表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

GAME

作者: 中田 勘

『第5ゲーム開始です。第5ゲーム開始です。第5ゲームか―――』

僕は女声で繰り返しながれる音声を三回目のリピートの途中で止めた。

もっとも目が覚めて聞いた回数だから本当はもっと繰り返されていたのかもしれない。

それは目覚まし時計の目覚まし機能のみが働いたもの、つまり時計の要素のないものだったので音声の止め方はすぐ分かった。

やはり目覚めた場所はいつも僕が寝付き、そして朝をむかえる自室、ではなかった。

『第5ゲーム開始です』

そんな音声を発する、目覚まし時計の時計機能のないものなど買うわけがない。

時計機能がないのではアラームの時間設定が出来ない。

ここはどこだろう、と辺りを見渡す。

一面鋼色の鉄製の壁だ、僕はそこの床に直接寝かされていた。

外が暑かったら僕は体を焦がしていたかもしれない。

………さすがにないか。

何もない部屋だからここがどこだか全く見当のつけようがない。

ああ、時計らしき物と部屋の天井からぶら下がっている豆電球だけがあったけど。

部屋の広さは縦横5mで高さが2.5m位だろう。

部屋にはこれも同様、鉄製の扉があった。

ここがどこだろうか、なぜこんなところに連れてこられたのだろうか。

そんなことを考えない人はいないと思う。

もっとも冷静さを失った人は別だが。

最初のうちはエッチなお姉さんが僕の貞操を奪うべく誘拐した、とか何とか想像していたがやがてそれも止めた。

やはり気になるのは前にある扉。

ここにいてもどうしようもないので一応、時計らしきものを持って部屋を出た。

扉には仕掛けも何もなくて簡単に廊下に出れた。

外か建築物内かは一瞬で分かった、相変わらず鉄の壁で作られた何も、窓すらもない、ただ左に進んで行った先の廊下の終わりのほうに行けば曲がり角が見えるのと廊下には一定距離おきに白色の電球が備え付けられていた。

廊下の長さは50m程度、高さは変わらず道幅は2m位だろうか。

僕の部屋は廊下の途中、つまり学校にある教室の容量で作られていた。

もっとも教室が廊下の一番奥にあるのも珍しくはないが、それは多くて1階につき2つまでだからそっちの教室を思い浮かべる人は少ないだろう。

ちなみに僕にいた部屋は右端から10mの所にいたので左端へ行く前に右端の方も見にいった。

こういう緊張状態のときは誰かに監視されているような気分になるからあまり好きではないが、静かなのは好きだった。

右端までに特に何もなかったので、最後に僕のいた部屋の横を通るときにもう一度中を覗いて左端へ向かうことにした。

僕のいた部屋を覗き、誰かいるのに気づいた………。

長袖長ズボンのその人は腕が動いていることから、なにかしていることが分かる。

後ろから見たので、髪が長い人程度しか特徴が見えない。

ビックリしない訳はないがなんとは悲鳴はこらえた、しかしその人もぼくに気づいた。

この廊下は端から端まで見渡せ、右側には角がない。

この人が僕に気づかれずに、この部屋へ入っていくには左角を曲がってやってくるほかない。

僕が右端へと向かっている時に左端からやってくるときに僕の姿が見えなかったわけがないだろう。

そして僕はその人の存在など知るはずもなかったから、盛大に足音を響かせ廊下を歩いてここまで帰ってきた。

そしてこの部屋のあたりで足音が止まったので気づかれた事に気づいた。

最後が若干言葉遊びのようになったがそんな事どうでもいい。

その人がこちらを向いた。

前髪も鼻の上辺りまで垂れていて、その間から不気味な目が見えた。

不気味な目と表現したのはその人の容姿を揶揄したのではなく、まさにその通りだったからだ。

不気味の一言に尽きる。

まるで目が目の前の人を拒絶しているように真っ赤に充血していた。

長袖長ズボンの髪を後ろは背の真ん中辺り、前は鼻の辺りまで伸ばし、不気味な目を持った人はまた前を向いてなにかの作業に戻り、その十数秒後、立ち上がって部屋を出て行った。

奴が近づいてくるのを僕は避けないわけがない。

奴が部屋を出た後は角を曲がるまでその背を見ていた。

部屋の中を見るとまた奴がいるのではなのか。

そんな恐怖におびえながらも部屋を見る。

今度は何者もいなかった。

その代わり奴がおいて言ったであろう一枚の紙がおいてあった。

ハガキ程度の大きさの紙で、そこにはこう書いてあった。



『第5ゲームが開始されました。

これから貴方にはゲームのプレイヤーとなってもらいます。

クリア条件はこの建物のどこかにあるボタンを押すことです。

ボタンは黒色丸型半径3cmの物です。

貴方を目覚めさせたであろう物は、ゲームの終了10分前の放送、およびゲーム終了十秒前のカウントを発声しますので持ち歩くようお願いします。

クリアしかね場合はその場で退場となります。

健闘を祈ります。

なおこの手紙が貴方の眼に触れない場合も、ゲームは進行されてますのでご注意を。』



僕の眼に触れるまでは最後の一文も眼に触ないだろう………。

そんなことはともかく、どうやら僕はゲームのプレイヤーになってしまったらしい。

漫画やアニメで見る限りこう言うときの退場とは大体死ぬということだから退場に帰宅の思いを抱かない方がいいだろう。

とりあえずこの建築物の概要を把握しなければならないから建物を大雑把に見回ることにした。

結果、この建物は全3階でここは1階、1階にはこの部屋のみ。

2階には部屋が2つ。

3階には3つあること、階段は左側の物だけだという事が分かった。

この階に用はないから2階へと進んだ。


2階は階段を上がったのち曲がってすぐと、そこから更に20m程進んだ所に部屋があった。

僕はまず廊下の一番右端、つまり階段のない方から廊下を調べていって、元々いた方から遠かった部屋の方から調べていった。

そこは白電球のあった廊下とも豆電球らしきものが吊ってあった僕のいた部屋とも違い真っ暗だった。

なのでいったん部屋の前で、何が起こるか分からないから左目だけをつぶって暗順応させた。

部屋の大きさは僕のいた部屋よりやや狭そうだ。

入って部屋を確認するとそこは本棚があった。

しかし本棚に入って然るべきの本が地面に散らばっていた。

ここには本棚と本だけ、それ以外に何もない。

どこか電気はないかとあたりを見渡したが見つからなかったのであきらめた。

本の下にボタンはないかと考えて本をどけると、このゲームの主催者の最悪の演出が待っていた。

人の死体を放置していたのだった。

成人女性のものでどこか不自然だった。

その死体はメガネをかけたものだった。

この部屋の主だったのだろうか。

本にメガネをかけた死体。

それは読書家を想像させられる。

死体をどけて下を探って見ても他の所を探してもボタンは無い。

何か使える物は持ってないかと死体をあさってみるも、僕と同じ時計らしき物しか持ってなかった。

退場とはこういうことかといきなり知らされてガッカリした。


次は階段から近かった方の部屋。

こちらはさっきの部屋より更に狭い。

部屋の奥に豆電球が吊ってあり、その下にロングヘアーの女の子死体があった。

次の死体は目を見開いてこちらを向いて椅子に座っていた。

ドキッとしない者はいないと思う。

不気味すぎる。

頭に糸を縫い付けて、その糸を天井に吊って頭を支えているので何者かが死体をいじった事が分かる。

まさに糸人形である。

この死体も何か不自然さを感じる。

そんな死体に見守られながらこの部屋にはおもちゃが10個ほどあったのでそれに注意しつつ部屋をあさる。

僕は一枚の絵を見つけた。

髪の長い人の絵だった。

この子の母だろうか、友だろうか。

それとも、あの目の人だろうか。

結局この部屋でもボタンを見つけることは出来なかった。


3階に上がり同じように階段から右端まで廊下を調べてそして奥から部屋から調べていく。

この階の部屋はほぼ等間隔に並んでいた。

一番奥の部屋には男の子の死体が倒れていた。

その容姿は今までの死体と違い、安心しきった顔だった。

見た感じは目をつぶって寝ているだけ。

口も笑っていた。

何が何だか理解できずに考えているうちに寝付いてそのままタイムアップという事だろうか。

それは少なくともここにきたももののなかで一番幸せな死に方だったかもしれない。

最後にはどんな夢を見て死んでいったのだろうか。

この部屋には男の子らしくヒーロー物のおもちゃがあった。

壁にはヒーローショーで貰ったと思われるサインもあった。

様々な場所を探したが結局その部屋にもボタンは無かった。


ここまでで見つけた目を引く物といえば各部屋で見つけた時計のような物計3つと女の子の絵ぐらいである。

あと2部屋に期待を持ち3階の3部屋の中で中間に近い場所にある部屋に入った。

白電球がつるされているそこには医療器具があった。

死体は無かった。

血が地面に付着し、乾いていた。

医療器具は一部にまとまっていたので、その部屋は簡単に調べるだけですんだ。

やはりというか、ボタンは無かった。

ここまで来ると何もない方が逆に不自然だった。


最後の部屋には電球が備わってなかったのでまた左目をつぶって暗順応させて入った。

そこには成人男性の死体が横たわっていた。

体を不自然に曲げながら。

ここで見た死体4つの内3つは不自然さを感じたが何故だったんだろう。

この部屋にはゲームが散乱していた。

ジャンル的にはRPGものが多いようだ。

苦しそうな顔をして横たわっていた。

ゲームソフトやハードを片付けて部屋を確認するが、ボタンは無かった。


『ゲーム終了10分前です。』

僕のもっている時計のようなものがそう発した。

いったん廊下に出て考え直し不自然なことがあると思い当たる。

これは第5ゲーム。

部屋の数は6部屋。

ある部屋の中には死体が無かったので死体は4つ。

6部屋あって4つの死体。

自分を差し引いても

5部屋で4つ。

一つ足りないのは考えるまでも無くあの不気味な目をした人だろう。

そうして成人男性の死体のある部屋に入って死体の服をめくった。

腹部が空っぽだった。

他の死体もお琴の子のものを除いて不自然だったのは腹部が空っぽだったためだろう。

それでは男の子の死体はなんだ。

目をつぶっていた。

目。

あの男の子の目をあの不気味な目をした人は移植したのだろうか。

あの医療器具のそろった部屋でか。

自分で移植したのか。

ありえないが、あの不気味な目をした人は人で無いかもしれない。

そうだと考えるのが妥当、そう考えたい。

それでは少年の他3人は食用という事か。

混乱しつつ部屋を出ると不気味な目をした人が立っていた。

「気づいてしまったんですね」

見た目に合わず透き通った女声だった。

「私は最初にここに連れてこられました。理由は私がとても、とても嘘つきでいろんな人を裏切ってきたからだと思います。だから神は怒って私をここに閉じ込めたんですね。サタンを知っていますよね。天使だったものが神と同じ力を持ちたいと望んだために地に落とされて悪魔となったものです。でも神はそんなサタンの奇跡を起こす力までは奪わなかったんです。それと同じ。私はこの場の神になりました。様々な人を食用として連れてきてゲームと称してボタン探しをさせボタンを押す事が出来たら元の世界に戻れるようにチャンスを与えました。でも私はそんな彼らの部屋に彼らが好むものを配置して部屋から出たくなくさせました。でもあたなは空っぽでした。あなたには快楽が無かったんです。これでは確実にボタンを押されてしまうと思った私はボタンを作りませんでした。あなたの期待を裏切ったんです………。ああ、気になってるでしょから教えておきますね、私って盲目だったんですよ。元からじゃなくてここに連れて来られたときから急にです。だから何とかして目を手に入れようとして、あの子の目がよかったから貰ったんですけどやっぱり駄目ですね。拒絶されてます。今回のゲーム、あなたのお陰で踏ん切りがつきました。私は消えます。そしたらあなたはいつもどうりの日常に戻れます。迷惑かけて住みませんでした。それじゃあ、さよ―――」

「それでいいのか」

それは僕がここに連れてこられて初めて発した言葉だった。

「お前は自分を悪いと思うことが出来た。だから悔い改めが出来るんだよ。お前が消えたらいままでつれて来られた奴らは無駄死にだ。奴らの家族に謝ってさ、一生かけて奴らや今まで裏切った奴らに対して罪を償い続ければいい、償わなきゃならない。自分が消えて責任消失なんて甘い考え方は捨てろ。お前が懺悔してきたってことは一応僕はゲームに勝ったってことだろ。勝者からの命令だ神に祈って許してもらえ。言葉だけじゃねえ、ちゃんと今までに迷惑かけた奴や身内に謝れよ。僕のことは気にするな。その代わりちゃんと責任を取って生きろ」

『ゲーム終了10秒前です。9、8――』

最後のカウントが始まった。

「本当にそれでいいんですか、私を許していいんですか」

6、5――。

「いいよ。その代わり僕の言った事は守れよ」

4――。

「―――ありがとうござ――――」

最後は言葉になってなかった。

彼女は泣いていた。

3、2――。

「じゃあな頑張れよ!」

1――。

「ええ」

涙を流しながら、それでも最後は笑顔で答えてくれた。

『0。ゲームが終―――』



ここはどこだろう。

僕の部屋なのか。

違う。

僕は死んだんだ。

そのかわり彼女はきっと世界に許されて。

まるでキリストみたいだな。

ああ、キリストだなんて傲慢だったな。

死後の世界とはこんな所だったんだ。

………違う、ここは僕の部屋だ!

彼女はまた裏切ったのか。

今度は僕を。

ああ、何てことだろう。

悲しい、悲しいよ………。

快楽なんかを感じない僕が始めて味わえた喜びだったのに。

母の呼ぶ声がする。

友達が来たそうだ。

なんてときに。

でもいかなきゃあ。

今日もまた建て前だけの付き合いが始まる。

笑顔で僕は友達に言うんだ。

「おはよ――」

僕は驚いた。

「おはようございます」

そこには髪が整った女の子が立っていた。

目は充血していない。

でも僕は分かった、この子はあの子だ。

あの場所の神、あのゲームの支配者だ。

ちゃんと祈れたんだ。

よかった、本当によかった。

「先ほどは大変お世話になりました。名前をまだ言ってなかったですね、真希です」

「真希か。ありそうな名前。僕は勇斗だ」

「お互い様ですね」

そうだ、僕たちはつい数分前あの場所で会話をしただけなんだ。

でもそんなことはどうだっていいだろう。

僕はこれから彼女を手伝っていこう。

まがいなりにもこの僕に喜びを与えてくれた彼女を。

―――よろしく。

ん~。長い!


自分って2000文字も行かないものしかか無かったけど結構書けるものですね。

それで内容がうすぺらになったらいけないとおもいながらもorz。

昨日案が出て午前中にアイデアねって4時間ぐらいで書きました。

誤植はご愛嬌という事で。


さてさて、僕って最近真面目なあとがきしか書かなかったから久しぶりに楽な気分だニャ~。(池田ァ!)

といっても書くこと無いですね。


それでは、読んでくださってありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ