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扉開けたら即異世界 -ぶらり異世界冒険記-  作者: 神風 翼
第01章:家族編
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0006:俺達の始まり


「さて…後は全部掃除するだけだ」

「……この家全部?」


うん全部。


…目の前には大きな日本家屋。

だだっ広い庭。

しかもリフォームによって違和感無く追加された二階。


元大地主だったひい爺さん…いやもっと前の代から続く我が実家。


一階には客間、和室、リビング諸々部屋が大量に。

二階はさすがに小さいが、それでも一家族が十分住める1LDK。

庭は池とかは流石に無いが、子供が遊ぶ分には広い。


「無駄に広すぎるんですが」

「うるせぇ黙って掃除しろ」

「…ごめん」


素で謝んな。



…元々、ここら辺の大地主だった先代、先々代が残した豪邸。

じいさんが老いでボケ始めたため、この家諸々が親父に引き継がれる事になった。

少々どころかそれなりに古いこの家に、当時ガキだった俺に親父、お袋とばあちゃんの4人で住むことになった。

悲しいかな、じいちゃんだけは老人ホームに入る事になった。


しかしそれは可愛そうだと親父が一大決心。

家の大部分をリフォームし、二階の増設まで決意。

設備が最新式となり、一階はじいちゃんばあちゃんが、二階に俺達家族が住む二世帯住宅へと改装された。


が、しかし。


リフォームされた家にじいちゃんを引き取ろうとした所で、容態が一変。

この家ではなく総合病院に移る事になった。

それだけに留まらず、無理したばあちゃんが怪我をして揃って病院送りに。

最終的に二人は、そのまま実家に戻る事無く病院で息を引取った。


親戚もいなかった事もあり、リフォームでさらに広くなった我が家には、たった3人では広すぎた。

それでも問題無くすごしてこれたのは、まぁ両親の力だろう。


…しかし、その両親も大学卒業寸前で他界。

原因は高速道路での玉突き事故だった。

軽が前後の大型トラックに挟まれ、逃げることも出来ずに即死だったそうだ。


葬式の後、両親達の遺産を全て相続する事になったのだが…またコレも問題だった。


これだけでかい家を大規模にリフォームした結果、億に片足突っ込んだ費用が掛かっていた。

両親は「貯金もあるし、定年まで働けば返せる」と無茶な返済プランを立てていたのもある。

結果は、その返済をも相続する事になる。


個人的に実家を手放したくなかった俺は、両親の貯金で持って返済に充てようとしたが…相続税があった。

結局あちこちにある土地と実家、その他諸々の相続税で貯金は消し飛ぶ事になる。


仕方なしに残った土地を売ってリフォーム代の返済に充てることに。

都心から離れた住宅地で広場となった一つはまだ売れた。

しかしそれ以外は、山の土地を点々と飛び地のように所有していた。


売ろうにも都心から離れ山の中にある事。

しかも飛び地であるため集合住宅等にも利用しにくい。

買おうとする人間も居らず、売れたとしても二束三文。


何とか売り切っても、結局返済に全額充てて、手元には一文も残らず。

それでも就職して都心に行けば変わると思ってた。


…結局変わる事無く、莫大な固定資産税の支払い。

さらに家賃水道光熱費、市県民税に年金等々。

就職したブラック企業では、給料の大部分が支払いと固定資産税用の貯金へと消える。

退職しようにも退職金が出ない事は、前任者が辞める時に見た。

止めようにも支払いの関係で止めれず、不のスパイラルが続いていた。

娯楽は精々食費から捻出した酒位であった程に……



結局、あの召喚によって生活は一変した。

ダイヤの量産によって莫大な貯金を得た俺は早速職場に。


どうにもあれから誰も止める事も無く、人を入れることも無く、挙句俺の机もそのままのヤバイ状態だった。


…ので、挨拶ついでに祝儀としてウン十万の入った茶封筒を同僚達に手渡してあげた。

上司と社長? 辞表を顔面に叩き付けて、文句を全部言い返してやった。

そのまま自分の私物をまとめる際、残ってた連中全員私物を纏めて辞表書いてたのは笑う。

その後はまぁ、全員揃って辞表提出、最後のクソ上司の一言が「私に金は無いのか!」だって、ウケる。


後は自分は実家に帰ると言って別れたさ。

実家って言って「え?先輩田舎に帰るんスか?」とかぬかされたが。


田舎じゃねぇ!ちゃんとバスも毎時間走ってるわ!

(※ただし一時間に一本から二本)

畑も少ねぇし、隣家もウン十メートル先とかでも無ぇよ!

(※ただし山方面は無尽の山間部が広がる)

電車も距離はあるが私鉄と国鉄、新幹線も走っとるわ!

(※なお最寄駅はターミナル駅ではなく、新幹線も各駅停車しか止まらない模様)


…ちくしょう悔しくなんかねぇ……



その後、揃って実家へ。

あやめは自分の家族に、無事な事の説明ついでに一時帰宅した。


そのまま実家通いかと思ったら、なんでか家で一緒に暮らすとか。

お前はいったい何を言っているんだ。


「許可と言うか、この広い家に一人は辛いだろう、って母さんが」

「澤野のおばさん…」


そういうのは世間一般では同棲と言うんですけども。


「あと父さんが、孫はいつ生まれるんだって…」

「つまり両親から許可を得たと、よろしいならば我がエクスカリバーを開放する時が…」

「そのルールブレイカー仕舞えよ」

「おいやめろ」


そこまで粗末じゃねぇよ。



…その後は近場の宝石商と渡りをつけたり、家電量販店や家具店を梯子。

後日直接配送してもらうようにして、自分達はサッサと帰宅。


問題は…放置しすぎて色々アカン点。

埃等々で室内がヤバイ、庭も茫々で猫の通り道と化してるし……


結局、あやめと一緒にはたきや掃除機でもって一部屋一部屋掃除を続ける。

舞う埃に目がヤバイ。


「何でこんなになるまで放置したんだ!」

「ブラック企業に勤めてる俺が毎月コッチに来れると思う?」

「…ごめん」


素で謝んな。




 ~~~




後日、購入したロボット掃除機が入り、広い家の掃除の手間は激減する。

それ以外の一部の家具も入り、家電も多少なり入り、ちゃんとした家として綺麗になった。


まぁ、それでも二人で暮らすにゃ広い家だが。


「…さて、ここまで手伝ってもらって悪いな」

「私の家にもなるんだから当然」

「結婚しよ」

「黙ってろ」


うっす。


綺麗になったリビングでそう言いながら、買ったばかりの湯飲みに緑茶を注ぐ。

夫婦湯飲みとか小っ恥ずかしい思いも、数日すれば慣れた。


互いに茶を啜り、ハァと一息。

それなりに準備も終えて、道具もそろえた。

日がな一日のんびり過ごすのもいいが、自分達には他人が味わえない娯楽がある。


「…さて、行きますか」

「そだね」


そう言って、リビングの壁に向かって手を向ける。

ほんの一瞬、ぼやける様に現れた扉。

その先にある、無数の大冒険を夢見て。



「俺達の冒険はこれからだ!」

「やめろや」


× もうちょっとだけ続くんじゃ

○ ここから本編

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