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薙ぎ倒されていく木々に近づいてくる地響き。木々を倒して現れたのは長い牙を持つ大きな魔獣。
「え?っちょ!?なんでA+の魔獣がいるの!?」
「た、隊長!吸血大熊が出るなんて聞いて無いっすよ~!?」
「落ち着け!とりあえず、少女の救出が先だ。」
慌てる二人に落ち着くようにうながすと、デビットは水に浸かったままの少女の元に走り出す。近づいたことで、少女は驚いた顔をして逃げようとする。
「逃げるな。大丈夫だ、危害は加えない。」
「.........ぅ。」
ルイスとリアンが吸血大熊の足止めをしている。デビットは、少女を水から引き上げるとマントで包んで抱き上げた。
「二人とも、もういいぞ!」
「っ、!くそ、【纏え・炎舞】遅いよ、デビット!」
「っちょ!マジ、危なかったっスよ。」
二人は吹き飛ばされながらも、吸血大熊の攻撃をかわしていた。戦うには余りに戦力の差がありすぎる。リアンの炎を纏った剣が、吸血大熊の毛皮を焼くが吸血大熊は気にもせず大きな手を振り上げる。
「隙を見て一度、撤退する!って、危険だから、暴れるな。」
「了解!っと!」
「了解したっす!【強化・神脚】」
運よく、リアンの火の粉が吸血大熊の目に入り一瞬、隙が出来た。そこをルイスが見逃すはず、無く強化した足で吸血大熊を蹴り飛ばす。吸血大熊が飛ばされたほうと逆に走り出す。
確実にダメージを与えたと同時に怒らせただろう。
少女は吸血大熊が蹴られたときから逃げようと、もがいているが男の腕から逃げれずにいた。
「ルイス、ココらへんになんかある?」
「ん~。【探査】魔獣の気配はないっす!なんか小屋みたいのは見つかったす。」
「そうか。この子の事もある。そこに行こう。」
走って行くと小さな小屋があった。小屋は使われて無い様で所々に埃が積っていた。少女は疲れてしまったのだろうか眠っていた。
「ありゃりゃ?お嬢さん寝ちゃった?聞きたいことがあったんだけどな。」
「仕方ないんじゃないんですか~?だって、水浴びしてたら吸血大熊に襲われたんっすから~。」
「そうだな。聞きたいことは後で、聞いたらいい。」
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許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない赦さないゆるさないゆるさないゆるさないゆルさないユルサナイユルサナイ!!!
人間が!我が子を!一度ならず二度までも!
ドコダ!ワガコハ!ドコダ!!!!!!!!!
獣の悲しき叫びが森にこだまする。