今、幼馴染の為に攻略を II
あらかたハイグレードコックローチを倒してくれ、残りは全て樹海に帰って行った。
「ふぅ、今回は多かったなぁ」
「あっあの、ありがとうございます……」
結局ハイグレードコックローチを倒したのはこの3人だ。 俺とレイアはほとんど何もしてない。 貰った武器も全く役に立たなかった。
「おう、そういえばセリナ、イリナ。 お前らは今日漬けで見習いから正規の補助員として活動してもらうからよろしくな」
「はっ! 拝命致します」
セリナとイリナはジークロードに敬礼し車に乗り込んでいく。
「それとレックス達も1つ話があってな、うちの国の王様がアンタらをお呼びだ。 まぁ大方そこのカグラに対しての呼び付けだろうがな」
まぁそうだろう。 カグラがレベル300超なのを伝えないのは不自然だし、その流れは至極当然といえばそう。 だけど、今の俺はハッキリ言って自信を失っている。 難易度はレベル100の所だから無理はないけど、これで俺の強さが100レベル以下という事がハッキリしたからだ。 勿論、しっかりと戦闘した訳じゃないから一概には言えないけど。
全員が車に乗りこみ再びアレイス国に戻る途中ふと手元を見ると先程貰った剣が消えていた。
「あれ、ジークロードさん。 さっき貰った剣が無くなってしまったんですけど」
「あぁ、あれはな自然に消えるんだよ、確か50分だったな」
まあそうだよな。 創り出したものが消えないと流石に質量とか無視しちゃってるし。
アレイスの中央区の壁が見え始めた。
「そういえば、何時に向かうとか礼儀作法とかあるんですか?」
「あぁ、時間は14時頃。 そこのセリナとイリナは侍女の母親を持ってるから、その二人に礼儀作法くらい教えてもらえ。 まぁうちの王様はそんなこと全く気にしないから無くてもいいけどな」
そういえばアレイス国は確か、アレイス共和王国とかいう不思議な名前だった。 共和国なら人が国のあり方を決めるのに、王国という君主も持っている矛盾がある。
「なんでアレイスは共和王国と言われてるんですか?」
「んぁ? それはな……」
「代表の王も国民で決めて、王は国民に従うからですよ」
ジークロードが話そうとした時にほとんど話さなかったセリナが一言で完結にまとめた。
つまり、王は国の代表であっても決定権を持っているわけじゃないって事なのかな。
「今回の王はあまりにも優秀なので、多くの国民が考えに賛同してます。 もはやただの王国となっているのが現状ですが」
「なるほど……」
セリナは喋ると不機嫌で無愛想だけど、戦ってる時は狂気みたいにヒャッハーしてたんだよなぁ。 殺すことが楽しいみたいに。
そして、アレイスに戻ってきた。
今の時間は13時、丁度昼前に戻ってきた。 という感じだ。 どうやら国の中央では車は走らせられないらしく、車両は砦の外に置かれた。
「さて、ちょっと時間押しちまってるから急ぐぞ」
ジークロードが車を戻しに行き、セリナとイリナが近衛兵に何やら話していた。 その後近衛兵は壁の中へと入っていく。
車を車庫に戻し終わり、帰ってきたジークロードはイリナとセリナに声をかける。
「セリナ、イリナ。 電車の手配はしたか」
「はい、ただいま用意すると」
しばらくすると近衛兵が戻ってきてジークロードに何かを伝えていた。
「レックス達もこっちに来い、速攻で城に行くぞ」
困惑しながらも言われるがままジークロードについて行った。
壁の中に入っていくと、何やら箱のような物があり、その中にセリナ、イリナ、ジークロードが入っていく。
するとカグラが驚いていた。
「すっごーい! この時代にも電車があるんだねぇ!」
「お? 何だ、電車知ってるのか、カグラは」
「うん! 乗るのは初めてだけど見たことはあるよ!」
どうやらカグラはこれを見たことがあるそうだ。 一体どこで見たと言うんだろう。 1000年前にもこんな機械があったのかもしれない。
電車と言われる物に乗りしばらくするとものすごいスピードで移動し始めた。
しかし以外にも、その電車の中は快適で揺れが一切なく移動しているという感覚はあるものの、ただ座っている感覚でもあった。
「よし、じゃあイリナとセリナは3人に一応の礼儀作法を教えてやれ」
そして2人に礼儀作法を教えてもらう。 謁見する際の最敬礼やその角度。
王の事は陛下と呼ぶこと。
これ以外はこの短時間では教えられないと言われ、とりあえずはその2つだけをマスターするように指導をしてもらう。
程なくして電車は到着し、着いたのはあの遠目で見た城そのもの。 中に入って行くと侍女達が、案内をしてくれた。 先にお風呂に入ることを勧められて、案内された場所に入る。
昨日の風呂も良かったが流石はお城のお風呂。 比べ物にならないほど上品な作りだった。 もう一生味わえないかもと思いながら風呂に入る。
風呂を出ると着替えが用意されており、攻略者の金臭いものではなく、完全に外向き用の正装といった様な着替え。
脱衣所を出ると侍女がたっていた。
「先程のお召し物は、後程洗濯した後にお返しします。 そちらのお召し物でどこか違和感はありますか?」
「いえ特にないです」
「髪もこちらで整えますのでこちらへ来てください」
流石、国の頂点とも言える設備。 関心することしか無かった。
侍女に髪を整えてもらい、カグラとレイアに会う。
2人ともしっかりと着付けられていて、まるで別人のような感じでもあった。
「2人とも似合ってるよ」
「ありがとう」
「なんか恥ずかしいね!」
そして街の近衛兵とは比べ物にならないほど重装甲の近衛兵が大きな扉を開ける。
その部屋は神聖な場所だとしっかりと認識させてくれる作りになっていて、重装甲の近衛兵が部屋の真ん中に敷かれている赤い絨毯の外で警備体制を整えていた。
その赤い絨毯の先に大きな椅子、玉座がありそこに座っていたのが王だと確信した。 隣にも騎士風の人がひとり居たが意外にも軽装備だった。
ここの近衛兵とかは武器を持つことを許されているのだろう。 大きな長槍を携えていた。
そしてその王は、威厳ある姿をし、鋭い眼光。 金髪の髪、整えられた顔立ち。 何よりも女性である事に驚いた。