉄とガラスの塔を建て、夜を昼のように照らしていた。だが、その文明は大いなる戦争と天変地異によって滅び、世界は荒れ果てた。


そんな世界の片隅に、一人の老婆が住んでいた。彼女は廃墟となった集落の近くの川で食べ物を探しながら暮らしていた。ある日、川を流れる古びた金属のカプセルを見つける。その表面には、かすれた文字で「実験体MOMOTARO」と書かれていた。


老婆がカプセルを開けると、中から幼い少年が目を覚ました。彼は機械の部品のようなものを体の一部に持ち、瞳には奇妙な光が宿っていた。老婆は彼を「モモタロウ」と名付け、育てることにした。


モモタロウは驚くべき力を持っていた。彼の腕は鉄よりも強く、目は闇の中でも物を見通し、肌は炎に耐えた。やがて成長したモモタロウは、老婆を苦しめる「鬼」の存在を知る。鬼とは、かつての文明の亡霊とも言える存在——暴走する戦争用機械や、遺伝子改造された怪物たちだった。


ある日、老婆が鬼たちにさらわれてしまう。モモタロウは廃墟からかつての武器を見つけ、旅立つことを決意する。


旅の途中、モモタロウは崩れた都市の廃墟で、ボロボロになった警備ロボットと遭遇した。そのロボットはかつて人間を守るために作られたが、長年の戦闘と老朽化で機能が低下していた。それでも、彼はモモタロウを警戒しながらも忠誠心を失わず、最後の力で戦おうとしていた。


モモタロウは彼にきびだんごの代わりにエネルギーパックを渡した。ロボットは動きを取り戻し、自らを「犬」と名乗る。そして、かつての使命を果たすため、モモタロウと共に鬼と戦うことを誓った。


その後、モモタロウは荒れ地を進む中で、不自然に積み上げられた瓦礫の山にたどり着いた。その中心に、傷だらけの類人猿が座り込んでいた。彼は人間の言葉を話し、冷静な目でモモタロウを見据えた。


「お前も鬼を倒しに来たのか?」


彼はかつて人間によって遺伝子改造された猿であり、高い知能を持ち、戦術に長けていた。鬼による襲撃を受け、仲間を失った彼は、一人で復讐の機会をうかがっていたのだった。


モモタロウは彼の傷を手当てし、食料を分け与えた。猿は驚きながらも、モモタロウの真意を悟り、「猿」として仲間に加わることを決意する。


さらに旅を続ける中で、彼らは砂漠化した荒野で一機のドローンを発見した。それは錆びつき、羽根の一部が失われており、もはや空を飛ぶことができなかった。しかし、彼のセンサーはまだ生きており、かすれた電子音で言葉を発した。


「……識別……味方、確認……支援、求ム……」


ドローンはかつて戦場で偵察や通信を担っていたが、戦争の終焉と共に捨てられ、長年砂の中に埋もれていた。彼は自身の使命を果たそうとする意志を持ち続けており、モモタロウの一行と行動を共にすることで、新たな役割を見いだした。


「お前は今日から『雉』だ」


モモタロウがそう名付けると、ドローンのレンズが小さく光った。こうして、モモタロウの仲間は揃い、鬼の巣へと向かうことになった。


彼らはモモタロウと共に、鬼たちの巣へと向かった。そこには、かつての人類が造り出した「最強の鬼達」が待ち受けていた。それは、旧文明の兵器が人と融合した巨大な機械人だった。


激しい戦いの末、モモタロウは己の力の秘密を知る。彼は旧文明の生き残りが生み出した機械人に対抗するために創られた「最終兵器」、つまりモモタロウもまた鬼と同じ機械人だったのだ。


だが、彼は機械人ではなく「人」として生きる道を選び、鬼を討ち滅ぼした。


老婆を救い出し、鬼を滅ぼしたモモタロウ。彼と仲間たちは、新たな時代を築くため、荒廃した世界を旅しながら、新しい「人の物語」を紡いでいくのだった。


—滅びの先に芽吹く、新たな伝説の始まりである。

この度は、私の小説を読んでくださり、本当にありがとうございました。

物語を最後までお付き合いいただけたこと、とても嬉しく思います。

感想などもいただけたら、さらに励みになります。

これからも精進してまいりますので、また読んでいただけたら幸いです。

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