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意外な再会

 エルク公国に到着した俺は早速入国手続きを済ませエルクに入国した。

 デカい蜘蛛を引き摺って来たのは驚かれたがギルドに売ると言うとあっさり通してくれた。


 エルクの治安はそんなに悪い訳ではなさそう。

 町に人はいるし、特に変な雰囲気も無い。

 俺はさっさとギルドに向かった。

 そこには意外な人がいた。


「マークさん?」

「……え?リュウさん?奇遇ですね!まさかここで会えるとは!」

 やっぱりマークさんだった。

 フォールクラウンで別れて少し時間がたったとは言え、まさかここで会えるとは全く思っていなかった。


「お久し振りですね。今日はこの国で何か用事でも?」

「いえただの物売りですよ。今日はこの蜘蛛を買い取って貰えないかと思いまして」

「この蜘蛛はポイズンスパイダーですね。この蜘蛛の糸壺から採れる糸は高く買い取って貰えます。しかもこの量のポイズンスパイダーなら大稼ぎ出来ますよ」

 商人の目をしたマークさんが蜘蛛を見てそう判断してくれる。

 二十匹もいればそりゃ大金になるだろうさ。


「ではちょっと売ってきますね」

「私も同行させていただきます。リュウさんは魔物の価値をよく分かっていないようなので」

 あっはは、痛い所を突かれたな。

 確かに俺は魔物の価値を知らない、これは商人から見ればありえない話なのだろう。


「それじゃお願いします」

 俺はギルドで蜘蛛を全て売るのは出来たが流石に今すぐ金を払うには所持金が足りないそうなので翌日貰う事になった。

 そのままギルドで昼食を摂る事にした。


「ところでリュウさんは何故この国に売りに来たのですか?今この国はとても不安定ですよ?それに奥様方は?」

「少し厄介な依頼を受けたので嫁達は置いてきました。そして不安定とは?」

「はい、実はですね」

 マークさんが話し出したこの国の状況に驚いた。


 どうもこの国、元々は精霊を使役した偉い貴族が統一していたそうだが最近その貴族一家から精霊を使役出来る存在が減っているらしい。

 焦った貴族一家は何処からか子供達と契約してくれる精霊をあっちこっち探しに行っているとか。


「この国を治めるのは精霊と契約出来た者と決まっていまして、だから今国を治めている方が居なくなると大変な事が起こりそうなんですよ」

「……精霊契約出来た者が国を治める、ねぇ」

 多分初代とでも呼ぶ人が優れた人だったから、それにあやかってるだけだとは思うがかなり難しいルールだな。


 元々精霊契約は心的な部分の影響が大きい。

 精霊が求めるのは心優しい人物や、勇敢な人物など心の強い人物を好む。

 エルフが精霊契約を難なく出来るのは穏やかな心を持っているから。

 逆に荒々しい人物や、気の弱い人物と契約する精霊は変わり者と呼ばれている。


「気まぐれな精霊に選ばれた人が国を治めるとは、なんとも言えない話ですね」

「本当です。精霊はとても気まぐれだと聞きます。そんな彼らに気に入られてきたのはある意味奇跡に近い事かも知れませんね。ところでリュウさんのご依頼とは?」

 おっと、そこを聞いてくるか。

 流石にエルフの奴隷を買いに来たとは言えないし……


「実はですね。奴隷に関する依頼が来てしまって手を焼いていた所だったんですよ。商人としてはどう思います?」

 何がまでは言わないが声を小さくして言った。


「まさか違法な奴隷の事ですか?」

「はい。とある村で人が誘拐され奴隷にされているのを助けてほしいと、依頼がありまして……」

「受けてしまったのですか!?リュウさんは人が善すぎです……」

「あははは、すんません」

 マークさんは呆れたように言ったが手を差し伸べてくれた。


「……なら来てください。一軒だけ知ってます。ところでどの様に助けるつもりで?」

「面倒なのでキチンと買おうかと」

「それだけは正解ですよ。彼らは商人、金さえ払えば何かしてくる事はありません」

 マークさんがその手の店を知っているのは意外だったが好都合だ。

 マークさんの前で買うわけにはいかないが情報一つでも手に入るならいいか。


 ギルドを出て向かった先は何故か商店街、そこの端にある奴隷を扱う店に入った。

 まさか商店街にある奴隷商だったとは思わなかった。


「意外なお客様ですね、マークさん」

「買うのは私じゃない。彼だ」

「後ろの方は冒険者様でしょうか?」

「そうだ」

「そうですか。いらっしゃいませ、お客様。今回はどの様な奴隷をお求めでしょうか?」

 店主なのだろうか?

 よく肥えた小綺麗なおっさんが俺に聞いてきた。


「良い女が欲しい。抱く用だ」

「なるほど、珍しいお客様ですね。冒険者様の場合戦闘向きの奴隷を求める方が多いですが」

「抱くのは俺じゃない。スポンサーへの土産だ」

「そうでしたか。ではお値段は高くなりますがよろしいですか?」

「構わない」

 出来るだけ堂々と言う。

 この手の商人に嘗められるのは避けたい。


「ではこちらに」

 奴隷商は店の地下に案内する。

 そこに奴隷が居るようだ。


「私は先に戻ります。ここの臭いは苦手なので」

「ありがとうございます、マークさん。ここまで案内してくれて」

「……気を付けて下さい。ここの商人は腐ってます」

 すぐに出たマークさんはそう言い残した。

 俺はマークさんの言葉を受け止め、地下に潜った。

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