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side 魔王

 とある空間にて四人の魔王が集結していた。

 四人の他には彼らの従者、一名ずつのみ。会話も四人の魔王だけが行っている。


「さて、魔王の一人が死んだわけだが……あの領地はこのまま人間にくれてやっても良いという事で終結して良いな」

「異議なし」

「構わん」

「問題ない」

「それにしても……しばらくは五人で活動していたのに少々問題が生じる。今回の件で教会が調子に乗りそうだ」

「わたくしには厄介な問題と言えるんだよね~。ただでさえ現教皇になった際に被害が出ていたというのにそれが勢いづくなど厄介で面倒な問題、我々の種族では小食な者が多く殺されそうになった事もあるぐらいだし」

「吸血鬼にとっては死活問題ともいえる。巨人とガルダはどう思う」

「俺の所に人間は滅多に来ないからな……しかも俺の領地はこの大陸内にはない、どうでもいいな」

「私も興味はない。私の領地にも人間が居るがその者達は私達の種族を神と言い、供物をくれる。教会の者達とは別の関係があるのでな。しかし襲ってくれば殺してやる」

「そうか」


「それよりガルダ、最近機嫌が良い様だが何かあった?」

「ん?ああ言っていなかったか。機嫌も良いし教えてやろう。ようやく最近娘が見つかったものでな、今では娘と仲良くしている。娘は良いものだ。恥ずかしがっている点もあるがそれまた愛しく思う。少し強めに抱き締めるとな、止めろと言うが決して振り払おうとはしないのだ。口では嫌だと言いつつもやはり私の子であり、抱き締められる事自体が嫌な訳では」

「そういうもの?わたくしにも子と呼べる存在は居るけどそこまでの感情は持った事がないな~」

「ふん。これだから貴様とは気が合わん、自ら腹を痛めて産んだ子が貴様の様に眷族を増やすようなものと同じな訳がないであろう」

「種が増えれば問題ないと思うけど?」


「それよりガルダ、リュウと言う男はどうだ。我々の仲間になりそうか」

「それに関しては何とも。自身の群れに手を出す者であれば我々魔王でも襲って来るであろうな」

「それで返り討ちに出来るか」

「さぁ?そこまで言うつもりはない。ただ言えるのはこちらから手を出さない限りは向こうも手を出して来る事はない事は確かであろう」

「手を出さなければ、か。俺の相棒がやけに気にしてんだよな~そのリュウって奴の事」

「巨人の相棒が?それはまた一波乱起こりそうな気配がするから止めてよね」

「そう警戒するなよ吸血姫、気にしているだけで手を出す気はない様だ。たま~ににやけてる事はあるが」

「こちらにも被害を出すようならその時は焼き殺すぞ」


「ガルダも気にし過ぎだ。それよりそいつ、よりにもよって大森林を縄張りにしてんだろ?問題ないのか?アトラス?」

「……大森林への侵略計画は今も進めている。狙いは精霊達のいる森のみ、確かリュウという男は魔獣が主に居る場所を縄張りにしているのだろ。なら問題ない」

「その情報は古いぞアトラス。リュウは龍皇や精霊王と協力する事で大森林を治めている。もし精霊王より協力を要請された場合協力するであろうな」

「あ、今何て言った!龍皇に精霊王だと‼」

「そう興奮するな巨人、確かにリュウが収めているのは主に魔獣達が居る領地、しかしあの森の長老達とも仲良くしている様だし、手を出さぬべきだと思うがな」

「ドライグに精霊王、これは手を引くべきじゃないアトラス。そしてガルダ、何故そこまでリュウの情勢に詳しいの?」

「……娘をリュウに預けている。お陰でたまにしか会えん」

「っておいおい。てっきり俺はお前の領地に居るもんだと思ってたぞ。子煩悩なお前がよく人に預けられたな」

「仕方がない…………奴は私との賭けに勝った。仕方が……ない」


「アトラス、これは本当に手を引くべきでしょ。もしあなたの部下が間違ってガルダの姫に手を出したら魔王同士の戦争になる。それだけは避けるべきなのは分かるでしょ」

「今回ばかりは吸血姫に賛成だ。人間の異常個体に龍皇、精霊王、さらにガルダにまで攻められたらいくら堅いお前でも」

「念のために言うがアトラス、こちらの被害と言う言葉には当然娘の事も含まれている。もし娘を傷付けた場合には貴様の国ごと灰も残らず焼き尽くしてくれる!」

「…………それでもあの森林は我ら種族にとっても必要な場所、諦めるつもりもない」

「……そんな切羽詰まってんのか?」

「食料に住処、あの森ならすべて賄える」

「王としての行動ならあまり強くは言えないけど……一応止めたからね」


「……案外戦争など起こらずに済んだりしてな」

「どういう事だガルダ?」

「リュウという男は変わっていてな、我々の事を一生物としか見ていない節がある。もしかしたらと思ってな」

「そんな楽観視は出来ない。全力をもって攻め入る」


「肩に力を入れ過ぎて失敗するなよ。それでは茶会も終わりだな。待っておれカリン!」

「それでは皆様、失礼します。姉さまお待ち下さい‼カリンはあの男から離れません!」

「…………本当に子煩悩だな。ガルダは」

「それではわたくし達も帰りましょう」

「そうだな。じゃあなアトラス、気を付けてな」

「ああ、気を付けさせてもらう」

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