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爺さんの修業が加わった

 ティア達を爺さんに任せて仕事場に戻るとすぐに作業は再開した。正直まだ昼寝ぐらいしているのかなぁ、ぐらいの事は考えていたが意外にも皆花畑や畑を完成させたいらしく俺達が一番遅かった。

 エルフの他にも野菜を好んで食べる魔物は多い、と言っても基本野生で魔物で雑食なので肉や魚も食う存在はとても多いのも事実だったりする。と言っても食べ物の好みはあるのでその好物が野菜と言う存在は普通に居るのだ。

 そして作業は夕方ごろになり、各畑の基礎はまさかの一日で出来たのでとても驚いた。そしてカリンが大きく言う。


「今日はもうお終いでーす!精霊の子達に聞いたら基礎のほとんどは出来たみたいなので明日から植物の栽培に入ります!また手伝って欲しい事があったら呼びますので、その時は協力してくれると嬉しいです!ありがとうございました!」

「「「ありがとうございました!」」」

 こうして畑の基礎工事は終わった。切り倒された木々は建築材料になり、無駄なく使われる。残った切り株はカリンが言っていたように燃やされた。燃やされた灰は畑の肥料となり土を肥やす際に混ぜられる、詳しい事は分からないが精霊達が言うにはそれが良いらしい。

 今後の野菜栽培はエルフと精霊が中心となって行われるだろうがきっと良い事が起こるだろうな……


「リュウ様、本日は手伝っていただきありがとうございました」

「ん?別に良いよ。これも大事な仕事だ、俺はただ仕事をしただけだ。それより花って種から育てるのか?それとも植え替え?」

「今回は植え替えようかと、元々前の村に咲いていた花を移してここに植えます。来年からは春の花、夏の花、秋の花は種から育てる事になると思いますが楽しみです!」

「そうか、頑張ってくれよ」

 そう言ってからエレンの頭を撫でるとくすぐったそうにしていた。


「リュウ様、我々も全力でこの畑を守る所存です」

「お願いしますねアル長老。でも危険な魔物などが現れた際には無理せず逃げてくださいね」

「分かりました。しかし強い方々がこの畑を守るために力を貸して下さると言っております。あまりそう言った事態にはならないと思います」

「それでもです。一応お願いします」

「パパ!そろそろ帰ろう!」

「それではカリンが待っていますので」

「どうせ同じ町です。ご一緒にどうですか?」

「いえ、勇者達を迎えに行かないといけませんので」

「そうでしたか。それでは先に帰らせていただきます」

「リュウ様また明日!」

「じゃあなエレン。また明日」

 手を振りながら見送るとカリンが腕を絡めてきた。


「それじゃ迎えに行こうか」

「そうだな」

 カリンの言葉に頷いてティアの気配を探ると大きな気配が増えていた。この気配は爺さん達だけじゃなく……親父さんと奥さん、リルも居るな。

 どうしてフェンリル一家が集まってるんだ?

 少し疑問に思いながらも俺とカリンはそこに向かう。まだ動いている気配は二つ、ティアとタイガだろうな。他の気配はとても弱まっているし、動く気配もない。

 流石に殺される事は無いだろうと思いながらのんびり歩いて行くと途中から大きな声が聞こえる。


「はああああぁぁぁぁぁぁ‼」

『遅い!』

「マッドプール!」

 ティアが爺さんに切りかかったが爺さんはあっさりと避けてティアを叩き付ける。その叩き付けるダメージを少しでも軽減するためか、タイガは一部の地面を泥に変えた。

 しかし爺さんは容赦なくティアに噛み付いた。体格差からそのまま飲み込まれそうに見えるが爺さんはそこまでしない。


「ありゃりゃ、こりゃ一方的だな」

『リュウ、カリン遅かったね』

「お姉ちゃんただいま!」

『貴様が面倒を見るのではなかったのか?』

『やはり勇者はまだまだの様ですね』

「リル、親父さんに奥さんも。いつから見てたんだ?」

『リュウが仕事に向かったすぐ後ぐらいかな。それにリュウも最初はあれより酷かったじゃない』

「当たり前だろ、あんときは本当にただの人間だったんだから」

 リルも狼の状態で伏せてティアの事を見ていた。カリンは直ぐにリルに抱き着いて甘える、やっぱりまだまだ子供だな。

 俺を見てから近付いて来たリルだが親父さんは何も言わない、ようやく少しは認めてくれたんだろう。と言っても不機嫌な様子ではあるが。


「それでどうよ?ティアの戦闘能力は」

『動きはまだまだだけどスキルは実践向きのものが多いみたい、リュウの様に私達に近い獣の様なスキル構成ではなく、人間の戦士らしいスキル構成ね』

「俺のスキルってそんなに獣っぽいか?」

『と言うよりは魔物わたし達の影響を受けたスキル構成になってるって言った方が正しいかも』

 と言われてもちゃんと戦ったのはあのパチモン魔王が最後だしな……力試し程度では基礎スキルばっかりだし。


『今度全スキルを使って戦ってみたら?ダハーカや龍皇ならそう簡単に死んだりしないでしょ』

「それでも嫌なんだよな……仲間に向かって全力でスキル使うのは」

 ちょっと力加減を間違えたら大きな間違いになりそうな気がするし、かと言って試せる場所もないからな……

 全力で力を使った際にどうなるのかとか全然分からないから試してみたい気持ちはあるんだけど。


「リュウ‼いい加減止めてよ修業!」

「僕もそろそろ良いと思うけどな!」

『なんじゃ、まだまだ元気そうではないか。もうええのか?』

「爺さん。これ以上やると向こうの人達に迷惑掛かるだろうからそろそろ良いんじゃない?」

『それもそうか。では明日も付き合ってやろう』

「「え!?」」

「良いのか爺さん?爺さんにだって色々あるだろ」

『この程度の遊びなら問題ない、若い者達が何かしている時に儂一人何もせんのはどうかと思っての。ティアマトも動いておる事じゃし、問題なかろう』

「それじゃあ……お願いします」

「「もう止めてー‼」」

 ティア達が何か言うが無視、徹底的に鍛えてやるから良いだろ?すぐそこで倒れている他の勇者パーティー達を拾い、引きずって龍皇国に帰す。

 たまには休みにするのも良いと思うがしばらくはダメだな。とりあえず鬼ごっこに慣れるまでは続けさせようかな。

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