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修業先の宿泊は龍皇国

 勇者パーティーを連れて国を出た。各自自分の荷物を持っているが女性陣の荷物が特に多く、マリアさんの荷物をグレンさんが持っているのを見ると何だかな……

 全員今日は大森林に行く事もあって馬を連れていないのは分かるが荷物持ちにしなくても……


「それにしてもティア達の荷物多くね?大丈夫か?」

「荷物ぐらい大丈夫よ。それにこれでも少ない方」

「マジか、化粧品とか無駄なもん入れまくってんじゃないのか?」

「無駄って何よ!女の子として重要な必需品よ‼」

 おっと、なんかものすごい勢いでキレられた。他の女性二人も頷いてるし本当に必需品何だな。

 俺に周りじゃ全く使ってる気配はないしな……リルとかカリン、アオイが使ってる所を見た事がない。それとも俺の見てない所で使ってるのか?

 と言うかティアもそう言う物を使う年だったんだな。妙な所で時間の流れを感じる。


「てかまだ俺達若いんだしそう言うのはまだ使わなくても良いんじゃ」

「年を取ってからじゃ遅いって皆言ってるの。それに化粧ぐらいは良いでしょ。……リュウだって綺麗の方が良いだろうし」

 最後の言葉はあまりにぼそぼそ話していたのでよく分からないがこれ以上化粧品については突っつかない様にしよう。藪蛇はごめんだ。


「それで今日はどうする?転移でパパっと行く?それとも歩いてく?」

「転移って大森林にですか?止めましょうよ。木々も多いし消費魔力も激しいです。無難に歩いて行きましょう」

「そう心配する事無いと思うぞローゼン。リュウの魔術師としての腕も確かだ、ちゃんと問題の無い場所に転移してくれるんだろ?」

「待てよグレン。俺も歩いて行く方に賛成するぜ」

「何でだよ。楽でいいじゃねぇか」

「俺は大森林にある素材にも興味があるんだ。どうせなら歩いて移動した方が良い素材が見つかるかも知れねぇじゃねか」

「相変わらず素材中心に考えてるな。お前の求める鉱石はねぇよ」

「鉱石はなくても魔物の素材ぐらいは落ちてるかも知れねぇじゃねぇか!」

「俺も転移で頼む。直接戦闘は苦手なんでな」

「ゲン!お前もか!」

「僕は今後の事を考えて転移の方が良いかなぁって思ってます」

「どうせなら楽な方が良いわね」

「タイガ!マリア!お前らもか!」

「私はどちらでもいいので多い方に属します」

「私もかな、リュウがちゃんと安全な所に転移してくれるならだけど」

「それは保証するけど……」

 なんか鍛冶師の人が不憫だ。そんなに大森林の素材が欲しかったのか?そう言や俺が殺した騒ぎによって大森林を不気味がって近付かなくなったんだっけか?

 俺としては食える獲物も増えてよかったんだが人間側から見るとそうでもないのか。


「それじゃもう少し人が居ない所まで歩いてから転移しましょう。リューズさんが欲しい素材もそこに売ってると思いますから」

「売ってる?」

「と言うか今さらですがリュウ君は転移術が使えるのですか?それとも設置型?」

「自力で使えますよ。良い先生が居たので教えてもらいました」

 そう言うとローゼンさんは目を丸くしていたが俺は構わず人気のない所まで歩く。

 そして人気を感じなくなってから俺を中心に転移魔方陣を描く。


「それじゃ皆さん転移するので集まって下さい。魔方陣からはみ出ちゃダメですよ」

「本当に自力で、しかもこんなに広い魔方陣を一瞬で」

「お前本当に調教師か?」

「…………」

 初めて見る三人は驚いているが俺は細かく座標を設定する。行くのは龍皇国の門の少し前だ。


「それじゃ転移します」

 一瞬の光に包まれた後、俺達は龍皇国の門が遠くに見える場所に転移した。

 いきなり門番の前に転移するのも問題な気がするし、ここから少し歩くだけなので安全でもある。知性の無い魔物はここまで来ることは滅多にないからな。


「ここ、本当に大森林?」

「転移したんだよねリュウ?」

「成功に決まってるだろ。ちなみにこれから向かうのはあの門の向こうな。その後偉い人に挨拶してからになるから」

「えっとリュウ?大森林で偉い人ってどんな人かな?」

 ティアが恐る恐ると言ったように聞いてくる。

 これは一応先に言った方が良いのか?


「とりあえずあそこだとドライグさんだな。後グウィバーさんだな」

「…………それって伝説のドラゴンの名前じゃ」

「そうだよ。その二人、と言うよりはドラゴンの縄張りだからな。下手な事すんなよ」

 そう言うと返事がない。皆固まってる。


「な、なななな、何て所に僕達を泊めようとしてるんだリュウ!他に良い場所はなかったの!?」

「だって人間の国に一番近いのがここだけだったし、精霊王の所は入れない。俺の町は開発中。他に泊められる場所なんてねぇぞ?」

「正直僕は野宿するとばっかり思ってたよ‼」

「ベットで寝る方が疲れも取れるし飯も三食しっかり出る。気にすんな」

 親指を上げてぐっとしたがタイガは俺の胸ぐらを掴んで揺さぶる。


「気にする場所が違う!何!今回は僕達にドラゴンに勝てるぐらい修業させる気なの!」

「さ、最低でもそのぐらいの実力はいるだろ?」

「『ドラゴンスレイヤー』になるつもりはないよ!」

 タイガの言う『ドラゴンスレイヤー』はこの場合カリンの様なスキルとは違う。これもまた称号であり、ただ単にドラゴンに勝った事のある者への称賛だ。

 確かライトライトだと貴族になれるぐらいのおまけが付いて来るんじゃなかったっけ?


「あ~もう、うるせーな!魔王退治でドラゴンより弱い時点で順番おかしいんだよ‼魔王連中は普通のドラゴンより強いっての!種族とか関係なしにな」

「だからって、いきなりドラゴンの群れで生活するなんて……」

「ま、俺の時よりは修業軽くしてもらうつもりだから楽だって。食われたりはしないから元気出せ」

 俺から手を離し、両手両足を地面に付いて絶望するタイガ。他の勇者パーティーも似たような感じだ。絶望してる。

 ゲンさんだけはアリスから聞いていたのかあまり反応が無かったが。


「……情けね」

「情けね、はないでしょ!相手が大物過ぎるじゃない!」

「とにかく行くぞ。そこ以外に泊めれる場所何てねぇんだから」

 そう言うと渋々と言った感じて付いて来る勇者パーティー。せっかく気を使ってベットの上で寝れる場所にしたってのに。

 そして歩いてるとアリスが手を振っていた。ティア達のフォローのために待ち合わせをしていた。


「勇者様、皆様!お久しぶりです!今回皆さんのフォローをする事になりましたアリスです!」

「え、アリスちゃん?何か雰囲気変わってない?」

「雰囲気ですか?特に何もありませんが……きっと久しぶりだからじゃありませんか?」

「アリスには龍皇国でティア達のフォローをしてもらう。アリス、頼んだぞ」

「いつものお仕事に比べればとっても楽なので大歓迎です」

「てことでまずは龍皇国に入国するぞ。本当に暴れるなよ」

 一応注意したがその必要はなさそうだ。龍皇の話を聞いたからか皆静かにしている。ちょっと気になると言えば聖女の視線が厳しいって事ぐらい。

 恐らく俺の事を相当不審に思っているんだろう。初めて会った男が色々してくれば当然の反応と言っても良いのかも知れないが。


 こうして俺達は門番のドラコ・ニュートに門を開けてもらい、入国した。

 俺とアリス以外は皆龍皇国に驚いている様だ。今回は国民のリザードマンやドラコ・ニュートたちも興味深そうにティア達を見ている。そりゃこの間まで自分達を殺しに来るかもしれない存在が気になるのは当然だろう。


「……ここ、本当にドラゴンの国なの?」

「そうだぞ。と言ってもほとんどはリザードマンやドラコ・ニュートばっかりで純血のドラゴンは少ないけどな。大体は城に居るし」

「リュウ、僕達の部屋ってどこなのかな?」

「城の客室だと。出来るだけ問題を起こさない様に近くに置いておきたいって言ってた。部屋とかは使いやすいし豪華だから我慢してくれ、見張られてるのは嫌な感じがするだろうけどさ」

「それは仕方ないと思うけど……お城に泊まれるなんて思ってなかった」

「泊まったりしなかったのか?勇者なんだからさ」

「勇者って言っても扱いは基本的に他の騎士と同じだから。たまに良い部屋に泊めれる時もあったけど大抵は野営の方が多かったしね」

 勇者と言ってもそう言う感じの方が多いのか。


「それともう一つやる事あるから城に着いてももう少しだけ俺について来てくれ」

「やる事って?」

「挨拶だよ挨拶。ドライグさんとグウィバーさんとな」

「……いきなり龍皇と挨拶するの?」

「?当たり前だろ。部屋も借りるし飯も出してもらう。当然だろ」

「すみません。トイレありません?」

 魔術師の人が腹を抑えている。緊張で腹下すタイプか?本当に勇者パーティーの一人なんだよな?

 それじゃ城に着いたらまずトイレに連れて行っておくか。

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