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戦国ブロマンス  作者: 夏目 碧央


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再会

 翌朝。

「朱坐を攻める。どこに間者がいるか分からない。一刻の猶予もない。すぐに戦の支度を始めよ!」

美成がそう言い渡し、慌ただしく戦の準備がなされた。剣介も美成に付いて戦場へ行く。美成にとっても、剣介にとっても初めての戦だった。

 城を出てしばらく歩き、夜には朱坐との国境に着いた。ここに陣を敷く。小さな寺に美成とその側近が泊まる事になった。寺と言っても小さな建物で、ハッキリ言ってぼろ屋だった。

「美成様、寒くはありませんか?」

剣介が尋ねると、

「ああ、大丈夫だ。」

と、美成が言った。しかし、ビューっというすきま風の音が響き、戸がガタガタっと音を立てると、美成は飛び上がって剣介にすがりついた。

「大丈夫ですよ。風の音です。」

剣介がそう言うと、

「わ、分かっておる。」

決まり悪そうに美成は手を離した。だが、剣介はそんな美成がいたたまれなくなり、美成の事を抱きしめた。

「な、何をする。」

美成が弱々しく言った。だが、特に抵抗するでもなく、抱きしめられたままじっとしていた。風の音にもびくつくくらい、美成はまだ子供なのだ。だが、敵に一番に狙われるのは大将の首、つまりは美成の首なのだ。家臣に守られているとは言え、多くの敵が自分を狙ってくるなど、その怖さは他の誰にも分からないだろう。

 壁に寄りかかって座り、剣介は美成の肩を抱いたまま眠った。剣介がふと目を開けると、外が明るくなっていた。戸の隙間から光が差し込んでいる。

「ん、朝か?」

美成も目を覚ました。

「はい、外が明るくなりました。」

まだ剣介の腕の中で目も開けられずにいた美成が、おもむろに立ち上がって伸びをし、首を回した。すると、戸がガタっと音を立てた。剣介はさっと立ち上がり、美成を抱きしめた。

「誰だ!」

美成を背中に回し、剣介は刀に手を掛ける。戸がスーっと開いた。

「剣介か?俺だ、頭栗だ。」

入って来た青年が、そう言った。

「え?頭栗、様?」

現れたのは、美成の兄、頭栗だった。だが、かつてのずんぐりむっくりした体型はどこへやら、すらりとした体型になり、すっかり男前になった頭栗がそこに立っていたのだ。

 剣介は数歩近づき、そして跪いた。

「頭栗様、よくぞご無事で。」

「朱坐が跋扈と戦をすると聞いたのでな、逃げてきたのだ。」

「左様でしたか。」

剣介の胸は詰まり、涙が目に浮かんだ。この三年、人質の立場でさぞ苦労も多くあったであろうと慮り、また、命が無事であった事に感無量だったのだ。

「剣介・・・。」

頭栗もまた涙を流し、跪いて剣介を抱きしめた。しばし、二人は涙を流して再会の喜びを噛みしめた。


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