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次期当主格たち7


 麒鞠の席に行くと、「秘密を持つというのは、難儀だね」と寛麒が言う。

「仕方ありません」

 飛鳥の隣にいる璃蛇の存在を目の端に置き、静は言った。


「しかし、なぜ晶亀殿は璃蛇姫を同席させたのだろうね?璃蛇姫に関しては、武力で見れば、そなたの姉君や妹君とも同程度であるとは思うが」


「縁談の相談ではないでしょうか。坎宮と離宮では交流がさほどありません、このような機会に、飛鳥と姫君を相まみえさせたい、といった意図があるのやもしれません」

 静がとつとつと語るのを、寛麒は驚きの眼差してみてくる。


「なるほど。飛鳥のこととなると、勘が鋭いのだね」

「飛鳥は姫君から人気が高いのです。あの容姿と真摯な振る舞いゆえに、好まれやすいのかと思います」


 目を引く緋色の髪や瞳、陽光を思わせる温かな振る舞い。静にとっても、飛鳥は好ましい存在だ。


「随分と冷静だね。心配にはならないのかい?」


「私自身が何者にも縛られぬ、自由を好む性質です。それでいて飛鳥を縛っておくのはおかしな話。それに、たおやかな姫君と私が優美さで闘ったとて、たかが知れております。飛鳥に縁組の話が出たとなれば、やはり、心は揺れるでしょうけれど」


「私はたった今、飛鳥の気持ちが分かったよ。自分の気持ちに気づいたならば、その瞬間から、そなたをすぐにでもものにしたい、籠の中に入れておきたいと思っただろう」

「な、なにをおっしゃられるのです?」


「どこに行くか分からぬ、どこにも留まらぬよりは、女人同士でいがみ合ってくれたり、きつく束縛されたりする方が安心するものだよ」

「いがみ合う理由がありません。私と姫君達とでは、興味関心の向かう場所が違います。姫君達の優美さや柔和な所作は私ですら、美しいと思いますし。護らねばならないと思っております」


「そなたは、少年のように素直な性質のようだ。だからこそ、飛鳥は常にヒヤヒヤしてそなたを見守るほかない。今もまた、私とそなたが何を話しているのか、気になって仕方がないことだろう」

「そうなのでしょうか」


「それに、先ほど言った飛鳥が姫君の間で人気であるならば。王子達の間で人気なのは、静龍そなただと知っていたか?」

「また、いつものお戯れを」


「この頃は、中宮までやって来て、そなたと手合わせをしたいと言ってくる者が後を絶たないだろう?あわよくば婚外交際へと持ち込めないか、と思っているのだろうね。美しく強いそなたに惹かれる者は多いようだ」

「手合わせに興味はありますが、その他の点には興味はありません」


「それでこそ静龍だね。おや、そろそろ始まりそうだ」


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