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回復術士のやり直し~即死魔法とスキルコピーの超越ヒール~ 作者:月夜 涙(るい)

第六章:回復術士は復讐を終える

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第四話:回復術士は弓の雨を突き抜ける

 当初の予定では、今日はラナリッタでゆっくりして、明日ジオラル王国に乗り込む予定だった。
 だが、そのラナリッタがジオラル王国軍によって襲撃され、炎上している。
 いろいろと不可思議だ。

 まず、ジオラル王国が自国の都市であるラナリッタを襲撃していること自体がおかしい。
 次に、瘴気におかされた黒い騎士と一般の軍が協力していることも異様だ。

 黒い騎士の存在は隠匿されていた。それをつい最近公にしたことになる。
 なぜ、あんなまがまがしく気味が悪いものが簡単に受け入れられているのだ?
 自分が黒い騎士にされる恐怖はないのだろうか?
 黒い瘴気に侵されれば不死性を獲得するし、身体能力も向上する。だが、理性はなくなり王の操り人形になる。それは死よりも辛い。
【砲】の勇者ブレットという例外はいることはいるが、その例外になれるなんて保証はない。
 黒い騎士にされる前に逃げだすのが普通だ。
 ……しかし、その普通がなされていない。それどころか、あんな化け物と協力して戦っている。

「まったく、面倒な展開だ」

 黒い騎士の弱点、思考力がないせいで単純な作戦しかできないという点、それが正規軍のサポートによって補われている。

 俺は舌うちしつつ、フレイアたちが乗っていた竜が墜落したポイントに向かって走る。
 厄介なのはなにも黒い騎士たちだけじゃない。
 凄腕の弓使いの放った、魔力で強化された弓によって、フレイアたちが乗っていた竜の翼が貫かれている。

 普通の弓なら届きすらしない上空に攻撃を届かせ、さらに減衰した威力で竜種の高い防御力を貫くなんて並大抵の弓使いではない。

 クレハとフレイアが居ても危ないかもしれない。
 弓使いは二人とって相性が悪い。
 クレハは遠距離攻撃手段を持たず、竜に届いたということはフレイアの魔術のさらに外から攻撃ができることを意味するし、フレイアは音速の矢を防げるとは思えない。

 戦闘はもう始まっていた。
 クレハが剣を何度も振るっている。
 次々に飛来する矢を切り払っていた。
 弓使いの姿は見えない。遠距離から一方的に攻撃されているようだ。

 いつものクレハなら、矢の飛来する方向に矢を斬りはらいながら突進して距離を詰めるだろうが、背後には手負いの竜とフレイア、エレンがいる。
 クレハがこの場を離れれば、弓使いは残りのメンバーを皆殺しにするだろう。
 手づまりの状況だ。

 いずれ、クレハが消耗してくれば矢を防げなくなる。このままいけば弓使いが勝利する公算が高い。
 だが、残念だったな。俺という増援が現れた。この時点で弓使いの勝利がなくなった。

【翡翠眼】に力を込める。矢の飛んでくる方向を凝視する。
 超強化された視力と動体視力で弓の軌道を逆算し、射手を見つける。面白い、七百二十メートル先。
 ふざけた距離だ。フレイアの最大射程の五百メートルの外からの攻撃。そのせいでフレイアが反撃出来ていないのか。
 一般的に弓での射程はただとばすだけで二百メートルと言われている。
 その三倍以上の距離から精密射撃をしてくるとは、人間業じゃない。

「セツナはクレハたちと合流してくれ。黒い騎士どもが迫ってきている。いくらクレハでも、あの弓をさばきながら黒い騎士どもを相手にできない」

 俺が射手を狙っているように、向こうも手を打ってきている。
 クレハたちのほうへ黒騎士どもが十人ほど向かってきているのだ。

 あいつらは不死身で殺すことはできない。
 弓の処理で手一杯な今、クレハでも対応に苦慮するだろう。
 だが、氷漬けにすることで動きを封じられるのは実証済みだ。あの弓使いの弓から身を守る技量を持ち、クレハの足を引っ張らず、氷を自在に操れるセツナなら最高の援軍になる。

「ん。ケアルガ様、任せて」

 セツナと二手に分かれる。

「ご主人様、グレンはどうするの?」
「お前はこのまましがみついておいてくれ。なにせ、今から向かう先には、黒い騎士がうじゃうじゃいるからな。おまえの力が必要だ」

 射手がいる位置は後方部隊のさらに背後、多数の弓使いと魔術士、それの護衛の黒い騎士が多数いる。十や二十じゃ効かない。

 射手を無力化するには、その肉の壁を突破しないといけない。
 少数の黒い騎士なら、【改悪ヒール】のごり押しができるが、あの数は辛い。
 グレンの炎がほしい。

「わかったの。あのくっさい連中。神獣の聖なる炎で浄化してあげるの! ゴミはゴミ箱へ! なの」
「なあ、グレン、自分で神獣の聖なる炎なんて言って恥ずかしくないか?」
「……じっ、事実なの! うるさいの」

 まあ、細かいことはいい。
 俺は剣を引き抜く。
 グレンが尻尾をぶんぶんと振る。気合を入れているようだ。
 そして、俺の剣がグレンの炎に包まれる。
 浄化の炎による魔力付与エンチャントこれで切れば、不死身の黒い騎士ですら息絶える。
 射手との距離が残り二百メートルまで近づいた。

「ご主人様、なんかすっごい矢と魔法の雨が」
「だろうな」

 後方部隊に単身での突撃しようとしているのだ。
 こういう出迎えは想定内だ。

「なかなかの練度だ」

 少し感心する。
 有効射程に入るまで我慢し続けて、獲物が射程に入るなり一斉射撃。
 それも、一人に対して全力の飽和攻撃。

 これがなかなか難しい。
 気持ちが逸り、有効射程へ入る前に攻撃を行うものがでるし、相手が一人だと油断して出し惜しみをするのが普通だ。
 だが、敵は正しいことをした。一糸乱れぬきっちり引き付けての全力攻撃。
 こうでないないと面白くない。

「ご主人様、死んじゃうの、死んじゃうの、死んじゃうの!」
「大丈夫、俺には見えている」

【翡翠眼】とは逆の目が光り輝く。神鳥から譲り受けた【刻視眼こくしがん】。

 その力は数秒先の未来を視ること。
 弓と魔法の着弾箇所が視えた。
 破壊に埋め尽くされる光景、完全な回避は不可能。もっとも攻撃が薄い箇所へと体を滑り込ませ、グレンを抱きしめてかばい、防御結界を張る。
 攻撃が着弾する。凄まじい衝撃。
 だが、致命傷には程遠い。
 最低限の被害で切り抜けた。

「ごほっ、ごほっ、もっと完璧に躱してほしいの!」
「最善は尽くした。今のも針の穴を通すような位置取りだ」

 未来が視えさえすれば、レベル200オーバーの敏捷性でどんな状況だろうが対応して見せる。

 首を傾ける。目があった位置を矢が通り過ぎていく。
 めちゃくちゃしやがる。
 大規模な破壊による、砂埃と煙で敵も味方も視界がゼロになり、緊張がゆるんだ小休止。
 その隙に急所を狙った一撃をとばしてきやがった。
【刻視眼】で未来が見えていなければ喰らっていたかもしれない。
 間違いなく例の弓使いだ。
 どんどん興味が湧いてきた。
 いったい、どんな奴なんだろう。

 ……できれば、女がいい。それも美しければ文句がない。
 こいつのせいで、ジオラル王国へ行くのが遅れた。
 クレハ、フレイア、エレンが危険な目にあった。
 許すわけにはいかない。俺の復讐の相手だ。どうせ復讐するなら女のほうが楽しめる。

 次々に飛来する矢を躱す。
 音速を超える一撃ばかり、それも俺の意識の死角を狙う。
 それでいて、単調にはならない。一射一射に工夫が見える。

 ほれぼれする。なんて技量だ。だが、相手が悪い。
 未来が視えている俺に、弓など当たるはずがない。
 相性が悪すぎる。

 煙が晴れた。
 あの弓使い以外は確実に殺したと思い込んでいたのだろうか? そんな俺が残り五十メートルまで近づいているのだから。敵の集団が動揺している。
 感情と思考力がない黒い騎士たちだけは、即座に反応し殺到してくる。

「しゃらくさいいいいいいいいいいいいんんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 あえて、自らの暴力的な衝動にすべてを任せる。
 ステータスを【改良ヒール】で弄る。
 防御を捨てて超攻撃型に変更する。

【刻視眼】と俺の速度があれば、黒い騎士と散発的な支援攻撃など当たらない。防御力なんてもういらない。
 超広範囲攻撃は避けようがないとはいえ、この距離だ。味方ごと撃つなんてできるわけがない。

 できたとしても、致死性の攻撃ではない。
 だから、好き勝手暴れられる。
 俺の剣が黒い騎士に吸い込まれるたび、切断ではなく粉砕、粉々になっていく。

 あまりの筋力ゆえに、一太刀一太刀が音速を超えて、周囲をソニックブームが発生し剣が直撃していない敵すら切り刻む。面白いな。浄化の炎を纏った件でソニックブームを引き起こすと、どういう理屈かわからないが衝撃はにすら炎が混じる。

 レベル200を超えたステータスを攻撃力に集中したゆえの理不尽な現象。
 黒い騎士どもも、グレンの聖なる炎を纏う一撃で不死性を剥がされ即死だ。

 ちょくちょく弓や魔法が飛んでくるが、あたりはしない。
 うまく、俺の逃げ道を塞ぐように陣形を整えているが、俺は筋力と速度は超大型魔物に匹敵する。
 たかが数人の人間の壁、障害になりなどしない。

 なんの工夫もなく、強引に突っ込みぶつかれば弾き飛ばす。
 笑みが込み上げてくる。
 これはもう戦いじゃない虐殺だ。

「どこだああああああああああああああああああああああああああああああああ! 弓使いいいいいいいいいいいいいいいいいいい! 逃げずに出てこい!」

 乱戦と興奮ゆえに、弓使いを見失った。
 まあいい、邪魔者を全部皆殺しにすれば見つけやすくなる。

 視界に入ったすべてを殺していく。
 黒い騎士は浄化の炎を纏った剣で、魔法使いや雑魚なほうの弓使いは素手で。
 五本目の剣が折れた。
 浄化の炎のダメージと、俺の乱暴な使い方で二、三振りしかもたない。
 だが、困りはしない。
 死骸からいくらでもはぎ取れる。

「グレン、浄化の炎の付与が遅れてるぞ」
「無理を言わないでほしいの! これ、結構疲れるの。ご主人様は壊しすぎなの!」

 剣が折れる度に炎を纏わせているグレンが文句を言い始めた。
 しかし、壊れるものは仕方ない。
 なんで、こんなに剣って脆いのだろうか。

 どんなに雑に使っても壊れない剣が欲しいものだ。
 殺して、殺して、殺して、壊して、壊して、壊し尽くす。
 どんどん敵の数が減っていく、そして、誰もいなくなった。

 おかしい、例の射手がいない。
 もしかして、暴れついでに壊してしまったか? しまった、これじゃ殺しただけだ。復讐としては下の下。
 ハイになりすぎた。

 反省しないと。
 だいぶ消耗したな。
【刻視眼】が限界だ。解除する。これは精神力と体力、両方を消耗する。
 超攻撃型のステータスもバランス型に戻す。
 次の瞬間だった。額と右胸に矢が突き刺さる。
 危ないな。バランス型にステータスを戻していたおかげで浅いところで止まったが、超攻撃型のままなら致命傷だった。矢を引き抜くと、血が噴き出る。

 走りながら、神甲ゲオルギウスの【自動回復オートヒール】によって、傷が癒える。
 矢の直撃と同時に【翡翠眼】で姿を捉えてあった。

 もう煩わしい壁はない。ここからは一秒足りとも目を離さない。
 次々に矢が飛んでくる。

 この近距離で音速を超える矢は躱せない。
 だが、躱す必要はない。
 致命傷を喰らいかねないところだけをガードにして、敏捷性まかせに距離を詰める。

 矢が何本も突き刺さるが気にしない。
 即死でなければ、【自動回復オートヒール】で癒せる。レベル200の圧倒的な防御力があれば、超攻撃型ステータスにでもしていない限り死にはしない。
 敵の姿がはっきり見えた。

 赤毛の女だ。顔を布で隠しているが、女なのは間違いない。
 復讐のしがいがある。
 ついに距離がゼロになる。
 左手で、首をがっしり掴んで持ち上げて、地面に叩きつけて組み伏せる。

「がはっ」

 女が今の衝撃で弓を放した。
 ついでに空いた右手で両肩の関節を外してやる。これで無力化だ。

「きゃああああああああああああああああ」

 可愛い声で鳴く。
 さて、顔を見せてもらおうか。
 顔に巻いている布をはぎ取る。
 二十代半ば、なかなかの美人だ。
 だが、既視感がある。この目、どこかで見たことがある。
 猛禽類を思わせる鋭い目。彫りが深く凛々しい顔立ち。

「【癒】の勇者ケアル、お父様の仇! 殺してやる。お父様が正々堂々と戦って、おまえなんかに負けるはずがない。卑怯者のおまえを殺してやる」

 ああ、思い出した。
 三英雄の【鷹眼】だ。
 同じ目をしている。
 そして、この弓の絶技。間違いないだろう。
 というか、なぜ俺が【癒】の勇者だとわかったのだろうか? まあ、どうでもいいか。
回復ヒール】して、こいつの記憶と経験をコピーすればわかる。

「卑怯な手? なんのことやら。確かに【鷹眼】を殺したが、戦争の中で正々堂々戦った結果にすぎない。そうか、おまえは【鷹眼】の娘か」
「答える必要はない!」
「まあな、だがな。俺には答えなくても答えさせるなんて手はいくらでもあるんだよ。ひゃはっ、久しぶりだな。女に復讐するのは、そそるなぁ」

 セツナたちと愛のあるセックスもいいが、やはり組み伏せて無理やりというのも悪くない。

「この外道!」
「その眼、いいなぁ俺に恨みを持つ奴を返り討ちにするって、変に興奮するな。復讐に対する渇望を知っているだけに、それを踏みにじって、凌辱することに昂る。なんだろう、今の気持ちは言葉にできない。ただ言えるのは一つ、【鷹眼】には感謝しないとな。奴のおかげで、こういう趣向を楽しめる」

 俺がそう口にすると【鷹眼】の娘が涙を目に溜めながら暴れ始める。
 だが、弓使いがこの距離で組み伏せられてできることはない。

 二、三発殴って黙らせてから服をはぎ取ると気娘のような悲鳴をあげた。
 ああ、この反応処女だな。
 復讐がより楽しめそうだ。
 さあて、お薬、お薬。

「まあ、なんだ。父親を殺されて俺が憎いみたいだが、その恨みいつまでもつかな。俺が大好きになりお薬をくれてやる」

 ポシェットから、特別製の媚薬を取り出す。
 新作だ。
 こいつは特別製だ。ただ快楽を与えて性欲を増幅するだけじゃない。人間に使うのは初めてで、楽しみだ。

 組み伏せた女が血を吐く。
 舌をかみ切ったようだ。
 なるほど、俺に好き勝手されるようなら、死んだほうがましか。

「自殺なんて許すわけがないだろ?」

 だが、ざんねんながら俺は回復術士、俺の前で自殺なんてできるはずがない。
 即座に【回復ヒール】し、口の中に布を突っ込む。
 その布には特製ポーションたっぷり。
 女が内股をこすり始める。
 その目は物欲しそうに俺を見ている。

「ひひひ、いつまで正気を保てるかな。本当に父親を愛して、仇を討つのなら、俺を喜ばせるようなこと言わないし、しないよなぁ」

 戦場で、こういうプレイは初めてだが、特殊なシチュエーションで興奮できそうだ。 
 さて、この女はどれだけ持つか。
 そんなことを考えながら、俺は笑って見せた。
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