1話 さっそくバタバタ入学式
それは爽やかな風が吹き
青々とした春の始まりを
ぼくに教えた日のできごと。
ちりりりりりりりりりん、
ん、んんー
ちりりりりりりりりりん、
やっば!ねぼうした!
ばんっと勢いよく目覚まし時計
を押し部屋のドアを開け階段を
ドタドタ駆け下りていくこの少年。
彼は今、高校の初日。
つまり入学式の日から遅刻する
という完全にその後の高校生活
に関わるピンチをしのごうと
必死なのだ。
ぁあー!もう!
入学式の日から遅刻とか
3年間ずっっと言われるパターンだ
そんなのいやだー!
急いで着替えてーー
ぁあーネクタイとか結んだ
ことないからーー
練習しとくんだった!
いそげ!いそげー!!
飛び乗るように自転車に乗ると
勢いよくこぎ出した。
うおおおおおおおおおー
少し先に見える青の信号。
あの信号絶対渡る!
くっ!うおおおおおお
目の前には急な坂。
なんのこれしきーー
はあぁぁあーーー、
登りきったー
高校まではもう少しか、
ラストスパートーーーー
うおおおおーーー
その時だった、
曲がり角から急に自転車に
乗った女の子が
がしゃーっん!
いったたぁ、、
目の前にはうずくまってる女の子
それとフレームの曲がった自転車
あ、きみ!大丈夫?
高校の入学式に遅れそうでさ!
すごい急いでたら周りが見えてなくて
い、いそいでるから!
ごめん!はい!これ治療費!
1000円札を差し出し
慌てて自転車に乗り、
こぎだす。
ふうーーついたあーー
きーーんこーーんかーーんこーーん
あっぶねぇ、ぎりっぎりっだったー
そういえばさっきの女の子
大丈夫だったかな、、、
いやいやいや大丈夫な訳ないでしょ
自転車壊しちゃったし
万が一骨折でもしてたらー、
ぜったい千円なんか
じゃ足りないでしょ、、
えっとー?入学式は体育館か
おっとーこれを読んでる
皆さんへの自己紹介が遅れましたね
ぼくの名前は春河 禅乃
ぜんのってあんまりない名前
だから、みんなにはぜんって
呼ばれてる!
名前の由来とかはーすごい
長くて忘れちゃったや
高校初日からちこくしたり
事故を起こしたりとんだ
馬鹿者ですがよろしく!
ふーーん
ぜんのっていうのね、あなた
変な名前ー
き、きみは!さっきの!
大丈夫だった??
大丈夫な訳ないでしょ!
自転車は壊れちゃったし
かすり傷だってたくさん!
しかもなによ千円って!
汗拭くくらいしかその場
でできないわよ!
千円で汗拭くとかどこの王女やねん
思わず突っ込むぼく、
え?王女だけど??
ん?
いまなんて??
だから私、王女よ
メストリア王国75代目王女
クリア・ヒストリアよ
えぇ!メストリアの!?!?
メストリアとは
いまぼくたちがいる国だ、
なんで王女が自転車で
学校に通ってんの!?!?
リムジンとかじゃないの!?!?
ほんとは王女ってこと隠して
高校生活を送ろうとしてたのに
あんたのせいでバラしちゃった
じゃない!!
まぁいいわ、あんたは
私に怪我させた罪で
逮捕されて明日から学校
なんか行けなくなんだからぁ!
え、うそでしょ、ちょっと
ぼくの夢見ていた高校生活、
青春のかけらもなく終わるのか
なら寝坊なんてしなければ
よかった、、
ん?なら過去に戻ればいいじゃん
そう、この世界では魔法が存在する
高校生くらいになれば
基本魔法の過去、未来への
移動くらいできるのだが
過去や未来に簡単に行ける
訳ではない。
それぞれの入り口には
門番がいて、奴らを倒せる
実力があるものだけ過去、未来に
いけるのだ。
さらにこの世界には生まれつき
それぞれに特性がある。
性格のようなもので同じ特性を
持っている人はなかなかいない。
生まれた時の健康診断で
血液型などと共に調べられる
のだが、ぼくの特性はなぜか
調べようとすると機械が変な音で
煙を吹き出すんだよなー
15年生きてきて未だに自分の
特性を知らないのぼくだけだよ、、
よし、ひとまずはこの現在を
進んで少しでも強くなり門番を
倒し、望んでいた夢の高校生活
を歩むぞ!!
まずは現実から
逃げないことが
大事だ!
ちょっとさっきから聞いてる?
ねえ!ってば!
もうー!くらえ!
ファイアーボール!
ぼわっ!
あっっついつい!
なんだよ聞いてるよ!
え?ってか
いまのファイアーボール?
火属性に劣勢なの??
くらったのに熱い程度だった
んだけど、、、
うるさいわねーーもう、
私は魔法がてんでだめなのよ!
あ、王女だからすごい強いのかと
勝手に思ってたけどそんなことは
ないのか。
ファイアーボール、、
今度は後ろから少し低い声
と共に灼熱の火の玉が飛んできた。
うわっ、あっぶなっ、!
ってかあっっつい!!
当たってないのに熱い!
お嬢様大丈夫ですか、?
この無礼者のブサイクが
大変申しわけありません。
いいのよ、ありがとうドレイク
ドレイクって??龍??
自己紹介が遅れたが
ヘリメス・ドレイクだ
お嬢様になにかしたら
今度はぶち当てるからな
今のはわざと外してやったんだ
はいはいすいませーーん。
お嬢様こいつの頭を
火の玉と入れ替える許可を、
したいけどこの無礼者は
逮捕されて高校に通えない
苦しみを味わった方がいいわ
わかりました。
全くめんどくさいのしかいねーな
この高校って一応それなりに
頭のいいやつがいるん
じゃなかったってけ?
それはこっちのセリフよ、
とりあえず、ドレイク
入学式が始まるから体育館に
行くわよ、
はい。
あ、俺も行かなきゃー
こうして波乱な高校生活が
始まったのだった