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邪龍復活‼

 ダハーカが復活する。

 それはどんな風になるのでしょう?

 つーかヤバくね?

 こんな所で復活されたら大問題だぞ!


「えーっと、少し用事が出来たので離れまーす」

「「逃がすか」」

 両方から肩を掴まれて動けなくなる俺。

 ちょっと待って、リルは分かるけど何でティアの手が振り解けないんだ?

 俺より弱いんじゃないの?


「あーもう!ちょっとごめん!」

「え、ちょっと!」

 俺はティアを抱き上げて走る。

 リルは突然俺が本気で走り出したのを見て慌てて追いかける。

 ティアは何故か俺に抱き上げられてから硬直して動けない。

 少し本気で走って人気がない更地で止まった。


「ちょっとリュウ!どうしたの突然走り出して」

「緊急事態だ。ダチが復活する」

「……え、早すぎない?」

「俺だってそう思ってる。でも連絡が来たんだからそう何だろうよ」

「えっとどう言う事なのか教えてくれない?」

 一人付いて来れないティアが小さく挙手をしながら顔を赤くしながら言った。

 俺はそんなティアを優しく降ろしてから言う。


「聞くより見た方が早い、少しそこで待ってな。リル、不満かも知れないがティアを守ってくれ。それと暴れない様に見張っといて」

「分かった」

 ティアは降ろされたままの状態でいるが俺は少し歩いて離れる。

 復活した際にどんなことが起こるかも不明だし、ティアなら復活の余波だけで死んでもおかしくない。

 で?勝手に復活するのか、ウル。


『一番手っ取り早いのはリュウが呼ぶ事。肉体や精神、魂は完全に修復されているから後はリュウが呼べば起きるはずだから』

 呼べばって簡単に言うな。

 少し疑問を持ちながらも何て呼べば起きるか考えてみる。

 普通に名前で呼んでみるか?

 それともダチ公とでも呼べばいいのか……


 そんな間にも俺の身体から何かが迫り上がってくるのを感じる。

 多分これがダハーカの魂かオーラなのだろうがどうやらサッサと呼ばないといけなさそうだ。

 いつの間にか大気が震えだし、俺の体を包むように発光し始める。

 それじゃ大声で呼んでみるか。


「起きやがれ、アジ・ダハーカ!」

 その時俺から大量の魔力が抜け出た。

 少しふらつきながらも抜け出た魔力を目で追うと俺のすぐ前で魔力が集まって、前に見た黒を中心に星空のように様々な色が入った卵が出現した。

 その卵はすぐに孵り、強い漆黒の光を出しながらアジ・ダハーカが復活する。


 俺の目の前にいたのは以前に見た白亜のタフな巨体に、俺を切り裂いた鋭い爪と牙、そして俺をじっと見る三つの頭と六つの目。

 ただ少し以前と少し違うのは白亜の巨体に何か刺青の様なものが全身に描かれていた事か。


 グォォォォォォォォォォォォォォォォォ‼

 復活の雄叫びが辺り一帯に響き渡る。

 俺は何てことなく嬉しく聞いていたがティアとリルは耳を塞いでいた。


「久々の外の空気はどうだダチ公?」

『ああ、とても心地よいものだリュウ。私自身これほど早く復活出来るとは思っていなかった』

「多分ウルの奴が上手い事してくれたんだろうさ。それでどうだ、新しい身体は?」

『調子はかなり良い。では以前言っていた喧嘩でもするか?戦わなくては詳細には分からんだろう』

「はいストップ。今は大人しくしてくれ、今はドワーフの国に居るから出来るだけ静かにしていたいんだよ」

『んん?リュウはドワーフの国に所属していたのか?』

「そうじゃない。新しい刀を作ってもらいに来たんだよ」

『なるほど。それで先程からそこで腰を抜かしている人間の雌は何者だ?』

 ん?あ、本当だ。

 ティアがすっかり腰を抜かして動けないでいる。


「大丈夫か?」

「大丈夫かって大丈夫な訳無いでしょ!あのドラゴンこそ何者よ‼」

「あいつはアジ・ダハーカ、俺のダチだ」

「アジ……!?」

 ティアは口をパクパクさせながら動けないでいる。


『ほう、その雌が今回の勇者か。では一つ手合わせを』

「ごめんマジで止めて。こいつそんなにまだ強くないから。今死んだら人類大変な事になるから」

『む、それはつまらんな』

「それよりダハーカも人化出来るんだろ?人前に出る時とか面倒臭いし今の内にしてくれよ」

 この魔術を極めた邪龍なら何て事のない話だろう。


『このままではダメか?』

「ダメだ。すぐにばれて俺が二度と人間のいる町に行けなくなる」

 そう言うと仕方ないように術を発動した。

 白亜の巨体が小さくなり、俺と背が変わらないぐらいの男になった。

 ただダハーカの方が数段イケメンである事に少しショックだ。


 髪は白く、腰まで伸びているが決して不潔な雰囲気はなく、くせ毛もあるがどちらかと言うとワイルドな空気が出ている。

 目は鋭く、紅いので怖いと思う者も多いかも知れないが俺から見れば十分にかっこいい。

 絶対ワイルド系が好きな女性にモテまくるぞこいつ。


「何で、何でいつも魔物が人化すると美男美女になるんだよ……意識してたりするのか?」

「意識などしてはいない。我々の人化の術はもっと単純なものだ、決して好きな容姿になるための術ではない」

「つまり……どう言う事?」

「簡単に言えばもしも人間だったら、と言う姿に変化させるだけの術なのだ。他の人間の姿にはなれん」

 ふーん。

 よく分かんないけどいっか。


「やっぱりお前って男だったんだな」

「私に性別の概念はない」

「と言うと?」

「元の姿では無性だ。人化の際に雄か雌か選択できるが雌の方が良かったか?」

「いや、そのままでいい。これ以上女が増えると肩身が狭い」

 本当にね。

 これ以上女の子が増えるとリル達の目線がとっても痛いのですよ。


「それじゃ帰るか。ティアもデートはここまでいいか?」

「……うん。今日はなんだか疲れた」

「リュウ、今度は私が勇者を運ぶから」

「ありがとリル。それじゃ早く帰って他の勇者パーティーを安心させるか」

 ほとんど拉致みたいなものだったし、多分今頃タイガの奴が大騒ぎしてるだろうな。

 そう言えばダハーカって俺の中に入ってなくていいのか?

 久々の外だし出来るだけ外に居させたかったがこれでも伝説の邪龍だしな。


「ダハーカ、お前人間のふりは出来るか?」

「私からすれば造作ない」

「なら出来るだけ人間のふりをしてくれ。切り札は取っておかないとな」

「了解した」

 走りながらそう話していたが元の場所にタイガ達はいなかった。


「あれ、もしかして探しに行っちゃったか?」

「でもそれならすれ違うでしょ。方向ぐらいは見えてたと思うわよ」

「えっと、そろそろ降ろしてくれません」

 ティアはリルに降ろしてもらってから辺りを見渡している。

 ティア以外は『魔力探知』や気配、聴覚を頼りに探しているが見つからない。


「ドワーフが来たな」

 ダハーカが言った。

 確かにフォールクラウンから誰かが向かってくる。


「皆さん早く避難して下さい‼外は危険です!」

 よくは分からないが指示に従った方がよさそうだ。

 俺達は素直に指示に従ってフォールクラウンに帰ってきた。

 一体何事だ?

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