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王都グランレイク

聖グラティシエ王国王都グランレイク

 聖グラティシエ王国中央に存在する巨大な湖グランレイクの上に建設された湖上都市。

 水の都とも呼ばれ、敷地内に道は無く、人々は張り巡らされた水路を舟で移動する。陸との交通は畔の検問桟橋と呼ばれる町から舟で移動する。

 通常の道が存在しないため、検問桟橋意外からの不法侵入は王都周辺に配置された狙撃塔と呼ばれる見張り台からの遠距離攻撃により殲滅される、軍事的観点から見ても防衛特化の都市である。

 また、グランレイクは水の精霊が宿ると言われており、王都出身の魔術師は水属性の魔術に特化していることが多い。

 現国王はフィリップ・グラティシエ三世。王妃はエリーザベト・グラティシエ。

 子にロバート第一太子、アルベルト第二太子の二人の王太子が居る。


 めっちゃ不便ですねー。

 当時モンサンミッシェルやベネチアに憧れていたことを思い出す。

 まあ、憧れていたにしても極端すぎる設定じゃ有りませんか?

 雰囲気の格好良さでノリノリで書いてた当時の自分を殴りたい。グーで殴りたい。

 なんて考えながら死んだような目でぼーっとしているだろう私にレヴァンが声をかけてくる。

「どうされました? いくらフラン様がお若いと言っても何度か来られたことはあるのでしょう?」

 知りません。だって数日前の記憶なんてないもの。

「正直全開は何年前だかも思い出せないので」

「なるほど、であれば王都の美しさに言葉を失うのもわかりますね」

 えぇ、言葉を失いましたとも。別の意味で。

 自分の妄想の産物。しかもここまで大規模な物を見せつけられたら何も言葉は出ないよ。

「あちらの検問桟橋には私の舟がありますので、とりあえずそちらに向かいましょう」

 そう言ってレヴァンは私を案内する。

 私はレヴァンに連れられ検問桟橋の中へ入っていった。


 検問桟橋は意外と大きかった。

 まあよく考えれば王都の住人が他の都市へ移動する際に舟を預かる施設や、外部から王都へ訪れる人の身分確認をする施設とか、色々な施設がある。

 小さい町くらいの規模はあるんじゃないかって位大きかった。

「あちらにあるのが私の率いる第二騎士大隊の舟です。とりあえずアレに乗り王城へ向かいます」

 結構な大きさの舟だ。今居る救援隊が丸々乗れる位の大きさはある。

 でもあんな大きな舟であの町を移動するのは大変なんじゃ無いだろうか?

「結構大きな舟ですけど、水路を通れるんですか?」

「え?」

 レヴァンは私の発言を聞くと何故か驚いた。

「そういえばフラン様はあまり王都に来られたことが無いのでしたね」

 すぐに笑顔へ切り替えるレヴァン。

「この舟は外部へ移動するときに使う物なので、普段の巡回等ではもっと小型の舟を使います。王城への水路はこの舟でも十分通れる広さがありますから心配しないで下さい」

 正直よくわからないけど大丈夫なんだろう。実際見て見れば良いよね?

 理解が追いついていない私を余所に、レヴァンは私の入街手続きを行っている。

「こちらはフラン・ボワーズ伯爵令嬢だ。そうだ。例の事件の生存者でもある。身分は確認済みだから問題ない」

 受付の人と色々打ち合わせをしているんだろう。

 身分は大丈夫って言ってるけど、私懐中時計しか持ってないけど本当に大丈夫なの?

 そんな風に心配しながらレヴァンを見ていると、手続きを終えたらしいレヴァンがこちらへ歩いてきた。

「手続きは無事終了しました。フラン様、どうぞこちらへ」

「私の事を話されていたようですが、私懐中時計くらいしか持っておりませんでしたけど、大丈夫なんですか?」

「あの懐中時計にはボワーズ家の家紋が刻まれていましたから、古物商も買い取りをするはずが無いですし、フラン様はどう見ても物取りのような格好はしておりませんでした。と言うことはあれを持っているだけで身分の証明になるんですよ。ご存じ有りませんでした?」

 知りませんでした。そんな大事な物だって。

 そもそもそう言う所まで設定できるほど私に学はありませんからね。この世界の身分証明とか貴族とか全く解りませんから!

 まあここは話を合わせておいた方が無難でしょうね。

「だからお母様もこの懐中時計を私に託されたのですね」

「そういうことです」

 レヴァンはにっこりと頷いた。


 レヴァンに連れられて乗った舟は、なかなかの速度で湖を進む。

 この国の舟は魔石に込められた魔力を動力に動いているらしく、魔術師は魔石に魔力を充填する仕事も請け負っているとか。

 徐々に王都の建物が近づいてきて、十分もしないうちに町の中へと入ることができた。

 さすがにメインとなる大水路は騎士団の舟でも悠々とすれ違えるほど広く、両脇には歩道のような足場があった。

 良かった。さすがに完全に舟じゃ無いか。

 しかしよく見ると横道は完全に水路となっていて、そこに入るには舟が必要だった。横道の水路と大水路が交わるところはさすがに歩道は無く、小さな跳ね橋がかかっていた。降ろした跳ね橋はどうするのかレヴァンに聞いたら、渡ったら上げ直すのがマナーなんだって。

 そんな会話をしていると、目の前にキックボードの様な乗り物に乗って移動する人たちが見えた。

「あの乗り物はなんですか?」

「あれはスライドボートと呼ばれる一人用の舟ですね。魔石を取り付けて出力が大きい物は成人してからになりますが、踏み板を使って漕ぐタイプなら子供でも乗れますよ」

 なるほど。水路に特化した乗り物が発達してるんだ。

 機会があれば手に入れてみたいな。楽しそう。

 こんな感じで王都の交通事情を教わりながら進んでいくと、王城の前の大きな門にたどり着いた。

「お待たせいたしました。この門をくぐった壁の先が王城になります」

 舟はゆっくりと門を通過していった。

スライドボートは私も乗りたい。

お付き合いありがとう御座いました。

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