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自然の精霊が見えると言うだけで狙われる時代だ。騎士団の方で保護するのが最善だろうが、イノの親が気になる。森の中に住んでいるとなると親も一緒に暮らしているのだろう。
『リア!コイツ ケモノ クサイゾ!!オマエ、ナニ?』
『アト、ミズ ト カゼ ノ ニオイ モ シマスワ』
ファインとエンファはイノの頭上をクルクルと回りながら騒いでいる。イノは首をかしげながらエンファを見ている。
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この人たちは一体なんなのだろうか。
とりあえず、水の精霊達から言われたようにフルネームで教えなかったけど、呼び名が無いってことが不便なんだからイノでいい。
真名は教えたら駄目だって、知らないで教えたら危ないからって精霊達言ってたもんね。
それより、この人たちは自己紹介無いの?
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考え込んでいるとクイっと袖を引かれた。下を向くと、さっきまで精霊に夢中だったイノが此方を見上げていた。
「なまえ.....?なに?」
「え?あぁ。ごめんね、自己紹介もしないで。僕はナトゥーラ王国の白の騎士団、副隊長のリアン。」
「赤の騎士団で隊長をしてる。深紅のデビットだ。」
「白の騎士団のルイスっす。」
『オイラ ハ エンファ!』
『ワタシ ハ ファイン ヨ』
皆を交互に見ているイノの頭を撫でながら、イノの両親のことを聞いてないことに気付く。夕も暮れて来ている。森に暮らしているのなら、心配しているのではないだろうか。
「イノちゃん。家族、両親はいるのかな?」
「ママしゃん、いる、もり。」
やはり、森にいるのか。と、家族と聞いて母親の事しか言わないのは、片親しかいないからか。なら、母親の方を避難させればいいか。子供を今の危険な森に返すわけも行かないし。
『リア。オイラ、サガス。』
『ワタシ モ サガシテアゲル。』
二匹の精霊は、そう言うと窓の隙間から飛び出していった。
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『ミズウミ サガス。』
『オヤ イル?』
ア! ホノウ!
アイツラ? チゴハ?
チガウ、ニンゲン! ドコ?
カクシタ? オコッテタ
ハヤク! カエセ チゴ
カエセ!
『ナ、ナンダヨ!』
『イキナリ、ナニスンノ!』
ブラッティーベアノチゴ カエセ!
ヒノニンゲン ウバッタ
ボクラノ イトシゴ
カエセ! カクシタ!
ドコ! チゴ!
『エ、マサカ。』
『モドル!ホントナラ、アブナイ。』