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 城に帰ってきた俺は中庭が綺麗になっているのを確認した。

 その後飯を食って俺の部屋に全員が集合した。


「え~では今日も会議しよっか。アリス、ゲンさんから連絡は来た?」

「はい。今日は順調に進行する事が出来たそうです。今は野営中で順調に進めば予定通り着く事が予想されています」

「魔王組は問題なしっと。コクガ、大森林組の様子はどうだ」

「こちらも魔物に出会う事無く進んでいます。但しこちらは進行速度は速いですね、予定より少し早く到着する可能性があります」

「聖女はどうだ」

「聖女は淡々と任務をこなしていると言った感じです。馬が疲弊しきらないように進んでいます」

「そうか。ところでダハーカ、捕まえた人間から良い情報は出たか」

 そうダハーカから聞くとダハーカはニヤリと笑った。


「あまり有益な情報はなかったな。しかし面白い情報はあったぞ。我らを殺そうとして来た者達の今後だが、どうやら教会の方で再教育する予定らしい」

「再教育?」

「表向きは剣や魔術に関する教えを復習するだけ、となっているらしいが実際の所はただの体罰の様なものだ。あの者の記憶に含まれていた」

 なんじゃそりゃ。教会が体罰?そこまでおっかない組織だったのか?


「教会側からすれば強靭な精神の育成のため、となっているそうだ」

「ダハーカさん、私にもその情報を詳しく教えていただけませんか。それが真実であるのなら問題ですし辞めさせないといけません」

「記憶から読み取ると教国と言う国で行われるらしい」

「教国、教会の本部がある国です、というか教会が仕切っている国です。教会の聖典が国の法であり、秩序、かなり面倒ですね」

 うっわ、そんな国に行きたくねぇ。ろくな食い物すらなさそうな国に行く奴の気が知れねぇ。

 でもその前に。


「今回は大森林に攻めてくる連中について相談な、気になる話ではあったが後で聞いてくれアリス」

「あ、はいすみません」

 正義感はいっちょ前なんだよなアリスは。

 だからこそ信用できるんだが。


「なら次に行くぞ。戦闘に向かってリル、カリン、ガイ達獣人の調整はどうだ」

「私は問題ない」

「毎日オウカちゃんと試合してるよ」

「俺んところも問題ない。戦争前にはきちんと休息をとる」

「ガイ達は特に気を付けてくれよ、気合入り過ぎてる気がするから」

 その辺はガイ達が一番不安だ。毎日ドラゴンに向かって集団とは言え立ち向かっているのだから本番は大丈夫かと考えてしまう。

 いざって時は無理矢理止めるけど。


 リルに関してはガイ達とは逆に意味で不安だ。森に帰って来てからリルが戦闘をしているところあまり見ていない、基本的に爺さん達と狩りをしているのは知っているがそれ以外の所では基本寝ている事が多い。

 本当に問題がないならいいけど。


「それじゃ最後にアオイ、大森林に棲む魔物達はどうだ」

「ほとんどの魔物はただ待っているだけ、と言った状況ですが各長老たちはリュウ様がどう退けるのか興味を持っているご様子です」

「そっか。別に面白い攻め方する予定はないんだけどな」

 正直言って俺の作戦はごり押しだ。そりゃ結界や聖属性に対する作戦は立てているがそんな国に居る軍師のような頭を持ち合わせてはいない。ただじっくりとなぶる作戦を立てているだけだ。

 敵に恐怖を与え、新しい仲間の肉体にする。それが今回の計画の一つなのだから。


「とにかく後三日だな。例の枢機卿がどのぐらいの力を持っているかも謎だし、そいつを確認してからきちんと計画を立てよう。今はまだ大雑把にしか決まってないからな」

「私なら解呪できるが?」

「それはあくまで術式を使っている場合の話だろ?スキルによって張られた結界は魔術でどうにかなるとは限らないんだろ」

「まあな」

 ダハーカは確かに魔術に対する知識はすごいがスキルによる結界はスキルでどうにかするのが一般的だ。

 スキルによって起こされた現象をどうにかするとなると魔術だけでは心もとない。


「急ぐ必要はないのだから落ち着いていくぞ。あくまで今回は防衛戦なんだからな」

「分かってはいるがどうも防御が苦手だ」

 ダハーカはガンガン前に出るタイプみたいだからな。俺もだけど。


「それじゃ今日はここまで、お疲れさん」

 そう言った後皆部屋を出ていった。

 しかし何故かアオイだけは残っていた。


「どうかしたかアオイ」

「少々質問がございます」

「作戦の事か?」

「いえ、オウカの事でござます」

 アオイがオウカの事を呼び捨てにするときは祖母としての時だ。

 何かオウカにあったか?


「オウカに何かあったのか?」

「喜ばしい事なのですが戸惑いの方が大きいのでリュウ様に聞いておきたいと」

「喜ばしい?」

「はい。最近のオウカは成長が早いと感じました」

「それは良い事じゃないか?」

 そりゃ急にオウカが強くなれば戸惑うだろうが俺に言う程か?


「はっきりと申しますと異常です。オウカはまだドラゴンの幼体でありながらカリン様の炎を相殺しました。しかもただの力押しでです。成熟したドラゴンでさえ難しい事をあの子はやってのけました。それにはリュウ様のお力があったからではないかと考えています」

 言いたい事は分かった。つまりオウカの急激なパワーアップに俺が一枚かんでると考えているって事か。

 確かに俺はオウカを強くする事を考えていたがそこまで急激なものははっきり言って考えていない。あくまで成長に合わせたゆっくりな流れの中でオウカが望む形に進化の手伝いが出来ればと考えていたぐらいだ。そんなすぐに成長させる形は望んでない。


 そうなるとオウカ側に何か問題があるのか?

 問題、と言うべきかまでは知らないがオウカは前から早く成長したいと言っていた。そこに俺の魔力が成長を早めた?カリンの時と似ている気がする。

 カリンと俺が会った時はまだ雛だった。雛の状態で俺の魔力を食った結果あっという間に雛から成鳥にまで育った。それと同じ状態かも知れない。

 その事をアオイに話すとどこか納得したように頷いていた。


「可能性としてはあり得ますね。ドラゴンと言っても我々も魔物、魔力によって大きく成長します。恐らくリュウ様と魂の繋がりによって魔力を補給しているのでしょう。リュウ様はどこか苦しくなったりは致しませんか?」

「何でそんな事聞く?」

「魔力を多く失うと失神や呼吸困難のような症状が現れます。本当に何ともないのですか?」

 ないな。

 ただでさえ皆に魔力を共有しているんだから今さらなぁ。ウルからも特に連絡もないし大丈夫じゃないのか?


「アオイは何か変化ないの?小さな事でもいいからさ」

「……少し肌が良くなった気がします」

 本当に小さな変化だな。

 もっとこう分かりやすい変化はなかったのか?魔力量が上がったとか、筋力が上がったとか。


「そうか、そうなると今度全員の状態を確認した方が良いかも知れないな。今度オウカの事をチェックしておく、その後はアオイもな」

「承知しました。時間をいただきありがとうございます」

「良いよそんな畏まんなくて。俺も改めて確認しておかないといけない事を確認できたからよかったよ」

「そう言っていただけると幸いです。では失礼します」

 そしてアオイは部屋から出ていった。

 明日は眷属の皆の確認とチェックだな。

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