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終戦後

 戦争が終わって既に冬から春へと変わっていた。

 俺は龍皇国で忙しくして過ごしていたからあっという間に春になったと思う。冬の間に魔獣用の町造りの計画や他の事で忙しかった。

 まずしたのは悪魔に『名付け』をした事。今回は無難にマークにした。契約する前からそう呼んでいたので他に良い呼び方が思いつかなかった。けれどマークさんは笑いながら受け入れくれた事によりさらに仲間が増えた。


 他にも俺が魔王化した事によりリル達、魔王化する前からの仲間だった皆にも新しい力が加わり、さらに強くなる。特に驚いたのはオウカで、オウカの場合は変身とでも言った方が正しい気がする。

 しかしアオイとダハーカは特に変化する事はなく、新しいスキルを手に入れたとか。

 そして俺自身もウルの指導の下、魔力制御の修業に集中している。


 それからティアに相談されていた修業の件に関しては了承した。

 ティアが強くなりたいと願っているしそのために協力するのも俺としては構わない。と言っても大森林ではティアは恐れられているし、他のドラゴンや各種族の長老とかにも説明し何とか了承してもらった。

 ちなみに俺は絶対にティア達から目を離さない事が条件の一つでもある。


 そんな忙しい冬も終わり、春が来た。


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 そして現在、俺はティア達に会った後再び現在建設中の町に戻って来ていた。魔王化とウルの魔力制御にダハーカの魔術講習によって転移を楽に行なえるようになった。

 これでいざと言う時にすぐに帰って来れるし、戦いでも使える部分はあるだろう。


「おかえりなさいませリュウ様。勇者達のご様子はどうでしたか」

「元気そうだったよ。それと他の三人も来るみたいだが本当に部屋とか大丈夫なのか?」

「修練は龍皇国にて行いますのでご安心を。それにあの程度で死ぬようなドラゴンは居りません」

「そっか。なら良いけど」

「失礼します。リュウ様、アリス様とコクガ様からの調査資料が届いております」

「ありがとマークさん。何と言うか外回りばっかりさせて悪いな」

「いえいえ、私はリュウ様との契約に従っているだけですから悪いなどとおっしゃらないでください」

「そう言うもんかね?」

 現在建設中の町に俺の執務室とでも言うべき仕事部屋がある。アオイが一番最初に作らせたのがこの部屋であり、家だ。

 十分豪邸と言えるこの家は二階建てで日当たりも良い。

 基本的に皆一人一部屋になっているが寝る時は女性陣皆が俺の部屋に来る。大抵は平和に寝ているがたまにはエロい事になったりするのはご愛敬としていただく。

 台所じゃなくて厨房だとか、俺達の使う部屋の他に使用人用の部屋があるとか、ダハーカ用に作った書庫が図書館規模だったとか色々突っ込みたい所はあるが、まぁ、平和に暮らしている。

 他の住人達用に家も建設されているし、少しずつだが生活水準も上がていくだろう。


 魔獣用の家という事もあり、一軒一軒がデカいのもご愛敬と言わせてもらう。皆が皆、人型になれる訳でもないので基本的には魔獣サイズで建設させてもらっている。

 ドラコニュートやリザードマンの技術者にはご迷惑を掛けます!


「にしても井戸とか本当に要らないのか?魔術を使える奴だってそんなにいないだろ」

「そう言った物はいきなり作っても馴染まない内は誰も使いません。それに井戸から水を汲み上げるより川や湖で身体を洗った方が良いと言うでしょう。大した距離でもありませんし」

「それにそこまで清潔にしようとする者も少ないですしね。リュウ様はただの人間をこの町に住まわせるつもりはないのでしょ」

「でもアリスとかコクガとかも居るからな……」

 今の所この町は魔獣達を中心に建設している。そのためアリスや黒牙のメンバー達には大き過ぎたり不便な場所がまだ多い。

 今すぐとは言わないがいつかは改善しないといけない。


「パパ、お母さんが魔王化祝いに来るって」

「リュウ、お母様の式典にも出なくてはいけないぞ」

「げ、ただでさえ立て込んでるのに更にかよ。まぁグウィバーさんのは前から聞いてたけど、それと魔王がちょいちょい縄張りから離れて良いんだか?」

 今年の春、グウィバーさんは正式にアオイの後を継ぎ、新たなドラゴンの女王となる。その式典が近い内に行われる。

 正式にアオイからグウィバーさんへ受け継いだ後、アオイは隠居となるのが普通だが、俺に付いて来るので隠居と呼べるのかは謎だ。その式典に俺も出席する事になっているので、その日はちゃんと予定を開けているが、カリンの母親が来るとなるとな……

 確かに冬の間もちょいちょいカリンの事を見に来たりはしていたんだが魔王化祝いとか今さらな気がする。


「カリン、いつごろ来るとか聞いてないか?」

「具体的には……でもお祝いのお宝いっぱい持ってくるから少し時間が掛かるって言ってた」

「いっぱいってそんな大量に貰っても保管する所がねぇよ。物置でも作るか?」

「リュウ……お宝を物置に入れるのは間違ってると思うのだ」

「そうです。きちんと飾らなければ。私に対抗して大量に持ってくるかもしれませんけど」

「……やっぱ宝物庫と言う物置は必要だと思う」

 そう言うとビミョーな顔をしながらもオウカとアオイは頷いてくれた。宝物庫を物置と言われる事に慣れてないんだろう。

 俺はアリスとコクガの調査資料を見ていると大森林の獣達も活動を再開、多くの動物が現れ始めたらしい。一調教師としても大森林の生態調査は興味があるのでかなり助かる。


「色んな生物がまた大森林に集まりだしたな」

「鳥類はまたこの森に来たのを見ましたので恐らく夏場には獲物もよく増えるでしょう」

「狩るのは食う分だけだけどな。それにコクガが集めてくれた調査資料によると冒険者達もこの森に来るみたいだ。何でも行方不明者の捜索とこの森の魔物から素材を手に入れるためだとか」

 行方不明者の捜索で来るのは問題ないが素材狙いの連中は要注意だな。強い奴が紛れている可能性は捨てきれない。

 教会の動きはゲンさんとアリスを中心に頼んでいるが今の所は行方不明者の捜索の方に力を入れている様だ。魔王の一角が居なくなった事で余裕が出来たのか前ほど殺す殺す言ってはいないらしい。俺の捜索も含まれている様だが。


「それじゃティアの受け入れ準備と同時に式典の準備もしないとな」

「お母さんの方はどうするのパパ?」

「流石に来る少し前には連絡寄こすだろ。そん時にだな」

 大体の動きを決めてから俺は椅子から立ち上がり、町の様子を見に行く。もちろんアオイとマークさんも一緒だ。

 今も龍皇国の技術者と街の仲間となる魔物達が協力して家を建設中。中には建設などの技術に興味を持った存在も居て少しずつ職のような物も増えていく気がする。

 そしてこの町に移住しようとしている意外な種族が居た。


「あ、リュウ様!」

 小さな女の子が俺を見つけて駆け寄ってくる。その隣には犬と精霊が居た。

 前に助けたエルフの女の子、エレンだ。移住しようと考えているのはアル村長達の村でここで恩を返したいとか。

 エルフは精霊ほどではないが自然と深く通じてる。ここで野菜でも作る気なんだろうか?


「エレン、はしたないですよ。申し訳ございませんリュウ様」

「気にしてませんよ。子供のする事ですし。それよりこちらに移住するという申し出ですが本気ですか?」

「何か気に入らない事でもありましたでしょうか?」

「いえそう言う事ではなく、まだこの町は中途半端です。移住すると決めるには早過ぎるのではないかと」

「そう言う事でしたら問題ありません。村の者も恩を返す機会が出来たと言っておりましたから」

「なら良いのですが」

 と言う風に意外な者もこの町に住むようになってきているのだが、大丈夫なんだろうか?

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