suburbscape
禁煙を誓って2時間。就活で40連敗が確定してから7日。
再起の第一歩として始めた禁煙を早くも失敗させた敗北感にまみれながら、俺はゴミ箱に先ほど捨てたハイライトを拾い上げ、火を点けた。
古びた団地のベランダからぼんやり光って見える工業地帯の遠景に、煙を吐き出すと、なんともいえないやるせなさがこみあげてくる。
ー一生この街と共にずるり、ずるりと堕ちていくのかー
風景の印象というのは、自分が風景に投げかけた感情がそのまま跳ね返ってきたものであるように思う。
期待を背負ってくぐった大学の門から見えるキャンパスの風景と、失望にまみれながら背にした大学のキャンパスの風景が違って見えるように、だ。
7分目吸い終わったハイライトを、ベランダから投げ捨てると、すぐ近くの環状線を暴走族が爆音を鳴らしながら北上してきた。定例の集会を道路沿いにある、閉店後のディスカウントショップの駐車場で始めるのだろう。そんな事情もあって、日曜のこの時間は決まって爆音が道路に鳴り響く。
それに呼応するように、階下に住む若いヤンキー夫婦が、泣き叫ぶ赤ん坊そっちのけで、こちらも定例の激しい喧嘩を始めたようだった。
これが、この街の風景。
この街は、やるせなさを纏って日々少しづつ堕ちていく。
そう思うのは、今の自分の荒んだ心境のせいなのか。
どこから転げ落ちていたのか。
身の程知らずに自惚れた就活の失敗?父親の会社の破産?それとも放蕩し尽くした大学生活?




