0079:捜査
さて、狙われてる事がわかった物の、一体なんで狙われたのかが不明瞭。
まずそこから調べる必要がある。
最初に調べるのはどれだけ毒があるのかと、贈ってきた品物の渡し主。
…が、コレが最初から大変。
「コレは無し…むぐむぐ…これも無し……」
「次コレな」
「菓子系多いねぇ…大体が茶菓子ばっかり」
「それはいいんだけど…乾物の連続は勘弁してくりゃれぇ……」
「黙って調べろ、次コレ」
「むぐぁ」
泣き言を言うトールを無視して、とりあえず菓子系を全部調べていく。
最初はクッキーやらの菓子系から。
こういうの、魔術とかで一発で判断できないのか?とアルバート氏に聞いてみたが、無理だそうだ。
曰く、毒といっても千差万別。
しかも混入時に性質や成分が僅かに変わる可能性もある。
そうなると例え毒があっても検出できないそうだ。
機械と同じで、100%一致すれば検出するけど、0.1%でも違えば検出しない。
しかも毒の種類も分かっているだけで百近く、それ以外にもまだあるとなれば調べようが無いとの事。
もはや完全にプログラムだよね、とのあやめの呟きに同意せざる終えない。
対して毒見は確実。
魔術検出と違って身体に毒が回ってから発光する関係上、どんな変質があっても確実に分かる。
しかも光るからなおさら確実に。
まぁ、メリットデメリットあるから一概にいいとは言えない…まぁ蛇足である。
…とは言え、問題はまだある。
何せ大部分がアソートみたいな複数入りの木箱。
少しだけだと分からないんじゃないか、とは思ったが、コレも問題ないとの事。
曰く、効果的に毒性を出すには液状のものが一番。
その場合、少しでも毒が入っていれば、密閉中に拡散して全体に付着するから確実に分かる、とは猫兄の弁。
そしてそれに便乗して、じゃあ乾物から全部調べようぜ!とは猫妹の弁。
…主な理由として、子供組みの存在がある。
順応が早いのもあって、気が付くと隠してあった茶菓子が減ってたりするんだなコレが。
食べるなって書いたり、口頭で言っても一枚減ってたりが良くあるんだ……
そうなると、中らないだろうと高をくくって大中たり、なんてなる可能性もある。
…結局、毒入りの可能性があっても、絶対に食べない、なんて言い切れないので……
後は…ただの兄弄りだろうか。
まぁさっきの(シリアス発光)もあるし、特に否定せず許可したけどさ。
口の中パッサパサになるがいいわ。
…途中で紅茶は出したけどね。
毒見として。
「さぁ次はコレだぁ」
「腹ぁ一杯だぁ…もぅ勘弁してくれよぉ!」
~~~
…結果は茶菓子の8割が安全、残り2割に毒が検出された。
トールの(大量摂取による腹痛といった)尊い犠牲によって。
「もう…暫く菓子は見たくない…」
「お疲れさんで」
「胃薬飲むー?」
「…くらはい」
あやめの一言にイーリスが薬箱を持ってくる中、毒が検出された菓子類を見やる。
全てが差出人不明。
名前も所属も無い。
しかも半分がアルバート氏の書斎に直接配送で誰からかも余計に分からない。
直接手渡された物もあるが…多すぎてどれが誰のか……
「はぁつっかえ!ホンマつっかえ!」
あやめがここぞとばかりに煽ってきよる。
泣くぞ。
…まぁ幸運だったのは、毒の入っていた茶菓子の殆どが、非致死性のものだった点。
麻痺だったり、昏倒だったり、睡眠だったりで、死に至る物はごく少数のみ。
…余計に狙いが分からん。
「うーん…毒なら暗殺って線で確定なんだけども……」
「麻痺とか睡眠とか、完全にただの嫌がらせだもんね」
「睡眠とか寝不足に最適ネ☆」
「麻痺とか強制休憩って感じだよネ☆」
ネ☆、ネ☆、なんてあやめと言い合う。
そんな背後で、ソファーからフラフラと手を伸ばす影。
「そ、それでも…長時間麻痺とかの強烈なの…ありましたがな……」
「お前はいいから寝てろ」
「にゅー…」
「あぁ、明日は他の奴の毒見、よろしくね」
「鬼かッ!」
トールの泣き言はスルーするとして……
とりあえず調べた物の、犯人とその動機が分からない。
犯行内容は毒の混入。
一部は致死性のある物、更に一部は非致死性の麻痺・睡眠系。
何の為かもよく分からない……
「うー…推理系苦手なんだよなぁ…」
「フフフ…夕方6時の推理物を見ていた私にとってはお茶の子歳々よ!」
「それアニメだろ」
「アニメじゃない」
ホントの事さ。
じゃなくて。
とりあえず容疑者としては、魔術学園の関係者である事は確実。
その中で、自分を知っている存在となると…授業に参加した賢者連中や教師陣。
自分の立ち位置は、派閥争いにポッと出の無所属……
でも、俺達を殺す事に何の意味がある?
…余計に頭がこんがらがってきた。
「…推測ですが、この毒に関しては複数犯なのでは?」
「複数?」
「つまり、幾人かの目的が重なっていて、同じ行動に出た可能性です」
テクスのその推理におぉ、となる俺達。
そりゃそうだ、複数の菓子があって、その複数から複数の毒が出た。
つまり同一犯ではない可能性…!
「その線はあり得ますね…」
「だねぇ」
シャルリア様も、その言葉にむむ、と首を傾げる。
いいぞ…冴えてきた……!
が。
「…余計に犯人が分からんでは無いか」
ドランの一言が、真実を告げた。
真実はいつも一つ!




