表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はなむけに贈る -Philia-  作者: セイル
エメラルドブルー
13/17

ラフ


午前9時を少し過ぎた頃。

通勤ラッシュはもう殆ど終わっていて、渋滞に巻き込まれることもなく海浜公園に到着した。

近くのコインパーキングに車を止めて、トランクから画材が入っている袋とリュックサックを取り出す。


海沿いは風が強い。

車を降りた瞬間普段はしないヘアセットがすぐに崩れてしまった。

結構頑張ってヘアセットをしたつもりだったのになぁ。

おしゃれスキルがほぼ皆無な僕にとっては飛躍的な努力の賜物だったというのに。


「おしゃれって、何なんですかねぇ。」


崩れてしまったならもう適当でいいや。

邪魔な前髪をかきあげて車のトランクをそっと閉めた。


まだ朝だというのに海浜公園は賑わっていた。

ランニングをする人、日向ぼっこをするおばあちゃん。

きっとここは紫彩の人々の憩いの場所なんだろう。

海沿いに住んだ経験はなかったけれど、こういうのもいいな。

ところどころにベンチがあって、青々とした芝生もある。

この公園の中だったらどこでも絵が描けそうだ。

せっかくだから灯台が入る画角を探そう。


公園の中には木陰が多い絶好の場所があった。

これなら熱中症にならないかもしれない。

ラジオDJの青海さんの言う通り水分補給はしっかりしないといけないけれども。


芝生の広場に荷物をおいて腰掛ける。

ここから見える景色を描こう。

ぐるっと一周あたりを見回す。

ここから絵を描くなら西の方角が灯台も入るし地平線も入る。

よし、ここの絵を描こう。


早速買ったばかりの画材からキャンバスと紙を取り出して水張りを始めた。

紙の材質も水彩画を描くならば申し分ない。

この世界線の自分、ありがとう。


まずは画用紙を濡らすんだっけ。

そして水張りテープを適当な長さに切る。

画用紙をキャンバスにのせて乾くまで待つ。

夏の風通しのいい場所だしそんなに時間は掛からないだろう。


その間にどんな絵にするか考えておこう。

夏の雲と海のコントラストを描いてもいいし、夕日の沈む夏の海を描いてもいい。


そう考えると楽しくなってきた。

リュックの中からスケッチブックを取り出してスケッチを始めた。

一応この世界線の僕として生きている事もあって、描き進める早さは素人ではない。

さすがだった。

自画自賛ってこういう事を言うのかもしれない。

絵を描いているときだけに?

出来上がっていく絵を見ていると調子が出てきた。

時間も忘れて景色とスケッチブックにのめり込んでいった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ