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(時は遡る)
ママさんに拾われて10~12年?ほど経ちました。ヨチヨチとしか出来なかった私も、自由に歩きまわれるほど大きくなりました。でも、ママさんは私を一人にしません。いい加減、森の中ぐらい好きに歩いていいと思うんだけど。
「ぅ~、ママ~。みずうみ・・・・・・いく?ダメ?」
「ガゥ?ガゥガウガ、ガウルル」
「みずうみ、おく・・・ひとこない。」
「ガウ。ガウガルゥガウガ?」
ヨシッ来た!初めてですよ、一人行動。この森の奥に湖があってすごく綺麗なんだよね。この前までは、兄熊に連れて行ってもらってたんだけど、独り立ちしちゃったから。私は、熊の毛皮を着て湖に向かった。
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(ママさん)
あの子を拾って長いようで短い日々が過ぎた。我ら魔獣には年月など有ってなきものだが。今日、あの子は一人で湖に行きたいと言った。グゥーグが独り立ちしてそう日は経たない。心配だ。とりあえず、狩りを済ませて後から追いかけよう。あの子の言った様に森の奥に人間なんて滅多に来ないのだから。
数刻後
大事な娘の悲鳴が森に響き渡った。
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湖はいつも綺麗だ。澄んだ空気に、優しく話しかけてくれる水の精。気まぐれに私の髪を撫でていく風の精。やっぱり、湖は綺麗だ。
タノシイノ?
うん! ウレシイノ?
モット うん!
遊ぼう?
モット うん!
オシャベリシヨウヨ!
いいよ!
精霊たちは引っ切り無しに話しかけてくる。
私はいつの間にか毛皮も脱いで水の中ではしゃいでいた。両手で水をすくって、空に撒くと水滴が光に当たりキラキラと光る。それが綺麗で一瞬、見とれていると。
ヒトガ
キタヨ! コッチ
ホラ!
ミテル! ヒトダヨ!
風の精の指差すほうを見ると、鎧を着た三人の男が立っていた。そう三人の男がいたのだ。
「ぅ、うえっ、ェェェェェェェエエエエエエ工工工ええええええええええええええ!」
自身が思っていたより大声が出てしまった。全裸なのを思い出し水の中に頭だけ出して潜る。
「ちょ、お嬢さん、落ち着いて。」
「うわぁ~お。こういうのがラッキースケベって言うんですよね~?」
「お、おい!ルイスは黙れ!」
男の人たちも慌てているようで、ってクリーム色の髪の一番若いやつ黙れ。
男の人たちが慌てていると遠くから地響きが鳴り出し、木々が薙ぎ倒されている音が聞こえ出した。あ、ママさんだ。この人たちつんだな。