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ドレアノ伯爵領(4)

「あー疲れたー」

 食事が終わり客室に案内され、私はそのままベッドに突っ伏す。

「やっぱりだめだ。お嬢様お嬢様した言動は私には合わないわー」

 やっぱり王都に着いたら冒険者とか気ままな職業に就けるようお願いしてみよう。肉体的より精神的にダウンしそうだ。

「とりあえず着替えますか……」

 さっきまで来ていたドレスを脱ぎ、あとは寝るだけだとこの世界に来たとき着ていたナイトドレスに着替える。

 日本に居たときはスウェットとかTシャツにジャージとか、とにかく安くて楽な格好をしてた。だからナイトドレスでもちょっと気が引けるくらい高級な物なんだけど、それでもあの煌びやかなドレスと比べれば凄く堕ちつつ事に変わりなかった。

「いつまでこの生活続くのかな……」

 この世界は本当に私のノートの世界なんだろうか?

 現状思い出せたのは、私自身が私が作ったキャラに入り込んでいるってだけで、このキャラの過去とかこの世界の常識とか、そう言う大事な情報が一切抜け落ちてる。

 私が作っていない……正しくは作った覚えの無い人物まで出てきているみたいだから、ある程度ノートの抜けが保管されているのかもしれない。

 でも自称神様が言ったとおり、散らばった黒歴史ノートを探し出すためには、どこまでが私が作った範囲で、どこからが補完された部分なのかが判らないと手がかりがなさ過ぎるんだけどなー。

 結局は私の記憶力頼りって事か……。うまくいくのかなぁ……。

 なんて風に私がこれからの事を考えながらぼーっとしていると、部屋の扉がノックされた。

「はい。どちらさま?」

「レヴァンです。フラン様、お部屋に失礼してもよろしいですか?」

「入って大丈夫よ」

 私が答えるとレヴァンがそっと入ってきた。

 その顔はとても真剣な表情で、何か深刻な話題があるようだった。

「こんな時間にどんな用です?」

 私がそう訪ねるとレヴァンはその場で膝をつく。

「実は、フラン様にお願いが御座いまして参上いたしました」

「何です?」

「朝までフラン様の護衛として、扉の前で控えさせて頂きたいと思っております。」

 何で? 伯爵様のお屋敷でしょ? 護衛をつける意味ある?

 そんな私の疑問を察したのかレヴァンは話を続ける。

「伯爵の邸宅の中では御座いますが、何が起こるかわかりません。もし万が一フラン様の身に何かあってはなりませんので、朝まで警備させて頂きたいのです。それに……」

「それに?」

 レヴァンの言葉に違和感を覚えた。何を気にしているのだろう。

「ドレアノ伯爵を疑う訳では決して御座いませんが、先ほどダイニングでお話しさせて頂いた時、違和感を感じたのです。一見穏やかな笑顔に見受けられましたが、たまに腹の底を探らせまいとするような表情をされていたのが気がかりだったのです」

 確かに営業スマイルというか、私も多少引っかかったけどそこまで気にすることかな? 貴族の交流の一環。社交辞令的な感じなんじゃ無いのかな?

「そこまで気にすること無いと思います。人は誰しも大なり小なり何かを抱えてはおりますでしょうけど、いちいち気にしていたら身が持ちません」

「ですがフラン様のお立場では……」

「大丈夫です。どうせ身寄りも無くなって冒険者でもしようと思ってたんです。自分の身を守るくらいの力はありますよ?」

 反論しようとするレヴァンに割り込む。

 正直あまり過保護にされても逆に疲れるからね。

 しばらくレヴァンは黙って何かを考えているようだったが、ようやく何か結論を出したようだ。

「解りました。その代わり伯爵にお願いして私は近くの部屋に変えて頂きます。あと、お手洗いなどに立たれる際には必ずお渡しした剣をご持参下さいませ」

「解ったわ」

 私がうなずくとレヴァンは一礼して部屋へと戻っていった。

 ほんとに過保護な人だなー。アレで冒険者からの成り上がりだって言うんだから不思議な話だ。

 昔よく読んでいた小説の冒険者なんて、もっとこう粗雑なイメージというか、豪快なイメージなんだけど、侯爵令嬢と判ってからのレヴァンの振る舞いはそんなイメージとは真逆だった。

「まあ、騎士隊長まで上り詰める位だから、礼儀とかもしっかりしてるのかもねー」

 そう言いながら私は枕元の取りやすい位置に剣を置き、別途に横になろうとした。その時だった。

 不意に町で感じたような、視線を窓の外から感じた。

 嫌な予感がした私は剣を手に取り、壁に背を向けながらそっと窓から外を見下ろした。

「誰も……居ない?」

 窓から見下ろした庭園には人の影は見当たらなかった。

 まあ明かりも無く暗いのでじっと隠れられていたら見つける自信なんて全くないけど。

「気のせい? じゃないよね?」

 一日で二度も視線を感じる。しかも二回目は屋敷に居るときに。さすがにちょっと怖くなった私は、しばらくそのまま外を見ていたけど、睡魔には勝てず剣を抱いたまま寝ることにした。

お付き合いありがとう御座いました。

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