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雨と水たまり

作者: たろ

 はあ。私は『ヘコミ』と言います。公園の地面にできた小さなくぼみです。どうしてため息をつくのかと言いますと、私がいつも寂しい思いをしているからです。

 だってあの『タイラ』の上では子どもたちがボール遊びをしますし、『カイダン』ではジャンケンをして「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト」なんて言いながら跳ねています。なのに私の上には誰も来ないのです。はあ。

 そんな私のため息を聞きつけてか、空が声をかけてきました。

「どうしたんだい、ヘコミ」

 私が私の孤独を打ち明けると、空は言いました。

「なるほど。君は自分が何者かしらないのだね。ようし」

 程なくして、パラパラと雨が降りだしました。それから、ばらまかれた雨粒たちは、タイラの上を素通りし、カイダンを上から下へ流れ、私の上に集まって来たのです。

「しばらくここでお世話になるよ」

 私は「どうぞどうぞ」と応えました。

 黄色い長靴を履いた男の子が来ました。お母さんと一緒です。男の子はお母さんの手からするりと抜け出し、それは嬉しそうに私の上に飛び乗りました。お母さんは「こら!」と言いましたが、怒ってはいません。

 「雨が降れば私は水たまりになるのね」

 私はぴしゃんと笑いました。

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