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金作り

 いきなり始まった救出作戦会議。

 議題は捕まった仲間と精霊の救出、及び報復。

 内容を聞く限り随分と前から計画を練っていた様子。


『ティアマトさん。これ大丈夫なんですか?』

『ハッキリと申しますと、とても危険です。情報は狩人のエルフからなので信用はできますが……』

『私達五人じゃ少ないよね……』

『念話』でこっそりと話す俺たち。

 話はかなり大事のようではっきり言ってそんな作戦で大丈夫か?と思うほどだった。


 作戦は囚われている奴隷商や買った貴族の屋敷に侵入、囚われた仲間を救い密猟に関わった者全員に報復すると言うとんでもない内容。

 正直まだまだ情報が足りない、まず拉致られたエルフ達はまだその国にいるかすら不明。

 一応情報をくれたエルフはまだ国外には行ってないと言っているそうだが狡猾な貴族がそんな簡単にばれるような運び方をするだろうか?

 ……ここは俺が行くか。


「あのよろしいでしょうか?」

「はい。なんでしょうリュウ様」

「俺自らその国に行って情報を集めたいと思います。さすがに奴隷商の中に入って直接確認したわけではないのでしょう?俺は人間なので客として侵入したいと思います。ですのでエルフが囚われている奴隷商を教えてはいただけないでしょうか」

 この発言に周りのエルフ達はざわつく。

 しかしこの発言に乗って内情を確認したい者や、そんなの関係なくすぐに行動するべきだと発言する者もいた。


「お静かに!お静かに!リュウ様、それはありがたいお話ですが危険では?」

「捕まえに来た者たちはともかく奴隷商達は腐っても商人です。金を持った相手にいきなり襲うような真似はしないでしょう。それに金はあるのでこれは値段次第ですがエルフの一人ぐらいは買えると思います」

「本当ですか!?」

「ただしどのエルフになるかはわかりません。それは分かっておいて下さい」

 こういう発言だと家の子供、嫁を買ってくれと言ってくるのは目に見えているので先に釘をさしておく。


「パパ大丈夫なの?お金そんなにあった?」

「リュウはたまに無茶をいうのだ。何人もの奴隷を買う金などあるまい」

「なら作ればいい」

「……ん?」

「なければ金を作ればいいって言ったのさ。魔物数匹を綺麗に倒してギルドに持って行けばいい」

 それにフォールクラウンで拾ってお高い宝石なんかを売ればそれなりの額になるだろう。

 ま、ジャイアントボアの毛皮一枚で金貨60枚になったぐらいだ、大型の魔物を狩ればいい金になる。


「ってことでアル長老、この辺で厄介な魔物とかはいませんか?狩って金に換えます」

「えっと、最近昆虫型の魔物が出て来て精霊王様からもどうにかして欲しいという話なら聞きましたが」

「ならそいつを狩ってきます。あと精霊王に報酬として風系統の精霊を借りれるように言っていただけませんか?あとあるなら金も」

「わ、分かりました。討伐して欲しい魔物の名前は『毒大蜘蛛ポイズンスパイダー』です。森に住み着き被害が出ています。牙には致死性の毒があるのでお気をつけ下さい!それと案内の者を今呼びますので」

「いえあまり詳しい生態の知らない相手なので一人で行きます。それに『毒無効』のスキルも持っていますのでご安心下さい」

「そう……ですか。いえ、やはり一人ぐらいは付いて行かせましょう。そのぐらいはしないとエルフの名折れです」

「いえ、その……ありがとうございます」

 正直要らないんだけどなぁ。

 まぁ道案内までならいいか。


 それで案内してくれるエルフをまたガヤガヤと決めて出てきたのは一人のエルフ娘。

 金髪のショートで胸とか尻とか女性らしいスタイルをした美人さん。

 目はちょっと鋭いかな?


「ファロス・ブレ・ギルです。私が案内します」

「リュウだ。道案内よろしくな、ファロス」

「はい!ではご案内します」

 てなわけでポイズンスパイダーの討伐に向かった俺。

 ちなみに嫁たちはお留守番、今回は食うための狩りではなく金を得るための狩りなので連れて来なかった。


 リルは興味なし、カリンは焼いちゃうので連れて来れず、オウカは力任せに潰しそうなのでパス、ティアマトさんはそつなくこなしそうだが俺達の最大戦力なので村の防衛のために力を使ってもらうことにした。

 一応いつでも『念話』できる状態にしているが多分要らないだろう。


「リュウ殿は本当に人間なのですか?」

「……突然どうした?」

「いえ、あのティアマト殿に勝利した人間というのはどうしても想像できないものでして」

 ファロスは普通に気になっていた事を聞いてきただけみたいだ。


「まぁ、あれだ。人間諦め無ければ案外どうにかなるって事だろ?」

「その一言で片付けてよいのですか?」

「いいのいいの。実際そうやって勝ってきたんだし」

 他にも色々あるかもしれないがこれでいいだろ。


「で、蜘蛛は何匹いんの?」

「前に確認した際は三匹でした」

「どうもその情報大分古い情報だったみたいだな」

 足音が三匹どころか十……いや二十はいるか。


「まさかそんな……」

 ようやく状況が分かったのか絶望的な顔になったファロス。

 こんなんで絶望的になんなよ。


「お前はここで自分自身の安全だけを考えろ。後俺は虫狩りでもしよう」

 これ高く売れるのか?


「リュウ殿は!?」

「もちろん虫取りだ」

 俺は蜘蛛の巣に触れないようロウで蜘蛛の頭をぶっ刺して殺す。

 簡単な作業であっという間に終わった。


「さてと、それじゃ回収しようか」

 ロウを鞘に納めファロスに言ったが特に返事もないから俺一人で回収したのだった。

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