嫁とデート
式典二日目以降はしばらくお祭り騒ぎとなる。
単にグウィバーさんを祝福しているという事もあるんだろうが後は自分達が騒ぎたいっという面もあるんだろう。ついでに街の方もしばらく休み、街を作ってもらっているドラコニュートさん達に休みを返上しろとは言えないし、普段から世話になっているんだからいいだろう。
なので今日と明日は町の方も休みにした。そのせいか街の連中が龍皇国でもちらほら見える。
「リュウ、何してるの?」
「皆の事を見てどうかした?悪い事はしないと思うよ?」
「そうじゃねぇよ。最近働かせ過ぎてた気がしたから皆ゆっくりしてほしいって思ってただけだよ」
俺がじっと皆の様子を見ていたからか、気になった様だ。
しかしそういうとリルとカリンは何故かため息を付く。
「な、なんだよその態度、変な事は言ってないだろ」
「変ではないけど結局リュウは皆の事ばっかり考えてゆっくりしてないじゃない」
「パパもお仕事頑張ってたんだからゆっくりして良いんだよ?」
「だから今日はゆっくりしに来たんだろ、嫁達とのデートと言う極上のゆっくりが」
贅沢を言えば個人個人でデートするのも良かったんだがそれを今日明日で行うとかなり厳しい、なので結局皆一緒にとなった訳だ。ちなみに今はオウカとアオイ待ち。
「仕事の事、あまり考えちゃダメなんだからね」
「そうそう。ダハーカさんとマークさんがお留守番してくれてるんだし、街は大丈夫でしょ」
「お強い二人が守ってくれてるからな、安心して楽しむって」
それより今日は祭りだってのにウルの奴が全く出てこない。
『ウル、本当に今日も出てこない気か?』
『だって私が出ちゃうとちょっと騒ぎになっちゃいそうだし……』
『知るかそんなもん。詳しい事は知らないがお祭りでお前が居た方がグウィバーさんも喜ぶんじゃないか?ウルも来てくれたって』
『……そういうもの?』
『それに力を抑えれば分かるのは力のある存在だけだって』
そう説得すると俺の中からようやく出てきた。きょろきょろと周りを見て落ち着かなさそうにしている。
「……バレてない?」
「さぁ?バレても問題ないだろ、悪い事しないんだから」
それでも目線をあっちこっちに配り続けるウル。
うん、逆にこっちの方が不審者っぽい。
「もう、ウルお姉ちゃんも楽しもうよ」
「あなたはあなたでもう少し落ち着いたら」
カリンに抱き付かれて驚いてるし、リルからは呆れながら言われる。俺とは別の意味で楽しんだ方がいいよな。
そう思っていると今度はオウカが俺の後ろから跳び付いた。
「待たせたのだ!」
「本当に待ったぞ。いっつも遅いよな、オウカは」
「女は時間が掛かるものだから仕方ないのだ」
「あ~はいはい」
「適当に流すな~!」
「申し訳ございませんリュウ様、遅れました」
顔を上げるとアオイが珍しく私服で現れた。
う~ん。やっぱり普段がメイド服だからこう……なんかいいな。
「よく似合ってるなアオイ、それと今日はウルも無理矢理外に出したから」
「ありがとうございます。それよりウル様を外へ出して問題ありませんか?主に精神的な面で」
「少しはあの引きこもりが直ると良いんだけどな……」
俺の中にいて滅多な事がない限り全然外に出てこない。飯の時も出てこないし精々出てくるときは俺がウルの力を制御する特訓の時ぐらい、本当に出てこない。
そんなウルは今カリンとオウカにじゃれつかれて困ってはいる様だが嫌がってはいない。むしろ喜んでいるように見える。
「……あの方は色々あったようですから」
「ま、とりあえず今日は外にいてもらわないとな。嫁全員じゃなくなる」
いつまでも俺の中にいるよりたまには外で遊んで欲しいものだ。
「それじゃ全員そろったんで遊びに行きますか」
「「「おおー!」」」
ノリの良いリルにカリン、オウカは元気に言ったが大人二人は言わなかった。
祭りの屋台では主に食い物系の方が多かった。大森林に居る野生の動物だけではなく、放牧している家畜の肉など様々な物があった。
串焼きが多く持ったまま食って歩けるのはいい点だろう。ただ問題は嫁達の腹か。
オウカとアオイは一本二本と言った感じなのだがリルやカリン、意外とウルが普通に飯を食う感じで十本から二十本も頼むので手に持てるという意味が無かった気がする。
ウルは久しぶりに自分の口に入れたせいもある気がする。
「この肉美味しいわね」
「いつかこのお肉も買おうよパパ」
「その内な」
そりゃいずれは輸入も視野に入れないといけないだろうがまずは金銭の安定だろう。
そのうち皆に給料も渡さないといけないしな。
てか金の概念持ってない奴らも居るからこういう機会に学んでほしいもんだ。
デートと言うよりは食べ歩きの様な感じが強いがまぁ一応満足。
明日はティアと遊ぶ事になってるが……これもデートになるんだろうか?




