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扉開けたら即異世界 -ぶらり異世界冒険記-  作者: 神風 翼
第01章:家族編
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0008:暗き森の少女


―ゴブリン


劣等亜人種に属する、れっきとした亜人族。

純粋な能力は人に劣り、それ故に冒険者次第では数の差があろうと壊滅させられる程に弱い。

オークやトロール等の牙人種よりも弱いこの種が、何故亜人と同列なのか。


それは、人に近い狡猾さが亜人の定義に該当するが為である。


元々亜人とは「人に近く、それでいて人ではない存在」を指す言葉。

一般的に亜人と呼ばれる獣人族アニマーレ多腕族クアッダ有翼人バードマン小人ハーフピープル等は、身体的に人に非常に近い。

この為亜人は、人から独自に進化した形態と言われる。


対する劣等亜人は「人とは違う形をした、人に近しい存在」を指す。

主に二足歩行の狼であるコボルドや蜘蛛人間アラクネ、ケンタウロスやハーピィもコレに該当する。

こちらはモンスターが進化し、知性を得る為にハンパな進化をした結果と想定されている。



…因みにエルフやドワーフ、妖精族フェアリー巨人族ジャイアントは、その高い身体能力と200年以上の寿命を持つ事から、高等亜人と区別される。

元々お釈迦に出てきた架空の存在であったために「幻想種」や、皮肉をこめて「空想種」とも言われていた。

しかし、人間の活動範囲の拡大と、亜人の人間社会への進出もあり、彼らが一般的に認識された為区別されるようになったそうだ。


閑話休題。



…逆に言えば、「知性を持った人に近しい存在」が、劣等亜人として区別される事になる。


オークやトロールは、知性は無く動物的な行動を行う。

対するゴブリンは、集落や家を持ち、独自の言語でもってコミニケーション能力をも会得している。

大部分は人間等を襲う盗賊紛いではあるが、一部では人間と友好関係を築いた個体も居る。


…そんな彼らが弱いだろうか?

答えは「否」である。




 ~~~




好奇心は猫をも殺すってあるよね。

好奇心だけで手を出せば死人が出るって奴だよね。


「ざっけんな!ざっけんな!」

「死ぬ!コレは死ぬ!」


その好奇心で道から反れて森の中進んだ結果がコレだよ!


複数のゴブリンに追い掛け回され、絶体絶命。

四方八方から、それこそ時間差かけての断続的攻撃。

強い人なら「戦力の逐次投入は愚作」とか言うんでしょうね。


初の冒険だからね、そんな余裕ねぇよ!


「とりあえずアレだ!」

「何だ!」

「逃げるんだよぉぉぉぉ!」


直後に魔術でもって爆轟を起こして土煙を上げる。

姿を隠し、即座に逃げやすそうな方向へダッシュ、ナイスな判断俺。


ゴブリンってアレでしょ?RPGでいう所の雑魚でしょ?余裕やん。

刃物も石造りだし、腕力も低いし楽勝やん。

そう思ってた時期が俺にもありました。


まじふざくんな。


とりあえず二人揃って適当な方向へダッシュ!

ゴブリンはですね、小回りは利きますが速度はあまり出ないんですね。

ただし普通に殺しに掛かってくる、弓適当に撃つの止めろ、刺さんねぇけど当たる。


反撃ついでで地表の小石を魔術で持ち上げ、そのまま敵側に射出!

ガァ!とかギィィ!とか爆煙の向こうから聞こえてきた、当たりィ。


そのまま逃げる、ヒットアンドアウェーイ。


「とりあえずどこまで逃げるのさ!」

「道に出るまでやろ」

「こっちで合ってんの!?」

「知らん」


コンパスなんてあるとお思いで?

この程度、想定の範囲外だよぉ!


木々の隙間を抜け、駆け抜ける。

その先には若干の開けた場所。

そして、それなりに大きな木の根元に、一人の少女の姿。


白く美しいウェーブがかった長髪。

着の身のままなのか、パジャマ? のような服。

胸元には鮮やかな金色のネックレス。


そんな彼女は突然の来訪者におびえた様子を見せる。

…そらそうか、息も絶え絶えに全力で飛び出してきたんだし。


と言うかアルェー? 僕ちゃん見覚えあるよこの娘。


「…あれっ…舞踏会のっ…時のっ……」


あやめよ、まず息を整えろ。


…てかあれか、あの時のお譲ちゃんか。

背後の騎士様にめっちゃ睨まれてたし、ついでにあやめが養子にしようZE☆ みたいな事言ってたし。


インパクトありすぎて忘れるかっての。


「…あー、何か脅かしてゴメンね?」

「そうそう…ふぅ……ちょっと逃げてたから」


そう言って近寄ってみる。

が、彼女は怯えたまま胸に毛玉のような何かを抱えた。


「いや、だからお姉さんは怪しく……」

「お姉さん?」

「ぶっ殺すぞ」


ステイステイ。


なんて言ってたら、視界の端に動く影。

緑の肌でハゲちゃびん、嫌ーな物見ちゃった。


「あやめ」

「何?」

「逃げるぞぉ!」


その言葉に合わせて揃って駆け出す。

即座に、そこに居た少女も小脇に抱えるようにして。


若干抵抗を見せたが、ちょうど顔が背後になってたようで、現状を理解してくれたようで。

うん、お願いだからもう少し静かにしててね。


そのまま勢いで駆け抜ける。

うっすらと明るいと思われる方向へ。


「っ!…お嬢ッ!」


飛び出した瞬間、そこには又もや見覚えのある騎士様。

こちらを見て腰の剣に手をかけ、目付きが一瞬でアカン奴になる。


次の瞬間、俺達の背後から飛び出すゴブリン共。

正面から迫る騎士様の美しい白い西洋剣。



ゴブリンは追いながら俺達を襲う。

俺達は逃げながら正面の騎士様に襲われる。


つまり、ハサミ討ちの形になるな…



\(^o^)/



それでも僕はやってない。

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