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「小娘。おい、起きろ!」
頬に走った痛みで彼女は目を開けると、そこは真っ白い空間。そして、あの男が立っていた。
「ん?あれ私?」
頬が痛いのは、この男が引っ張っていた為だろう。そして私がココに居るってことは、現実での私は眠っているか意識を失っている状態のはず。
「起きたか。魔人化させる能力と縮小させる能力どちらがいい?ついでに、お奨めは縮小させる方だな。魔人化は対象者に掛かる負担が大きい。第一に魔獣なら魔人化のスキルが無くとも、その内勝手に獣魔人になるからな。よし!縮小の能力でいいな。それと、【楽園・箱庭】を使えるようにした。天使と死神からの餞別だ。」
「は?っちょ、っと。」
「ん?そうかそうか。別に感謝なんてしなくていい。俺様は寛大だからな。そうそう、言葉がうまく出ないのは人と話してないからだ。あちらの世界の言葉は知っているが、こちらの世界の言葉は覚えてないってことだ。さぁ、もうおかえり。」
男はいつもの様に指を鳴らせば、私の意識が落ちる。あぁ、何故にこの男は話を聞かないのだろうか。選択肢2択も無かったし、私を呼んだ意味ってあるのだろうか?
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「......ぅ、ぅん?」
体を起こし、目元を擦ると辺りを見渡す。小さな小屋のようだが、何処だか分らない。辺りはもう薄暗くなっているようで、小屋に一つしかない窓から夕日が射している。キョロキョロとしているとドアの方から声が近づいてくる。私は巻かれていたマントを握り締め、小屋の隅の物陰に隠れた。
「あれ?デビット隊長~リアン副隊長~、あの子いなくなっちゃいましたよ~?」
「えぇ!ちょっと!だから、見ときなって言ったでしょ。」
「ふむ、窓が開いた形跡が無いことから、小屋のどこかにに隠れたんだろう。」
小屋の中を歩く足音が徐々に近づいてくる。足音が聞こえなくなったので物陰から顔だけ出して様子を見ると、一番背の高い蜂蜜色の髪の青年が立っていた。隠れようとするが、布を掴まれて捕まってしまった。
「デビット。お嬢さん、捕まえたよー。」
「ぅ!やー!やぁだ。」
放してほしくて少し暴れるが効果は無いようだ。ニッコリ笑ったままの青年は放してくれる気は無いのだろう。青年は地面に胡坐をかいて座ると、その隙間に私を座らせて腰に腕を回して逃げれないように固定した。