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新しい日常

 龍皇国に着いて龍皇に話を通すと簡単に許可が出たのは少し意外だった。確かに以前から伝えていた事ではあるがそうあっさりと言っていいものだか。

 但し条件としてグウィバーさんの式典を邪魔するような行動はとらせない事と言われた。当たり前の条件だし、俺も世話になったドラゴン(ひと)にそんな真似はしたくない。

 そして俺は式典の日取りなどを確認し、町へ帰った。


 それと全然姿を現さないガイ達は今、国に帰省中だ。冬が本格的に入る前に帰って行った。ガイ自身は冬の間も俺の元で修業したいと言っていたがタマがそんなガイを黙らせて連れて帰った。その姿はまるで尻に敷かれる男のような姿だったのを俺はよく覚えている。

 ああならない様に気を付けよ。


 そして現在、俺は厨房でアオイと一緒に飯を作っている。台所とは言えないこの広さ、初めはアオイの後輩であるメイド達が使う予定ではあったが飯だけは自分で作らせてくれと頼んだ。調理はしばらくしないと腕とかが鈍りそうだったし、それに調教師としてのスキルが何故か適応されている事に今さらだが気付いた。

 俺が作った飯をリル達が食べると何故か食から得られる効果が増加している。前にアオイが肌の張りが以前より良くなったと言っていたがそれは副次的な効果であり、カリンやオウカはその効果がよく出ていた。他の同世代の魔物やドラゴンと比べて身体能力や固有能力が強化され、今では負けなしだ。

 メイド達は俺にそのレシピを聞いてきたのであっさりと教えたが俺のお手製を食べた時よりも効果が緩やかだったのはおそらくスキルによる補正だと実証できたのは嬉しい。

 と、言う事でアオイやマークさんは主に飯を作らせるなんて、と最後まで渋っていたが今では仕方がないと諦めてくれていた。


「おーい出来たぞ。飯運びな~」

「「はーい!」」

 お子様二人が元気に返事をして飯を運んでいく。一応カリンもオウカも王女的なポジションのはずだが……最近は忘れがちになる。


「ん?もう飯の時間か」

 そしてダハーカはいつも飯の時にすぐ来ない。地下に図書館規模の書庫を作ってからダハーカ基本的にそこに住み着いていると言っても間違いない、何やらそこで魔術の研究をしていると一度聞いたが現状は羊皮紙に書いてどうなるか予想しているだけの段階だとか。


「あ、今日も良い匂いですね~」

「アリス、今日も来たのか。コクガ達も来てるのか?」

「今日は私だけです。何でも今日言ったものが実現してくれるように計画中だとか」

「ま、そのぐらいはするか。ほれ、さっさと飯が食いたかったら運ぶの手伝いな」

「はーい」

 アリスもよく俺の家で飯を食う。飯は作れなくはないらしいが一人で食っても味気なし、俺やアオイの飯の方が美味いからとよく来る。ま、よく森の調査や雑用など任せているのでこのぐらいはかまわないと俺は考えている。


「ごめん遅れた!」

「遅いぞーリル」

「今日もお祖父様の訓練が厳しくて時間かかっちゃった」

「疲れてんのか?なら先に座っとけ」

「でも運ぶぐらい」

「良いから座っとけ。疲れた状態で大皿持ってみろ。絶対に落とす」

「……うん。分かった」

 少し言い方はきつかっただろうがリルを座らせる。リルは新技、俺の魔王化によって生まれた新スキルをまだ使いこなせていない。そのために爺さんに修業を頼み、毎日訓練しているのだがそう簡単に使いこなせるスキルではない様だ。


「今日は爺さん達家に来るのか?」

「今日は来ないって。毎日来るのも迷惑だろうって」

「俺は気にしないけどな~」

「気を使ってくれてるんだから良いんじゃない」

「ま、無理に呼ぶのも何だしな」

 そうしている間に今日の飯が全てテーブルの上に並んだ。冬眠から目覚めた動物や森に来た鳥を中心にして作った飯だ。肉が多く、野菜少なめなのはご愛敬。

 この家で、魔物やドラゴンばかりの家で肉が出ない日などない。そしてヘルシーな食生活などしていたら身体が持たない。


「そんじゃ食うか」

 俺が席に座るのを待っていた皆にそう言ってから食事が始まった。

 食事をしながら明日の予定を言う。


「明日は朝からティア達を迎えに行く。ティア達は龍皇国に留まるけど注意だけはしてくれ」

「確か前回の時には居なかった人間が三人増えると言っていたな」

「『聖女』に『鍛冶師』に『魔術師』だと。特に聖女は強いらしいから注意な。それとたまに俺も向こうに泊るかも知れないからそん時は連絡する」

「承知しました。その際は私が食事を用意いたします」

「それとアリス、お前も来い」

「え、私ですか?」

「お前はティア達と面識があるだろ、それに見張りとしても必要だから頭に入れときな。見張り役が人間なら向こうも少しは休まるだろう」

「見張って勇者様達が暴れるとは思えないですけど」

「聖女とか魔術師とかは分かんねぇだろ。それに龍皇からも式典の邪魔をされない様にって言われてんだ。何もしない訳にもいかない。補佐としてマークさんにも頼む、良いか?マークさん」

「ご命令でしたら」

「張り切り過ぎんなよマークさん。人間の振りは得意だろうが相手は聖女だ、お前は出来るだけ前に出ず、相手が暴れた時にだけ動け。いきなり殺したりするなよ。でも迅速に解決させろ」

「承知しました」

 これで一応は大丈夫か。基本的に俺とアリスで見張るつもりだがそれでも俺が動けない時もあるだろう。そう言う時だけできれば動いてほしいがそこまで順調に動くとも思ってはいない。


「しかしリュウよ。本当に聖女共も良いのか?教会に知られる可能性が高い」

「そこは考慮済み、おそらく教会の上層場のみが知っている情報だからな。それは拉致った枢機卿からの情報で判明済みじゃん」

 例の枢機卿は今、この家の地下に居る。前は龍皇国の牢の中に入れてもらっていたんだが、枢機卿自身に戦う力がほぼないと言う所と俺に興味を持った事だ。

 何でも枢機卿自身は戦争に反対だったらしい。しかし現教皇はそれを認めず、しかも自身を戦争に参加させた張本人でもあるので、すでに教会の意志が良くない方向に変わっているのを身をもって実感したとか。

 その後情報をある程度話させた後、枢機卿は俺の行動、つまり魔物と人間の俺流共存方法に興味を持ち、今はこの街で軟禁中だ。たまに街を見て歩き、大人しく帰って来る枢機卿に俺は何を考えているのか分からないが見張っているマークさんは何だか心当たりがあるようだが。


「だから恐らく俺が教会が狙っている敵だという情報は出ていないと思う。だからと言って枢機卿と合わせるつもりはないけどな」

「リュウが良いのならいい」

「それじゃ明日はティア達が来るんでお互い気を付けましょう」

 こうして全体での会話は終わった。飯を食ってる最中なのはご愛敬。

 飯を食った後の片付けはメイドさん達がしてくれる。皆ドラコ・ニュートだがほぼ人に近い状態なので仕事で尻尾やら何やらが邪魔になる事がない。

 ドラコ・ニュートは本当に様々な姿が多い。ドラゴンに近い状態でいる者や、メイドさん達の様に限りなく人に近い状態の人達も居る。そのせいで余計頭が混乱する事もあるが同種族でも差が出るとは不思議な連中だ。


 俺は自室のベッドで横になっていると普通に女性人達が寄って来る。ここにはプライベートがある様でない、結局皆俺の部屋で寝る事の方が多いし。

 それと寝ている時の話だがリルとカリンは獣型、オウカとアオイは人型で寝ている。

 やわらかいリルの毛とカリンの羽に包まれるのはとても気持ちいい。

 俺はそのままゆっくりと目を閉じた。

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