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閑話 各勢力反応

すみません。

かなり短いです。

 我、アトラスは森の状況を見ている。


 ドラゴンの国より派遣されたドラゴンが樹魔を食べている。

 長い時間、本当に長い時間悩まされていた樹魔を一体のドラゴンが食らっている。

 口を大きく開けて粗食する姿はドラゴンと言うよりはどこかの草食動物の様に見えた。


 このドラゴンは穏やかな者の様で、樹魔を食っては眠るの繰り返しをしている。

 科のドラゴンのおかげで森を覆っていた樹魔の1/4がドラゴンに食べられた。

 これでも遅いペースだと、時折くる前ドラゴンの女王は言っているがどうする事も出来なかった我々には、とても早い時間で問題が解決に向かっているように感じた。


 精霊王曰く、樹魔がある時に新たな樹木を植えても樹魔化する可能性は高いそうなのであのドラゴンが全ての樹魔を食べ終えるまで待つしかない。

 待つと言ってもやる事は多い。


 大森林に向かった部下のほとんどが死亡、生き残ったのはほんのごく一部の者と、途中リュウ様が凍らせた地中に住む部下達だけだった。

 そんな我のために戦ってくれた者達のために生き残った者達を護るのは王として当然だ。

 ただリュウ様を相手にするとどうしても調子が狂う。


 家に帰って休むと言うので一週間ほど空けるだろうと思ったら、次の日にはすぐに我の城にやってきて復興に関する詳しい内容を打ち合わせに来たのだから驚いた。

 こちらが敗者であるのに様々な事に手と知識を貸して下さる。

 元からある木々の伸びたばかりの枝を折り、精霊の力を使って苗木を作られた。

 その苗木の準備をしている間に例の樹魔を好んで食べるドラゴンがやってきてすぐに樹魔を食べ始めた。


 普通の王は部下に指示を出すのが仕事であり、直接このように手を動かす事はない。

 そしてやはりリュウ様の国でも仕事があるようなので途中で去ったが、その代わりに植物の育成に長けたエルフ達が変わるようにやってきて、リュウ様がしていた事をし始めた。

 そのエルフ達のリーダーが見るからに幼い者だったのは驚いた。


 幼い者は弱い。

 それが我々魔物の世界では当たり前なのに、リュウ様は歳など気にした様子はなく、能力があれば幼い者でも上に立たせる方のようだ。

 こちらだって幼い者は働くが、ほとんど雑用と言っていい。

 一体リュウ様の国はどんな国なのか気になる。


「アトラス様、よろしいでしょうか」

「どうした、ビークイーン」


 側近の一人である蜂の女王が飛んで現れた。


「先ほど大地の精霊の方がやってきました。ご説明があったように大地の精霊の様ですが、少々問題が」

「どのような問題だ」

「何でも森の土地が痩せていると言うのです。ですので死んでいった者達の死体を利用し、土に還すと同時に森の養分として使いたいと申しています」

「許可する」

「……よろしいので?」

「恐らく許してくれるだろう。あの者達も子孫達のためと聞けば許してくれるだろう」

「ではそのように伝えて参ります」


 そう言ってビークイーンは飛び立った。

 本心だけで言えばただ土に還すのは忍びない。

 だが同時に自然に帰るのならこの森のためにもなるのならっという感情もある。


 ……彼らにはあとで墓というものを立ててみるのもいいのかも知れない。

 我々魔物は死ねば自然に帰るだけなので人間のようには墓というものを立てた事がない。


 この森は生まれ変わる。

 ならばそういうことを取り入れ、リュウ様への感謝もまとめて記念碑という事にでもすればいいだろう。

 そうすれば恐ろしい前ドラゴンの女王と悪魔も見逃してくれるだろう。

 リュウ様が甘い、この場合は優しいの方が合っているだろう。ともかく優しいリュウ様の代わりに叱る役を担っているのがあの二人なのだろう。


 樹魔の様子も確認した事のだから、それでは仕事に戻るか。


 ――――――――――――――――――


「……勝ったな」

「……勝っちゃったわね」

「それにしても奇妙な奴だ。あれは仲間がいないと生きていけない類の者だ」

「そうね。そしてその分仲間に手を出した時には相当怒るわよ。あれは手を出しちゃいけない類ね」

「となると……本格的にこちら側に引きずり込んだ方がいいな。リュウを『魔王』として認め、こちら側の陣営に加わってもらおう」

「それが一番安心出来るわね。実力はアトラスが身をもって示した訳だし、彼も『魔王』の力が分かっているし、向こうも敵対者が減るのは嬉しい事でしょ」


「アトラスに関してはどうする?『魔王』止めさせるか?」

「それは止めておきましょうよ。ただでさえ少ないのにこれ以上減らしたくはないでしょ、と言ってもアトラス自身が彼の陣営に入るから止めると言いだしかねないけど」

「生真面目だからな、あいつ。その時はリュウの判断で決めよう。配下だが『魔王』である事を許すと言えばアトラスも魔王を続けられる」

「それじゃ二人で説得ね。あ~あ、本当に掻き乱してくれるわね、あのリュウて子」

「ま、たまにはあんなイレギュラーな存在は現れるもんだ。諦めろ」


 ――――――――――――――――――


「教皇様、昆虫の魔王アトラスが敗れました」

「……それは真実か」

「はい。ですが敗れたものの打ち倒されている訳ではなく存命です」

「打ち倒されればいいものを。それで倒したのは何者だ」

「極秘裏に調べておりました、リュウという男です」

「……またその男か」

「は、大森林で魔昆虫の群れが確認されましたので恐らく戦争になったものかと。そして魔王ではなくリュウが勝ちました」

「……そろそろ表に出してもよいかも知れん」

「それはつまり……」

「リュウという男に『異端者』として探し出し、処刑する」

「………………」

「その男はあまりにも危険だ。多くの魔物と通じ、我々人類を脅かす者として討たねばならん。魔物は我々人類の天敵であり、どんな手を使っても倒すべきだ」

「ではどのように動きましょう」

「聖女を呼べ、そして討伐するのだ。人類の力をその魔物に心を売った存在に報復するのだ」

「承知いたしました」

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