共寝の提案3
麒鞠家の事情を聞くにつれ、静は碧羅家との違いを意識した。幼少時にはゴロゴロと適当なところで眠っていた静だ。
どこで眠ろうが、気にかけられたこともなければ、人払いを受けたこともない。
もっともそれは静が聞き分けの悪い性質を持っていたこともあり、侍女や乳母の手には負えなかったこともあるだろう。
しかし幼少期の話を聞くことで、静は寛麒へと親しみを覚え始めているのはたしかだった。
寛麒はどこか、愛情を求めている節があると感じている。それは恐らく出自に関係しているのだろう、と静は思った。
友人や兄妹として、寛麒の力になれればと静は思うのだ。
寛麒と静は寝物語をし合いながら、眠ることとなった。静は男性と眠ったことがなかったために、緊張していたが、気の置けない振る舞いをする寛麒に、心がどんどんほぐれていく。
その夜、静は母から聞いた碧羅の物語を話して聞かせた。碧羅の龍が旅をする物語だ。寛麒が茶々を入れるので一々話の腰が折られる。
けれど、そのおかげで、静はくつろぎながら過ごせたのだった。
いつの間にか眠っていて、朝起きたときには、寛麒は既に東堂に行った後だったようだ。
枕元に「今晩も続きを楽しみにしている」と書かれた一筆書きを見つける。静は初めての感覚に戸惑ってしまう。けれど、子どもの頃の楽しみを思い出したようで、胸躍るのも確かだった。




