実習生の日々と看護の後輩
ある日の朝、いつものように看護師さんは私を起こしに来ました。ですが、いつもの担当看護師さんではなかったので、その人にいつもの看護師さんはどうしたのか聞きました。
「あの~?」
「はい?」
「直樹さんは?」
「あ~。先輩は、寝坊してすぐに病院来るらしいですよ」
「そうなんだ。そういえば、名前は?」
「藤本蒼志です。」
「蒼志さん?」
「はい」
「変わった名前ですね?」
「そうですね」
「じゃあ、藤本さんって呼びますね?」
「はい」
「藤本さんは、直樹さんの後輩ですか?」
「そうですね。部下ですね?」
「そうなんだ」
私は、直樹さんが来るまでの間、藤本さんが私の担当看護師になっていました。直樹さんが来たのは、お昼頃でした。藤本さんと一緒に来ました。
「ごめん!!遅れて!!莉奈ちゃん!!」
「なんで、遅刻してるの!!」
「だって・・・」
「だって?」
「眠かったし!!」
「えっ~!!あんだけ、私のところにいって起きろ起きろうるさいのに?」
「ごめん!!」
「先輩は、朝弱いもんね」
「うん・・・」
「これから、遅刻しないように!!」
「は~い」
「先輩、莉奈さんのほうがしっかりしてるじゃん」
「うるさいよ?蒼志」
「すみません~」
「二人は仲がいいんですね?」
「まぁ・・・」
「なんだよ!!蒼志!!仲いいもんな~」
「はい・・・」
「直樹さん怖がってますよ?」
「えっ?そんなことないよ?」
「いやいや」
私は、毎日直樹さんといると楽しいです。直樹さんは私のことを楽しませてくれます。藤本さんも面白い方ですし、なんかこの病院に来てよかったなぁって思います。私的にはねぇ?いいスタッフの人に巡り合えたし、たくさんの人と出会うことができました。
「そうだ、梨奈ちゃん。」
「はい?」
「明日から、桜田学院から実習生が来るんだけど」
「うん」
「莉奈ちゃんの担当看護師助手になってもいいかなぁ?その子」
「いくつぐらいの人?」
「莉奈ちゃんと同じくらいかなぁ?近いよ。年齢」
「そうですか。別にいいよ。」
「ありがとう!!じゃあ、明日楽しみにしてね?」
「うん」
次の日、朝から私のところに実習生が来ました。なんかかわいい子がきました。
「おはようございます!!桜田学院から来ました、佐藤なつ子です!!今日から四日間よろしくお願いします!!」
「はい。」
「よろしくね?そして、なつ子さんの指導が蒼志だから。俺は、幹部だから」
「えっ。直樹さん来ないの?」
「来るよ。一応、なつ子さんにすべて頼んであるから」
「わかった」
私は少し寂しい気持ちになりました。その後に、佐藤さんにたくさんのことをやってもらったんだけど、真面目でいい子なんだけど、なんか暗いし、会話もなくやられて、なんかこっちまで気分が落ち込む。私は、直樹さんに相談しに行きました。
「おっ。莉奈ちゃん。初めてだね?ナースステーションに来たの。」
「うん・・・」
「どうした?」
「ちょっと、相談があるんですけど」
「うん?なに?」
「ちょっと、屋上で話しませんか?」
「うん」
私は、直樹さんを連れて屋上に向かいました。
「どうした?莉奈ちゃん」
「あの、佐藤さんなんだけど」
「うん。なんか不満なことあった?」
「うん~。すごく手際が良くて直樹さんよりはいいんだけど。なんか、おとなしすぎて、やってる時も会話なにもないから私怖いんだよね?だからさぁ、明るい佐藤さんになってほしいなぁって。もう少し会話があったらいいなぁって」
「うんうん。そっか、ありがとうね?」
「いえいえ。なんか、暗くなっちゃうんだよね」
「でも、真面目でいい子だから、いいじゃん。あとは、俺から蒼志にいって、本人も言っとくね?」
「はい」
「あっあっ。莉奈さん」
突然、私の後ろから私の名前を呼ぶ子がいました。後ろを振り向いたら憧れの先輩でした。
「せっせんぱい」
「あとはふたりでごっゆくり」
「えっ・・」
「どうしたんですか?内田先輩」
「あのさぁ・・・」
「はい」
「俺と付き合ってくれない?」
「えっ?」
「その、なんか。ずっとさぁ、俺も気になってたんだけどさぁ。部活忙しくてなかなか言えなかったけど、俺は莉奈のことが好きです。」
「せっせんぱい」
「どうだ?」
「はい。私でよければ」
「ほんとか!!」
「はい。こんな私だけど」
「やった~!!」
私は憧れの先輩と付き合うことになりました。私はすごくうれしかったです。やっと、私の恋は実りました。本当にうれしいです。
「直樹さん!!」
「どうした?莉奈ちゃん」
「先輩と付き合うことになりました」
「ほんとか!!よかったじゃん」
「はい。」
「幸せにな」
「はい」
次の日から先輩が毎日来るようになりました。私は毎日が楽しくて、本当にやっと先輩の体に触れることができました。そんな時、廊下から怒鳴り声が聞こえました。
「ちょっ。なにやってるんだよ!!」
「すっすみません!!」
「あんた、つかえないね?本当に看護師になれると思ってるの?」
「ごっごめんなさい」
そこには、私の担当看護学生の佐藤さんが患者さんに怒られていました。そこへ、直樹さんが来ました。
「どうなさいました?」
「このくそ看護学生が!!なにもできないんよ」
「そうでしたか・・・それは、私の指導不足で山本様にご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした!!」
「あんたの指導が悪いからか!!でも、しゃーないな。直樹さんも大変ですね?」
「いやいや、ほんとに不快な思いをさせてしまって申し訳ありませんでした」
「いいよ。もう」
「ありがとうございます」
私は直樹さんの姿を見て、かっこいいなぁって思いました。後輩を指導するのは大変なんだなぁと思いました。
「あの。」
「どうした?佐藤さん」
「先ほどはありがとうございました」
「なんのことだ?」
「えっ?」
「ささっと、莉奈ちゃんのところいってきてくれない?」
「はい!!わかりました」
数分後、佐藤さんが来ました。
「ごめんなさい!!莉奈さん」
「いえいえ」
佐藤さんはすごく変わりました。なんだか明るく私に振舞ってくれました。しかも、丁寧だから本当に直樹よりうまい気がします。私はこんなにもたくさんの人に支えられて生きてるんだなぁって思いました。
そして、実習生の佐藤さんともお別れ。最後はバイバイでわかれました。私が命が短いことを知っているのにまた会おうなんていっちゃってさぁ・・・
「あれ?莉奈ちゃんさみしい?」
「さみしくないけど?」
「そうか。」
「うん」
「直樹さんより、佐藤さんのほうがうまかった」
「まじか!!」
「うん」
「あっ。蒼志!!」
「なんですか?先輩」
「莉奈ちゃんが泣いてるから抱きしめてあげな!!」
「えっ!!なんでですか!!」
「そうですよ!!直樹さん馬鹿なの?」
「うん!!」
「先輩バカなのは十分わかってます!!」
「えっ。直樹さんバカなの?しかも、私彼氏いるし!!」
「二人してバカ言うな!!」
「爆笑なんだけど」
「先輩、俺次の患者さん待ってるんで行きます!!」
「おう!!」
「またね!!藤本さん」
「うん」
こんな日々が毎日続けばいいと思いました。だけど、いつまで生きていけるのかなぁ?
その次の週、私は急変した・・・