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はなむけに贈る -Philia-  作者: セイル
エメラルドブルー
15/17

アウェー


外が暑いからエアコンの効きも悪くて、服屋についた頃にはじっとりと汗が滲んでいた。

車に鍵を締めてまたほんの少し炎天下の中に出る。


そういえばなぜ朝夏だということに気が付かなかったのか。

前世一人暮らしをしていたときにエアコンをつけっぱなしにしておいても3時間で消える設定だったからきっとそのくせが今世でも残っているのだろう。

資源は大切に。

資源には限りがあります、節電しましょう。

――すみませんでした。


さて、早速店内に入ったわけだがすごく冷房がきいていて気持ちいい。

さっきまでの車内とはうって変わって涼しいものだからなんならしばらくここにいたい。

まあ服屋はアウェーだからそうはいかないけれども。


さて、服に全くセンスのない「蛍光色の虫取り少年」こと高遠永雅は一人で服を見繕えるのか……! 

とりあえず蛍光色と短パンを避ければいい。

そうすれば「蛍光色の虫取り少年」にはならない。


どうせ一週間に数日しか使わない。

僕だって蛍光色じゃない黒とか白のTシャツくらい持ってるはずだ。

逆に全身真っ黒で日光を集めまくるのも嫌だけれども。

それなら前世絶対買わなかった色を買ったらいいんじゃないか。

せっかくのもう一度の人生の機会だ。


思い立ったらすぐに行動するのが僕のいいところだ。

メンズコーナーの少しくすんだ水色のポロシャツを手に取る。

ポロシャツはおじさんくさくなる、なんて誰かが言っていたけれども逆を返せば大人っぽく見えるんだろう? 

今日はいつもみたいにチノパンじゃないからきっと大丈夫。

服屋はアウェーだから試着室もアウェーだ。

あの空間は嫌い。

だから試着もせずに適当にLサイズのものをレジに持っていった。


きらきらのおしゃれなレジのお姉さんにすこし緊張気味に「タグを切っていただけますか? 」と頼むとお姉さんは笑顔で対応してくれた。


そういえば服屋に一人で訪れて一人で買い物をしたのははじめてかもしれない。

高遠永雅、大成長だ。

お姉さんが手提げに服を入れ、手渡してくれるとぼくはすぐさま店を出た。


涼しいことを差し引いても服屋は僕のアウェーだ。

すぐに車に戻ってまたエアコンを入れる。

そろそろこの車エアコンの調子を見てもらったほうがいいかもしれない。

さっきの店内と比べては仕方ないかもしれないが、暑すぎる。

幸いなことに駐車場にいる人もあまりいないから運転席でじっとりと汗がしみたシャツを脱いで新品のポロシャツに着替える。

デオドラントの汗ふきシートとかそういう気の利いたものをみっていればいいのだけどあいにくそんなものはない。

それでも汗による不快感はさっきよりもないように感じた。

それに風を感じる。

こう風を感じられないとやっぱり涼しさなんてやってこない。


不快感も拭えたことだし、ランチに出かけよう。


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