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態度で示す

「良いですか、奥手な殿方をその気にさせるのは妻の仕事です」

 よく分からないがグウィバーさんはリル達に何か熱弁している様子、その気ってどの気だよ。

 俺は普段皆と常に念話をリンクさせていない、していないと言うよりは皆の思考を読まない様にしてると言った方が正しいか。

 ダハーカ以外は皆女性だし、プライベート云々とかもあるからその辺は考慮しているが、たまに俺の知らない所で話している事も多い。

 今回もそんな感じなんだろうと思っていたらアオイが困った顔をしていた。


「何か聞いちゃいけない内容だった?」

「その、聞かない方がよろしいと思います……」

 珍しく歯切れが悪い。一体どんな会話してんだ?

 ちょっと耳を澄ますとグウィバーさんの熱弁は続いていた。


「中々手を出して下さらない殿方にはとにかく押して押し切る事が大事です。手を出さないのも優しさなのは分かりますがそれでは他の女性に後れを取ります!積極的に行きましょう」

「遅れって何ですか?」

「子供が出来る出来ないの遅れです。同世代の同じ女性に言われると想像以上にダメージを負います。皆さんはまだ若いですが気を付けてください」

 …………まさかこれって俺への不満大会か?

 いや、確かにここんところ師匠のとこで寝泊まりしてたから手を出したりはしてなかったがその不満か?

 いやでも手を出す訳にはいかないじゃん。人の家でそう言う事をするのはどうかと思うぞ。

 ちょっとアオイに確認を取るように見るとアオイは顔を赤くして言った。


「その、もう少し、愛してほしいとは思っています」

 まぁ、そう言う話は男から誘うイメージ強いからな、それに女性から頼むのもかなり勇気がいる事なんだろう。純情が好きって男からすれば幻滅する類のネタかも知れないし。

 ちなみに俺はその辺全く気にしません。


「興味ない。私はリュウの中に戻っているぞ」

 そう言ってダハーカは俺の中に入ってしまった。

 そんな中でもグウィバーさん達の会話は止まらない。


「でもパパに言うのはちょっと勇気いるよね」

「そんな事を言ってると先を越されますよカリンさん。リュウは複数の女性と一緒に居るのですからあまり謙虚過ぎると一人だけリュウの子を生むのが遅れますよ。夫は私一人でしたから問題ありませんでしたが」

「それは……嫌かも」

「では積極的に行きませんと、それに我々長命種は子を残しづらいのですから」

「うん!パパと一緒に頑張ってみる!」

 そこは運だろ!いや頑張れば確率は上がると思うけど最終的には運だからなそこは‼

 しかもカリンまでその手の事に積極的だとは思わなかった。

 だって自分でも少し前まで雛だったって言ってたんだぞ。その子が子供を欲しがるとは思ってなかったし、まず家無いし……。


「まぁまだリュウはマシでしょう。ドライグなんかは結婚した後でも中々手を出してくれませんでしたし……」

 ブっと噴き出す音がすぐ隣で聞こえた。

 龍皇の事など気付かず話を続けるグウィバーさん。


「お父様も大変だったのか?」

「ええ大変でしたよオウカ。結婚する前はお母様に止められ、結婚後もドライグは中々誘っていただけず寂しい夜が続きました……」

「仕方ないだろう!」

 グウィバーさん、その夫が赤くなってますよ。

 俺もこれ以上聞く訳にもいかないからそろそろ入るぞ。

 念のためノックをしてから入るとグウィバーさんの膝の上に座るオウカ、カリンはその二人の前に正座して聞いていて、話に参加していなさそうなリルは狼の姿で寝てた。


「今日は帰るぞ~って何か邪魔しちゃった?」

「いえ、切りが良い所でしたので問題ありませんよ」

「グウィバーさん。居たんですね」

「ええ、娘との久しぶりのスキンシップをと思いまして色々話し込んでしまいました」

「そうでしたか。で、オウカとカリンはどうする?俺は爺さんの所に帰るけど」

 念のために聞いておこう。こっちにはベッドもあるし屋根もある。寝るならこっちの方が過ごし易いと思うが。


「私はパパに付いて行く。オウカちゃんは?」

「私は……残ってもいいか?」

「良いぞ。久しぶりに家族に甘えとけ。後リル起きろ、帰るぞ」

「ん?ふわー……」

 リルは起きたけど寝ぼけてるな。仕方ないし抱っこして帰るか。

 それとそう言えば。


「ガイとかはどうなった?全く見当たらないんだが」

「ガイならこの国の医務室に居るよ。ドラゴンの人に喧嘩売ってボロボロになってる」

「……オウカ、置いてって良いか?」

「問題ないのだ。しばらく安静と言われているし、タマや取り巻き達も部屋を与えているので大丈夫なのだ」

「じゃ、置いていくからオウカの方で伝えといて。アオイはどうする?」

「私も今回だけここに留まらせていただきます。フェンリル様によろしくお伝えください」

「分かった。後アリスとコクガもここに置いてって良いか?人間のあいつらに夜の森は危険だろうからな」

「承知しました」

「それじゃ後は頼んだ。リル、カリン行くぞ」

 寝ぼけたリルを抱き上げるとカリンも俺の胸に鷲の姿で飛び込んできたので一緒に抱き締めて外に出る。

 冬になったからか夜の空気は冷たい、けど仲間と居るとそれも少し和らぐ。

 リルは夜の寒さで目が完全に覚めた様だが俺はそのまま抱きしめて走る。うん、心地良い。

 そのまま走って爺さんの所に帰るとそこにはデカいトナカイ二頭が仕留められていた。


『ようやく帰ったか。会議はどうじゃった』

「順調って感じ、あとは人間がどう攻めてくるか情報の問題かな。それと置いて行った人間の方は?」

『まだ子供達に遊ばれておる』

 近くに居たおチビ共がまだあいつらとじゃれ合ってるのが見えた。

 黒牙のメンバーはほぼ瀕死みたいな感じだけどな。


『では皆で食うとしようか』

 こうして飯が始まった。

 狼の食事は偉い順なので爺さんから食べ始める。今回はデカいトナカイが二頭なので十分に飯は行き渡るだろう。冬場は獲物も減るので貴重な食事だ。


「あのトナカイ、確か滅多に市場に出ない奴だよな」

「数がいないと言うよりは捕まえるのが難し過ぎて、でしたっけ?」

「あれA級の魔物ですよ」

「スゲ~」

 黒牙のメンバーがそう言ってるがそうだったんだ。そんな事を言ってるが俺達が食えるのは少しだけだぞ?

 元々貴重な冬の肉だし、一番多く食えるのは仕留めた者か爺さんだ。と言っても人間から見れば十分腹の足しになる量ではあるが。

 そんな四人も肉は食えた。俺達からすればほんの少しの量だが彼らには十分な食事だったようだ。

 さてこれからどうしようか。飯も食ったし後は寝るだけだが冬はそこらで寝る訳にもいかないしな。そんな時に元のサイズに戻ったリルが俺の首を咥える。


「どうしたリル?」

『こっち来て、いい洞穴があるの。そこで寝ましょう』

「そりゃ助かる。でも爺さん達と一緒じゃなくていいのか?」

『そこまで親離れ出来てない子供じゃないわ。良いから黙ってる』

 まぁ咥えられてるから逃げようがないが大人しくしておこう。

 黙ってぶらぶらしていると確かに洞穴があった。リルの身体がちょうど入るぐらいの大きさの洞穴でそこには既にカリンも居た。


「カリンも居たんだ」

「うん……」

 リルに降ろされながらカリンに聞くと何故かカリンは顔を赤くしていた。寒いからか?

 リルも俺を降ろすと人型になり洞穴の中まで手を引っ張る。


「おい、引っ張んなくてもそこに行くって」

 しかしリルは答えず洞穴の中に引っ張る。そこには干し草が敷き詰められていて中々暖かそうだった。

 その上にカリンは座っている。


「干し草まで準備して本当にどうした?寝るだけだろ?」

「リュウ、はっきり言うけどグウィバーさんとの話、聞いてたよね」

「あ、あ~……はい、すみませんでした」

「怒ってないよ。ただ私達の気持ちに気付いてほしかっただけ」

 何故か優しく干し草の上に寝かされる俺、あの時の話を思い出しながら話を聞いていたが……まさか。


「え、つまりこれからするって事か?」

「流石パパ、察し良いね」

「いやだってグウィバーさんの話ってそう言う事になるじゃん!」

「私、実は道場に居る時に発情期に入ってたの。抑えてた分、ね」

 リルの普段とは違う様子に正直ドキッとするが良いよな。夫婦だし良いよな!


「パパ目が怖ーい。ぎらついてる」

「マジ?そんな目してた?」

「してるよ。後リルお姉ちゃんと一緒に私の事もお願い」

 カリンも潤んだ瞳で俺の事を見てくる。

 これは答えないとダメだよな。

 二人を優しく撫でると心地よさそうに顔を緩める。

 正直に言うと俺も皆の事を抱きたいと思っていました。でも場所と言うか、状況と言うかそう言う事もあったので遠慮してたし、何より俺から求めてもいいのか不安だった。

 でも皆も良いって思ってるなら求めてもいいよな?


「よろしくお願いします」

「「お願いします」」

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― 新着の感想 ―
い、色気ねぇ〜w今から対戦でもするんかw
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