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黒牙のギルド

今回は長くなりました

「アリス後いくつ残ってる?……アリス?」

 裏ギルドの連中が森に入った後、俺は素早く作戦に参加した裏ギルドの本部を攻撃する。

 もちろん「何者だ!」と殺しに来たが俺はそいつらをあっさり殲滅、本部にいたエルフたちは全員解放した。


 今回の作戦でエルフ達の一部を呼んでもらい、解放活動に協力してくれた。

 元々これはエルフ達の作戦であったし、自分たちも参加したいけど戦闘力はあまりないと言う人達にエルフの開放を任せた。

 そして今は七つ目の裏ギルドを終わらせたところになる。


「もう残ってないですよ……うっぷ」

 アリスは俺が担いで連れてきたがどうも酔ったらしい。

 よく背中で「速いです速いです速過ぎます!」と叫んでいたが向こう側の殲滅戦も想像以上に早かったから急ぐ必要があったからなんだが……なんかごめん。

 叫ぶ元気あるなら大丈夫かな~と思ったんだが駄目だったんだな。


「そうか。それじゃ、ラストはのんびり歩いて行くか」

「ラスト?これで終わりですよ」

「あと一個残ってるだろ。黒牙の狼だ」

 アリスはビクッとしたがすぐに嫌そうな顔をして言った。


「止めましょうよ。今回の作戦に参加してなかったじゃないですか」

「まさか、ティターニアの契約者を拉致ろうとした奴らが無関係な訳がねぇだろ。安心しろ、ただ二度とこういう事はするなよって言って来るだけだ」

「それ裏ギルドに仕事辞めろって言ってるようなものですよね」

「だからそこは人間同士のいざこざとかで暗躍しろって言ってくるだけだって」

 裏ギルドの需要はそこにあると思う。

 だからこう言えばいい事だ。

 俺達に関わるな、人間同士でやってろ、と。


「それじゃ行って来る」

「待って下さい!」

 何だかんだでアリスは俺について来る。

 このギルドの地下に捕まっていたエルフはティアマトさん越しに伝わるから問題ない、裏ギルドと同じ人間に助けられるより、同族のエルフのほうが安心するだろうし。


 俺とアリスはギルドを出て黒牙のギルドに向かう。

 外は涼しく、嫌な空気がない。

 さっきまで血の匂いでいっぱいになっていたせいか余計に空気がうまい。


「は~あ、これで終わりだと思ったのに……」

「そう言うなよアリス。忠告ぐらいはしないといけないだろ、また同じ事されて困るのは俺達だ」

「それは分かりますが相手は黒牙ですよ。先程までのギルドに比べて直接戦闘できる人材も多くいると聞いています。危険です」

「多分アリスは俺と戦闘になると思っているみたいだが多分それはない」

「なぜです?」

「あいつらは今回の作戦に参加しなかった。じゃなくて、作戦から撤退したと考えている」

「その理由は?」

「勘だ!」

 そう言ってアリスはさらに不安そうになったみたいだが多分あってる。


 まずティターニアの契約者、ウィロスを奪いに来たのは黒牙の狼だ。

 作戦の要になるウィロスを奪いに来るが作戦に関係のないギルドとは思えない。

 つまりあいつらは逃げた。


 恐らく俺が黒牙のメンバーを潰したのを知っているのだろう。

 店にいた連中が通信用の魔道具を使ってたから壊したし、俺の存在は知られてると考えた方がいい。

 もし殺せると思っているならとっくに殺しに来てもおかしくないはず。


 でも来なかった。

 来なかったと言う事は俺を最低でも警戒してるはずだ。


「勘って本当に大丈夫なんですか?」

「大丈夫大丈夫、戦争しに行く訳じゃないから」

 まだアリスは不安そうにしていたが、一言言っておかないといけないのは理解してくれたようだ。


 俺たちは大森林とは違う森に入って黒牙のギルドを目指す。

 大森林の森と違いあまり生気の感じない森だが何が違うのだろうか?

 アリスはビクビクして俺のマントにくっ付いている。

 後から知ったことだがアリスはアンデッド系の怖い魔物が大の苦手らしい。

 そんな森を突き進みついに黒牙のギルドが見えた。


「ここみたいだな」

「ここですね、絶対に」

 黒牙の狼とでっかく書かれた看板に、黒い木を使ったのか黒い狼を画いた木札もある。

 これで違ったら詐欺だ。


「アリスはどうする?待ってるか」

「いえ、ついて行きます。逆に人質になったりしたら嫌なので」

「なるほど、納得」

 俺はギルドの扉を開けた。

 俺はギルドに入って少し驚いた。

 今まで潰した裏ギルドに比べて強い気配が多くいる。


 俺を見る目も嘗めたりせず警戒に満ちた視線、武器を構え殺気を出しているが決して襲う気配はない。

 かなりの熟練度であり、細かい動き一つ一つがすぐに動ける座り方と、動ける立ち方になっている。

 なるほど、これが黒牙のメンバーか。

 恐らく群れた場合オウカだときついんじゃないか?


「戦う意思はない。ここのマスターと話がしたい」

「リュウさんはっきり言いすぎですよ!」

 アリスが小声で俺に言うがもう向こうは動いてるぞ。


「何か用でしょうか、ライトライトの情報部殿」

 四人のメンバーに囲まれて出てきたのは初老の男だった。

 恐らくこいつが黒牙のマスター、いきなり出てくるとは思ってなかったな。


「俺はただの調教師だよ。今回のエルフの拉致事件を別件から依頼されてね、ライトライトの情報部はただの共闘だ」

「……そうですか。ではご用件をお聞きしてもよろしいですかな」

「要件は二つ、一つは売ったエルフの行方とその証拠を教えてほしいのと、二度とエルフ狩りをしないことを約束してほしい。それだけだ」

 捕まえると言わなかったのが意外だったのか、弱そうな連中が殺気を緩めた。


「それだけでしょうか?」

「俺はそれだけだ。別にお前らを殺すことに興味はないし、理由もない」

「……残念ですがエルフは他の裏ギルドに売りました。証拠はありますが貴族に繫がる証拠ものは持ち合わせていません」

「構わねぇよ。エルフと精霊を取り戻すのが目的なんだ。貴族関係は情報部こいつの仕事だ」

「……おい、書類を持ってこい」

「はい、マスター」

 マスターを囲んでいたメンバーの一人の男が証拠を取りに奥に消えた。


「何か飲みますか?」

「いや結構、仕事中なので」

「ところであなたは本当に調教師なのですか?」

「そうだ。と言ってもほとんどの奴は信じないけどな」

「どのようにしてあれ程の力を?」

 う~ん、どう言ったものかな?

 魔物に追いかけられて強くなりました?

 ……もっと信じられないだろうな。

 となると……


「大森林の中間に住んでいれば自然とこのぐらいにはなる」

 このぐらいにしか思いつけねーなぁ。

 この答えに俺以外の全員が驚愕の顔をしていた。

 あれ?しくじった?


「まさか調教師の身で大森林の中間に住んでいるとは……驚きです」

「リュウさんそんなとこに住んでたんですか!?」

 アリスもかよ!

 あ~これあれだ。

 たぶん戦闘系の職業ならここまで驚かれなかったんだろうけど戦闘向きとはとても言えない調教師だからこんなに驚かれてんだ。

 やっぱりしくじったな。


「ちなみにどれくらい住んでいたのですか?」

「ざっと…二か月から三か月ぐらい?」

 おお!とまた騒めいた!これでもかよ!


「おい、今度大森林に遠征しに行くぞ」

「待ってくれマスター!そんな事したら食われちまうよ‼」

「しかし一か月ならどうにかなるだろう。精鋭だけで行く」

「俺たちに死ねと!」

「俺も行くから安心しろ」

 ……なんか裏ギルドらしくない雰囲気だ。

 どっちかっていうと表のほうが近い気がする。

 ……血の気は多いけど。


「持ってきました。……何かありました?」

「なに今度の修行場所の討論だ。資料を渡せば何もしないのですね」

「する気はねぇって。ありがたく頂戴するぞ」

 男から資料を受け取りギルドを出る直前に言っておいた。


「マスターさん。狙うなら東寄りの方が良いぞ。獣型が多いから最低でも飯には困らない」

 とだけ言っておいた。

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