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回復術士のやり直し~即死魔法とスキルコピーの超越ヒール~ 作者:月夜 涙(るい)

第六章:回復術士は復讐を終える

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第二話:回復術士はつかの間の平穏を楽しむ

 魔族と人間が共存する世界唯一の街、ブラニッカにやってきた。全員で街の中に入っていく。

「エレン、おまえはフードを深くかぶっておけ。顔を見られるな」
「かしこまりました。ケアルガ兄様!」

 エレンが俺の指示通り、深くフードをかぶる。
 なにせ、【改良ヒール】により、容姿を多少弄っているとはいえ、この街を滅ぼそうとしたノルン姫のおもかげは残っている。ブラニッカにはノルン姫を恨んでいるものは多い。

 ……もっとだいたんに【改良ヒール】で容姿を変えればいいのだろうが、それは俺の趣味ではない。
 あのノルン姫を弄んでいるという実感が薄れる。それに元の顔を尊重しないで好きに作るのであれば美少女である必要なんてない。美学に反するのだ。

「ケアルガ様。ブラニッカは平和そう」
「だな。俺たちの戦いは無駄じゃなかった」

 セツナが街の様子を見ながら感想を言う。
 この街を出たときは、街はかなりぼろぼろだったが短期間でずいぶんと持ち直しているようだ。

 商店の主たちが元気よく客引きしており、人通りも多い。
 ノルン姫の襲撃で人間と魔族の関係が壊れることはなく、相変わらず人と魔族が笑いあっている。
 猫獣人型の魔族が、紙の束を抱えて大通りを走ってきた。
 広場のど真ん中で立ち止まる。

「号外! 号外! 新魔王イヴ様の続報が入ったよ! 新政権からの公式情報だ! 買った! 買った!」

 どうやら、新聞売りらしい。
 意外にもブラニッカは人間からもたらされた活版技術が発展しており、新聞なんて文化もある。
 新聞売りに人々が群がる。
 新たな魔王政権にみんな興味津々のようだ。

「イヴがどう書かれているか気になるな。俺も買ってみよう」
「ケアルガ兄様、私も賛成です。世間の目を知っておくことは重要ですからね」

 そうして、俺は新聞を購入した。
 新聞を読むのはあとにして、先に酒場に入る。
 今日の店は決めている。人気の店なので早く席を取らないとお預けになる。
 少し、行儀が悪いが新聞は酒を飲みながらゆっくりと読もう。

 ◇

 俺が訪れたのは、かつての友が紹介してくれた店だ。
 あいつはブラニッカで出来た唯一の友人だった。
 もし、あいつが生きていれば、新魔王政権への移り変わりに商機を見出して、一気に成り上がっていたかもしれない。
 優秀で、気持ちいい奴だった。惜しい奴を失ってしまった。

「ケアルガ兄様、すっごくにぎやかなお店ですね」
「まあな、大きな街の人気店になるとこれぐらいは普通だ。エレンはこういう店は初めてだったか?」
「はい、今まで縁がありませんでした」

 そういえば、エレンはこういう店に案内したことがなかったな。
 ノルン姫をエレンに変えてからすぐにブラニッカを出発した。
 その後は、黒翼族の集落や、迫害された者たちの集落、そして魔王城だ。
 発展した街も、うまい酒場も連れて行ってやれなかった。

「今のうちに贅沢をしておけ。気になったものはどんどん頼んでいい」
「では、遠慮なく」

 この店は、とにかくメニューが多い。
 しかも外れがない。
 酒も上物を揃えてくれている。必ず、エレンも満足するだろう。

 好きなものを頼ませてみると性格が出て面白い。
 セツナは尻尾をぶんぶんと振りながら、肉料理ばかりを頼む。
 フレイアは逆にサラダや魚介類などのさっぱりしたものを主軸にする。
 エレンは面白くて珍しいそうなものを頼んでおり、クレハは全員の注文を見て、足りなさそうなものを選ぶ。

「グレン、飯の時間だぞ。そろそろ起きろ。ご馳走だぞ」

 俺の頭の上で子ギツネが丸まっている。よほど、飛竜での旅が怖かったのか、疲れ果てているようで熟睡している。
 ゆすっても起きないのであきらめて、椅子の上に乗せる。こいつのために、持ち帰りでいくつか料理を注文しておこう。

 それとは別にいくつか主食系の料理を注文しておく。
 注文が来るまでの間に、さきほど買った新聞を読む。

「なるほど、新政権からの公式発表の情報量が多いし、わかりやすい。事前にかなり準備をしていたようだ」

 その新聞に書かれているのは、新魔王イヴの統治方針。他にも税制など、民衆が気にする情報が多く記されている。
 魔王ハクオウ時代との比較がうまくまとめられておりわかりやすい。

 おそらく、イヴが魔王になったとわかってすぐに、政治の実務を行う各種族の長たちが伝書鳩などを使って、主要な街に情報をばらまいたのだろうが、イヴが魔王になる前から準備しておかないと、これだけのものは作れない。
 各種族の長たちの中には先々代のときに魔王に仕えて経験豊富なものが多いと言っていたが、頼りになりそうだ。

「ケアルガ兄様、私にも読ませてください」
「ああ、いいぞ」

 エレンが目を細めつつ、ニ、三秒で新聞を読み切る。
 彼女は速読術を身に付けているので、この短時間ですべて内容を頭にいれることができる。
 その後は下を向き、考察に入った。髪の毛をくるくると指に巻き付ける。
 彼女が深い集中状態に入ったときの仕草だ。
 指の動きが止まる。考察が終わったらしい。

「エレン、おまえから見てどうだ」
「悪くないですよ。『すべての魔族に平等に』という基本方針は敵を作りやすいですが、耳障りがいい言葉で表だって文句を言われることは少ないはずです」
「敵を作りやすいというのはどういうことだ?」
「魔王ハクオウ時代に優遇されていた種族は面白くないですし、今まで迫害されていてようやく解放された種族は次は自分の番だと思っているので、両方を敵に回しますね。短期的な安定を求めるなら、どっちかに寄せたほうがいいと思いますが、初期の混乱を押さえたあとの長期を考えるならありかなと」

 エレンの視点はかなり政治的なものが入っている。
 俺たちにはない視点だ。

「他にはどう見る」
「先代と比べて税の減額をしているのが気になりますね。……先代魔王ハクオウは別に極端な浪費家というわけではありません、魔王城にいたとき、暇つぶしに魔王城にあった書類を流し見していましたが適切にお金を集めて使っていたと思います。ただでさえ、新たな政権を立ち上げるために、お金が必要な状況で、税収が減れば破綻しかねないかなと。あの人たち、人気取りじゃなくて考えて税を減額しているのか心配にはなります」
「まあな、たぶん削る部分は軍の維持費だろうな」

 なにせ、先代の魔王軍のほとんどは身内で固められている。
 新魔王政権がそのまま既存の軍を使うとは思えない。

「勘ですが、それだけではない気がします。そもそもとして、イヴが全種族平等をうたっていることを知っていますが、それを公式の発表として各街に配布を許していること時点で嘘くさい。今、実権を持っている人たちは虐げられてきた種族の集まりですから、もっと反発してもいいはずなのに……早く、魔王城に戻ったほうがいいですね。案外、イヴにとって真の敵は身内かもしれませんよ」
「だな、そのためにも速く【賢者の石】を手に入れないとな」

 魔王となり圧倒的な力を持ち、なおかつ絶対順守のイヴを傷つけることは難しいだろうが、それでも危うさがある。
 そんなことを考えていると酒と料理が運ばれてきた。
 いい匂いがする。
 セツナのお腹の音がなった。

「……ケアルガ様、ごめんなさい」

 セツナが顔を赤くして恥ずかしそうにしている。

「気にするな、とりあえず乾杯だ。みんな、ジョッキを持て」

 それぞれに注文した酒を掲げる。

「乾杯!」

 ジョッキをぶつけ合い、宴会が始まった。
 ……一応、これが魔王討伐のお祝いだ。功績の割にしょっぱいが、酒と料理がうまい店で仲間だけで祝うほうが気疲れしなくていいだろう。
 俺たちが魔王城に戻れば、盛大な宴を開き英雄としてもてはやされるそうだが、そっちは非常に疲れそうだ。

 ◇

「ケアルガ様、このクルナーラって料理、面白くて好き」
「私も気に入りました。好みに合わせて作れるのが楽しいですね」

 俺が頼んだ、クルナーラという料理をセツナとフレイアは気に入ったようだ。
 薄いパンのようなものに自分で具材を乗せ、好きなソースをかけてかぶりつく。
 具材はいくつも用意されており、ひき肉や魚介類を炒めたもの、トマトなどの野菜、チーズなどだ。
 それらを好きに組み合わせる。

 俺が気に入ったのは、羊肉にトマトとチーズをトッピング、辛いソースの組み合わせ。
 フレイアは魚介類にアボカド、レタスと甘いソース。
 セツナはまさかの牛、豚、羊肉にチーズと動物性たんぱく質オンリーな具を山盛りにして酸味があるソースをかけている。……見ているだけで胸焼けしそうだ。さすが、氷狼族。

「ケアルガ兄様、こっちの料理も美味しいですよ!」

 俺の口元にエレンが赤い筒状の料理を運んでくる。
 チーズがたっぷりかかっている。

「たしかにうまいな」

 手が込んだ料理だ。
 どうやら、鶏肉を薄いパンで包んだあとトマトソースで煮込み、チーズをかけてからオーブンで焼いているようだ。
 しっとりした食感と味の一体感がある。

「ケアルガ、こっちのオムレツも素敵よ。卵じたいに味が染みていて美味しいわ」
「……面白いな。ソースをかけるんじゃなくて卵にスープを混ぜてから焼いているのか」

 クレハのお気に入りは、卵を溶いたあと具材とスープを混ぜ込んでから焼いたオムレツだ。
 スープの出来がいいおかげで味に深みがあるし、食べやすい。
 この店は、何度か来たことがあるが底を見せない。
 いい地酒も揃っており、ただでさえうまい料理が進む。また、来たいものだ。

 そうこうしているうちに、客席がいっぱいになってきた。
 周囲で酔っ払いたちが出来上がり始める。魔族と人間が肩を組んで立ち上がった。

「新魔王イヴ政権万歳!」
「これで、商売がやりやすくなるな!」

 新聞を読みながら、彼らは盛り上がっている。
 彼らは商人らしい、新魔王政権からの報告の中では一部の魔族たちが独占販売していた商品の自由販売も盛り込まれている。

 商人たちは顔を真っ赤にして、新魔王政権に対して語る。
 どうやら、おおむね期待感が上回っているようだ。
 魔王ハクオウは圧政だったから、その反動だろう。

「最近、黒い騎士たちがこのあたりの街道に出るらしいぞ。そいつらに襲われた奴らも黒い騎士になって、次の黒い騎士を作るらしいな」
「なんだ、その出来の悪い怪談は。がはははは、まさか信じてんのか」
「俺も嘘っぽいと思ってるけど、見たってやつがそれなりにいるんだよな」

 彼らは笑い飛ばしているが、俺はその黒い騎士に心当たりがある。
 今の会話が本当ならとんでもないことになる。
 ……なにせ、ジオラル王が使役している存在のみが黒い騎士を作れると俺は考えていた。

 だが、黒い騎士に生物を黒い騎士に変える力があるのだとすれば、黒い騎士たちは指数関数的に増えていく。
 そんなもの止めようがない。
 冗談抜きで世界が滅びかねない。

 このことは頭の隅に留めておこう。
 意識をセツナたちに戻す。
 みんな、料理を平らげつつあった。かなり量があったので料理の追加は必要なさそうだ。
 全員に好きなデザートを頼ませる。
 女の子なので、甘い物は好きなようでみんな目をきらきらさせて、思い思いのデザートを注文した。

「今度は、イヴも一緒に全員でこよう」
「ん。仲間外れは可哀そう」
「ですね、こんなに美味しいお店ですし」
「ケアルガ兄様は優しいです!」
「お土産とか、包めないかしら?」

 セツナたちが頷く。
 魔王になったイヴが、こんな街のふつうの店に来ることは難しいだろう。
 だが、俺ならなんとかしてやれる。
 今日も楽しかったが、イヴと一緒ならもっと楽しいだろう。

 ◇

 腹が膨れたあとは宿に移動する。
 奮発して、広くていい部屋を借りる。
 追加料金を払い、たっぷりのお湯をもらい体を清めていた。
 今日はうまい飯の他にもずっとお無沙汰になっていた娯楽をする。
 俺は服を脱ぐ。

「さあ、みんな服を脱げ。ずっと可愛がってやれてなかっただろう。今日は全員一度に可愛がってやる」
「ケアルガ様、うれしい」
「ずっと、体が疼いていました」
「たくさん、可愛がってくあさいね。ケアルガ兄様」
「全員、一緒なんて、さすがに恥ずかしいわね」

 ずっと、そういうことをする暇すらなかった。
 俺もそろそろ我慢の限界だったし、セツナたちも辛そうにしていた。
 順番なんて言うのは可哀そうだ。全員、満足させてやる。
 セツナたちは、恥ずかしそうに服を脱ぐ。
 だが、その顔にはこれからの好意に対する期待があった。体のほうも準備ができているようだ。
 それぞれ、違った個性を持つ美少女が並ぶと壮観だ。同時にひどく興奮する。
 ……四人一度にというのはさすがの俺もきついかもしれない。
 だが、これだけ女に飢えているのだ。今日の俺なら、全員愛しきることができるだろう。
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