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扉開けたら即異世界 -ぶらり異世界冒険記-  作者: 神風 翼
第03章:迷宮編
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0045:岩石襲来


目の前には、見上げるほどの岩石の巨体――ゴーレム。

それが、こちらに気が付いたかのように体を乗り出して来た。

その岩石の能面から、目は無い筈なのに、睨まれた様な感覚を覚える。


次いで感じるは、振動。

ドスン、と一歩踏み出したかと思うと、奴は片腕を大きく持ち上げた。


二の腕から先から伸びる、異様に長い大岩の棍棒。

天井付近に持ち上げられたソレは、灯りの少ない暗闇の関係で、尚の事恐怖を感じる。

ただ、大福の派手な威嚇が、自身の恐怖の感情を僅かながらに押さえ込んでいる。


奴の狙いは、言わずもがな理解できた。


咄嗟に動けたのはテクスとドラン。

テクスはあやめの肩を掴んで、ドランは咄嗟に飛び込むように飛び出した。


次の瞬間、ドガン。


一瞬にして、先ほど調べていた腐敗した死骸と近くに居た虫達が、くしゃり。

ゆっくりと持ち上げられた棍棒のような巨石の腕から、ボトボトと潰れたナニかが落ちる。


唯一助かったのは逃げた三人と、奴の体を這うように背後へとスルスル逃げていった例の蛇だけ。

妙に強かで困る。


「…ヤベーイ」


唯一、命からがら逃げ切れたあやめの口から搾り出された一言。

正直もうツッコミ入れる所ではない。


ゴーレムは、次いでもう片方の巨腕を振り上げ……


「走れぇッ!」


テクスの大声に、皆ワッと我に返る。


「シャルリア!」

「こ…腰が…まだ……」

「仕方の無い姫さんだのぉ全く!」


ドランは、腰を抜かしたまま動けないシャルリア様と、手を貸そうとしていたタクトを肩に掲げて走り出す。

お姫様抱っこならぬ、お米様抱っこである。


「ご無礼を!」

「おわっ」

「テレーザは専攻して道案内を!」

「わかった!」


テクスはイーリスを小脇に抱え、テレーザに指示を出しながら走り出した。

俺も俺であやめに手を貸し、立ち上がらせると共に全力疾走である。


次の瞬間、ボガン。

背後に衝撃を感じ冷や汗が出る。

もう、振り返る余裕も無い。


「ダァーッシュゥゥッ!」

「言われんでもぉぉ!」


最近解消されてきた、元運動不足の体に鞭を打って逃げる。

道は奴のせいでボコボコで走りづらいが、それでも逃げるしかない。

前を飛ぶテレーザの明かりだけを頼りに。


「…ちょっと待て、さっきの大通りの入り口は……」

「……あ」

「通過ですかぁ!?」


テレーザこのやろぉぉぉぉ!!


「シャルリア様ぁ!テクスぅ!何か手は無いんですかぁ!」

「あれば既に実践してる!」

「ゴーレムなら…どこかに陣が書いてある筈ですが……」


陣って…魔方陣の事か?

コア?みたいな物か。


「ならそのコア掘り出せ悠馬ぁ!」

「俺に言うな!

第一土でもなけりゃ畑も生えてねぇよ!」


そう言って賢明に足を動かす。

そんな切羽詰った状態。


なのに脳裏には、某ドワーフが土塊ゴーレムで成長したニンジンを、満面の笑みで収穫してる図。

何故かそんなどーでもいい光景ばかり鮮明に思い出す今日この頃。


「だったらあやめさんや!

どっかに書いてある"emeth"の頭文字削り取ってくださいよぉ!」

「槍の柄で"e"所か頭ごとぶっ壊すんですねわかります!」

「ごめんよ!」

「壊す前にお前が言うなや!」

「いつものノリで会話しとる場合かきさまらぁぁぁぁ!」


気付いたら逃げながらいつもの会話になってら。

ドランに怒鳴られて気付く、ごめんよ!(二回目)


「テレーザ!この道ではなく側道への入り口はまだか!」

「ダメ!大体崩落してて…全員通れそうな場所なんて……!」


そう悲鳴のような声が前から響く。

とりあえず俺達とドランが最後尾なのは理解した。

そして、会話が止んでドスンドスン音が聞こえてくる事に戦慄を覚える。


「…! あった!すぐソコ!」


その声と共に、テレーザの発光がふわりと小道へと消えていく。

場所がわかれば後は駆け抜けるのみ!


「マズいマズい来てる来てる来てるゥ!」

「うぉぉぉぉぉ!」


最早パニックもあって足がよくわからん状態のまま、飛び込むように側道への入り口に滑り込んだ。

そして次の瞬間、ゴーレムの巨腕が側道入り口目掛けて……



――振り、下ろされなかった。



「…助かった…のか?」


タクトの絞り出すような声に、全員バッと入り口に視線を向けた。


ゴーレムは振り上げた腕をゆっくりと下ろす。

すると、その入り口前で動きを止めた。


ふぃー、なんて息を吐きながら、安堵のため息をつく。

死ぬかと思った。


「…やはり、自分のテリトリー内の相手だけ攻撃するようですね」


そんなシャルリア様の一言。

なる、動ける場所意外に突っ込んだら崩落するかも知れんしな。


「テリトリー内の侵入者だけを殺す機械かよ」

「もっと動け!」


だから静かになった途端ネタの撃ち合い止めようぜ。

俺自身止まるとは思えないけど。


「止まるんじゃねぇぞ……」

「倒れたままやるんじゃねぇよ」


キボウノハナー。

…じゃなくて。


そう言った後、体をはらって外のゴーレムに視線を向ける。

動く気配も無く、無理矢理突っ込んでくる様子も無い。


叩き潰されないことに安堵する。


「でもコレ、出待ちされてますよね」


ミスト顔で言うなや。


「…でも、それも原因の解決にはなりませんよね?」

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