お菓子をくれなきゃ……
お菓子……ほしいですねぇ
「TRICK or TREAT!」
ものすごいバイリンガルな発音で、そんなセリフが聞こえた。
しかも自室にある窓の外から。
ちなみに補足しておくと、僕の家はごく普通の一軒家だ。
さらに補足しておくと、僕の部屋は二階にある。
窓に寄ると、『ジャック・オー・ランターン』が向こう側にいた。
「……」
無言で窓を閉めた。
……コツコツコツ
遠慮がちに窓をたたく音がする。
無視。
コツコツコツ
少し強くなった。
それでも無視
コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ
「うるさいわ!」
思わず全力で突っ込んでしまった。
窓をカーテンを開けるとやっぱりかぼちゃがいる。
「TRICK or TREAT!お菓子をくれなきゃ」
無言で閉める。
「窓ガラスを割っちゃうぞ☆」
と、見せかけて窓の鍵を開けて、かぼちゃ人間を招き入れる。
「始めっから素直に私を中に入れればよかったんだ」
かぼちゃ人間がよく知っている声でしゃべりだす。
「で、先輩?どうしてこんな時間に……?」
「ふむ……、その質問の意味がわからんな。今日はハロウィーンだぞ?」
かぼちゃの被り物をはずして、先輩は首をわずかに曲げてこちらを見る。
その仕草は反則ですよ?
先輩……
先輩の可愛い仕草に心の中で一通り悶絶(?)してから、勉強机の引き出しを開ける。
そこからいつもストックしているキャラメルを取り出すと先輩に差し出す。
「はいどうぞ、これで良いですか?」
「む、キャラメルか……」
若干残念そうな先輩。
いつも凛々しい先輩が眉を八の字にするのは、何か胸にくるものがある。
「何か不満ですか?」
本当は先輩が何を求めているか知っている。
けれども僕は知らないふりをする。
夏の一件があってからどうやら僕はサディストになってしまったらしい。
弁明をさせてもらうと、先輩が悪い。
普段こそ男勝りな先輩が、僕の一言で一喜一憂する。
そんな姿が可愛い過ぎるのがいけないんだ。
「いや、あ、ありが……と……う」
覇気が見る見るうちに無くなっていく。
先輩は肩をすぼめると窓に手を掛ける。
「それじゃあ……な」
いかにもしょんぼりといった風で、帰ろうとする。
僕はその瞬間を逃さず、先輩を後ろから抱きすくめた。
「うひゃあ!?な、なにをするんだ!?」
手足をバタつかせて抵抗する先輩を黙らせる、魔法の言葉を耳元でささやく。
「――――――――」
「ひうぅ……んぅ……」
くすぐったかったのか、それとも恥ずかしかったのか先輩は途端に勢いが無くなる。
もう一度耳元でささやく。
先輩の顔をこちらに向けると、そっと顔を近づけていく。
ここまで来ると、先輩ももう何も言わない。
TRICK or TREAT!
お菓子をくれなきゃいたずらするぞ!
そんなことを言いながらやってきた愛しい人
お菓子は上げない。
愛しい人にはお菓子よりも甘いひと時を……
今回はあえてR15を付けませんでした。何かご意見があれば受け付けます。
あと、こんなシュチュで書いてほしいとかがあれば受け付けます。
でわ
TRICK or TREAT!