防衛作戦会議
「それじゃ身内会議始めまーす。今回は大森林に向かってくる人間達の掃討です」
龍皇国で俺に振り分けられた部屋で俺の眷属全員とコクガ、アリス、そしてガイとタマ達獣人が揃っている。
それでは大雑把ながら作戦を話そう。
「え~今回相手にする人間達は大森林の知性ある者達の掃討が目的です。おそらくこちらが多くの情報を有しているとは思ってすらいないと思われるので、俺達が攻めるタイミングは十三日の昼に攻めたいと思います」
「リュウよ、奴らが来るのは十四日後だと聞いたのだが?」
「だからってこっちが合わせてやる必要はないだろ?向こうは魔物を殺す事だけを目的に来るんだ、手加減も遠慮もいらないんだよ」
オウカが手を上げて質問してくるので説明した。
「オウカ、相手はただ殺しに来るんだ。食う為ではなく、何かを作る為でもない。ただ殺すんだ。そんな相手に決闘の様な礼儀も作法もいらないんだ」
「オウカ様。これは森と森に棲む者を守るための戦です。森に入れさせる気すらないのでしょうリュウ様」
「ああ、ないよアオイ。奴らが森に入る前に仕留める。と言ってもライトライトの騎士と枢機卿は除いてだがな」
オウカはまだ決闘の感覚と戦の違いがきちんと分かっていないみたいだが次にいこう。
「ダハーカ、転移の準備って大丈夫か?」
「少々時間はほしい。纏めて送るだけなら問題ないが相手を選定してからとなると話は別だ」
ダハーカには初めにライトライトの騎士だけを転移で退場してもらう手筈になっている。ライトライトの騎士達が固まっているなら楽だがバラバラだと一々選定する必要があるので難しいらしい。そこは進行してくる敵の動きを見てから決めても遅くはないはずだ。
ティアからの要望でもあるし、俺も同郷の人間は出来るだけ殺したくはない。
会議の時に同郷でも殺すと言ったがあれは半分本当で半分嘘だ。同郷の者の中で魔物との共存など出来ないと剣を振るうなら殺す。でも今回は教会の指示で動いてるだけだ、一度だけなら見逃してもいいだろう。
「次にリル、カリンは俺の中に居てくれ、予備戦力って事で体内で待機だ」
「え~さっさと殺しちゃいましょうよ」
「パパは早く終わらせたいんじゃないの?」
「ちょっと事情があってな。新しく仲間になってくれそうな奴の要望なんだ、できるだけ戦場で恐怖などが充満している方が都合良いんだと」
「……まさか悪魔か?」
流石ダハーカ、いい勘してる。
そう、俺はとある悪魔と契約について話をしていた。その際新しい肉体が欲しいと言われた。肉体は人形やゴーレムなどでも代用する事は出来るらしいが出来るだけ人間の方が良いらしい。出来るだけ強い肉体、騎士や戦士の肉体なら文句はないはず。
「あの知恵の働く者達と契約しようとはリュウもなかなかの胆力を持っている」
「話してみたら意外と話の分かる奴だったよ。俺は好みだぞ?ああ言うタイプ」
「足元には気を付けろよ」
「忠告ありがと。とにかく新しい仲間確保のためにもあいつ等には恐怖を与えないといけない、だからリルやカリンが一気に殺しちゃうと恐怖がピークに達する前に死んじまうと意味ないんだよ」
「なら大人しくするしかないわね」
「怖くない?その悪魔」
「そんなに怖くないよ。多分」
肉体を与える前なら怖くないだろうが与えた後はどうなるか分かんないからな。そこは気を付けとこ。
次にガイ達か。
「ガイ、お前達には俺がある程度敵を倒した後に出てきてもらう。魔王候補が敵だと分かれば更に恐怖が増すだろう」
「リュウ殿、その際我々も暴れてもよろしいだろうか?」
「良いよ、ただしやり過ぎるな」
そう言うとガイ達は喜ぶ、初めての仕事らしい仕事だしな。
次にアオイとオウカ、コクガにアリス達だ。
「アオイとオウカは森の防衛だな。おそらく別動隊からの襲撃はないと思うが警戒してくれ、絶対なんて言葉は戦争中には使えない」
「承知しました」
「またお留守番なのだ……」
「オウカ、さっきも言ったろ?この作戦が旨くいったら確かに必要ないかも知れないがもしも居たらかなり危険だ。魔物の仲間達が知らない内に殺されてたとかになったら大問題だ。だからこそ頼むんだ」
「邪魔な訳ではないのだな?」
「邪魔だったらこの作戦会議にすら呼んでないよ」
頭を撫でて落ち着かせながらコクガとアリスに言う。
「コクガとアリスはとにかく森の中の見回りを頼む。いくら気配に敏感な魔物達でも気付かない事はある、そのための見回りだ」
「了解しました。では森の中でも問題のない者を呼び、配置しましょう」
「はぁ、分かりました。食べてばっかりいる訳にもいきませんからね」
とアリスは言うが知ってるぞ。最近魔物達相手にかくれんぼしてるってのは。
前に俺が言った修行内容の一つだ。フェンリルの子供達とのかくれんぼ、見付かったら高速で体当たりしてくる普通の人間では危険なかくれんぼだ。
それを様々な魔物の子供達と遊びながら気配を隠す修行をしているのを一応は知ってるんだぞ。
いやかくれんぼって他の種族もとなると本当に厄介なんだよ。
目が悪くても熱源を察知する能力を持ってたり、音の反動を使って探し当てたり、鼻を使って探し当てたりと視覚に頼っている人間にとって滅茶苦茶ハードルが高いんだよな。
「頼んだ。それからゲンさんにも念のため連絡を繋いどいてくれ、魔王側の動きも気になる」
「それは良いですけどまさか魔王に喧嘩は売らないですよね?」
「それは知らん。ティア達が難なく倒してくれるならそれでいいさ」
あくまで魔王は念のためだ。こちらは出来ればティア達でどうにかしてほしい。
大森林の防衛が一番重要だし、魔王との殺し合いなんて御免被る。もしカリンの母親と同等の力を持っているとしたら厄介過ぎる。
「分かりました。隊長には何て聞いておいた方が良いですか?」
「とりあえず魔王といつ戦うかの日付だけでいい。丸被りだけは避けたい」
一応念のためと渡した召喚陣が早くも使われるかも知れない状況とか面倒臭い。しかもそれが防衛中となったら更に無理だぞ。
教会の連中マジ嫌い。
「大雑把な作戦はこんなもんだな。出来れば逃げられない様に結界の一つでもあると良いがダハーカを酷使するつもりもないからな。必要となったら皆で囲めば済むかも知れないけど」
「必要あるまい。恐怖を与えると言うなら一人ずつ殺していくのだろうがリュウなら問題ない」
「でも転移する可能性は捨てきれないだろ?そう考えると転移封じだけは用意しといてもいいと思ってな」
「「「心配し過ぎ」」」
全員に言われてしまった……
ともかく防衛線準備に本格的に入りますか。




