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魔王の正体

 初級禁術を食らった中は真っ暗だった。確か効果は精神を破壊し、残った肉体を支配するって効果だったか。初級な分だけ雑魚効果だな、精神攻撃無効持ってるし。

 それより気になるのはいまだ拘束しているカースバインドから聞こえる声の方だ。すでに一応魔王の術は決まってるし、もう意味ないはずなんだが……


『……た…………』 『………け……』

 『………す………』  『……た…………』

 何言ってんだか分からん。たけすた?まともに話せる存在はいないのか?そう思っていると目の前に俺に術を掛けた魔術師骸骨が現れた。


『初めまして、でよろしいでしょうか?』

「面倒だからそれでいいよ。てかきちんと意識があったんだな」

『肉体の方は完全に支配されているので話す事も出来ませんがこの空間の中なら』

「バカな魔王だな。支配下に自分の術を利用されてやがる」

『私もそう思います。そこでお願いがあるのです。我々を解放していただけませんでしょうか』

 そう言うと思ってたよ。一言で解放と言っても俺が騎士達の魂を吸収した時はもう既に魂は俺の中で溶けて居なくなった。それなのにこいつの、いやこいつ等の魂がこうして意思を持ち、活動できているのは何でだ?

 あえて吸収してない?一つ一つは小さくとも集まった分はさっさと吸収しちまった方が良いはず、魔王化の条件を満たしていなかったとしても少しは強くなるのだから普通は吸収するはずだ。それとも単に一万もの魂をコントロールする力がない?でもそれなら余計少しずつ魂を吸収する方が良いはず、何故しない。

 疑問は尽きないがとにかくこいつらが魔王の身を守ってる限り邪魔なのは変わらない。こいつ等も解放されたいと言うなら協力はしてくれるはずだ。開放できるかどうかは置いておいて。


「解放ってどうやるか分かってるのか?俺はそこまで分かってないぞ」

『魔王の胸元に赤い宝石を身に付けているはずです。それを破壊すれば我々は解放されます。しかし解放する機会がありませんでした。今回の勇者は魔王より弱かったですし、我々は捕らわれているので動けません。貴方のような強い者を待っておりました』

「その宝石って力ずくで破壊できるもんなのか?」

『ある程度は術で防御強化をされていると思われますがあなたなら可能かと』

 防御は高められているけど力ずくで破壊は可能、でも念のため術を解呪するのも用意しておくか。俺の中の皆もやる気満々だし。


「なら受けさせてもらう」

『おお‼本当ですか』

「ただし魔王以外のお前らが邪魔だ。どうにか動きを止めてもらいたい」

 正直あの魔王を倒すよりこいつと騎士と骨ドラゴンの三体の方が面倒だ。この術を破るのも簡単だがその後がな……この術は力ずくで破壊するからいいとして、例の宝石の方も完全にただの力ずくで破壊できる保証なんてどこにもないからな。正直、術の準備とかスキル選択とか色々面倒臭い、てかあの魔王をどうやったら倒せんのかな?


『それなら一ついい情報があるよ』

「あ、精霊王。なんか久しぶり」

『そんなに久しぶりでもないと思うけど……それよりあいつの正体が分かったよ』

「ほほう、精霊王が最初に分かったか。それで正体は?」

『精霊だよ、あいつ』

 ……なんか意外な正体だな。てっきり最初からアンデットだったとかそんなとこだと思ってた。


『正確に言うと死精霊、かなり希少な精霊だよ。普通の死精霊は死んだ肉体を土に返すのが役目の精霊だけどあいつは間違った力の使い方をして魔王として振る舞ってるみたいだ』

「どおりで魂が吸収されてないからおかしいと思った。となるとあの骨を壊しても意味ないな」

『恐らくあの死体はただの器だね。このまま壊したとしても魂を持ったまま地脈を通ってどこかに逃げだすだろうね。その辺はダハーカにでも頼んで結界を張れば問題ないと思うよ、逆に僕が協力すると逃げだす隙を作りそうだから僕の力は使わないでね。僕の力は基本地脈とか自然の力を使ってるから』

「結界はどんな風に張ればいい?」

『地脈に接続できない様にすれば大丈夫だよ』

 それだけでいいなら楽勝だろう。となれば残りの問題はあの三体をどう止めるか……


『ほんの一瞬なら、可能です』

 骸骨が言った。


『一秒にも満たない僅かな瞬間でしたら可能です。申し訳ありません。現在の状況ではここまでしか……』

「いや、なら可能だ。スピード重視のスキル編成にすれば問題ない」

 この術から出ると同時に結界を張って、器の骨を壊して本体の精霊をぶっ殺せばいいんだから結構面倒だな。魂を手放そうとしなくても無理矢理ひっぺ返せば問題ないだろうしな。

 って悪魔、どさくさに紛れての魂の回収は無しだ。解放するって言っちゃったんだから。

 それじゃ準備を先にしといて抜け出した後はささっとやるか。


「タイミングは俺に合わせなくていい。そっちのタイミングでやってくれ」

『分かりました、ご武運を』

 こうして骸骨は自然と居なくなった。さて、偽物魔王にはご退場いただきますか。これによって世界がどう変わるかは分からないがきっと面白い方向に変わるだろう。

 それじゃ、魔王を一体倒してみますか。

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